鹿児島県で開催されている特別国民体育大会(燃ゆる感動かごしま国体)、少年女子のバレーボール競技のトーナメント準々決勝、5・7位決定戦、準決勝が10月10日(火)に西原商会アリーナ(鹿児島)で行われ、決勝のカードが決まった。インターハイ優勝校の下北沢成徳高単独チームの東京都、そして金蘭会高単独チームの大阪府。互いに認め合うライバルが、頂点を懸けて激突する。
下北沢成徳高
金蘭会高は「目標でもある」
先輩たちに引っ張ってもらった2年前とは違い、キャプテンとしてチームを日本一に導いた今夏のインターハイ。勝利の瞬間こそ表情を崩したものの、下北沢成徳高のリベロ内澤明未はすぐに表情を引き締めた。
「正直、優勝というよりは、(決勝で)試合に勝ったという気持ちのほうが大きくて。これで満足してはいけないし、もっと頑張らないといけないと思います」
インターハイで優勝したい。その過程で、必ず倒したい相手がいた。「目標でもあるし、勝たないと絶対に日本一はない」と語る金蘭会高(大阪)だ。
新チームを結成して以降、高校生に唯一敗れたのが3月の全国私立高等学校男女選手権大会(さくらVOLLEY)準決勝だった。その敗戦は、チームに大きな衝撃を与えた。
「そのときはほぼ全部のプレーで金蘭のほうが上だと思いました。何かを変えるというか、意識を変えなきゃいけないね、と話しました。自分たちがナイスだと思ったボールも金蘭では当たり前だろうと思って。コートに入っている人だけじゃなくて、全員のプレーのレベルと考え方を上げられるように、刺激し合いました」(内澤キャプテン)
エースのイェーモン・ミャをはじめ、内澤以外のスタメンは2年生。厳しく要求をぶつけ合い、リベンジを狙って成長を続けたが、インターハイでは金蘭会高が決勝トーナメント2回戦で進徳女高(広島)に敗れて再戦はかなわなかった。準決勝ではその進徳女高を破って頂点に駆け上がったが、「金蘭に勝ってこそ」という思いはそれぞれの胸に残ったままだ。
金蘭会高
下北沢成徳高は
「ライバルとして見ている存在」
意識するのは下北沢成徳高だけではない。第18回世界U19女子選手権大会を戦い、インターハイに出場していなかった金蘭会高の西川凜は「自分たちも同じで、成徳はライバルとして見ている存在」と口にする。
U19女子日本代表の西川と大森咲愛、そしてU16女子日本代表でキャプテンを務めたルーキー馬場柚希らアンダーエイジカテゴリー日本代表経験者は多く、層の厚さは全国屈指。だが、インターハイでは昨年の同大会から4大会連続で対戦し、いずれも接戦を繰り広げてきた進徳女高に競り負けた。試合後、選手たちは涙を流して悔やんだが、ショックを受けたのは池条義則監督も同じだった。
「僕もそうですよ。落ち込んでいるときに『次があるぞ』と言うものの、やっぱりね…。でも、そこから逃げるわけにいかないので。やるしかないのでね」
この夏休みは「これまでを挽回するぐらい」とバレーボール漬けの日々。合宿を通してチームの結束力も高めてきた。
8 月末の国体近畿ブロック大会で本戦の切符を獲得すると、指揮官はこう語っていた。「インターハイでは就実(高/岡山県代表)とも試合をしないで早くに負けて。成徳もリベンジしたいと言ってくれて。国体ではみんなと大一番をやりたいですね。それがまず国体で、最後の春高につながっていくと思います」。その言葉どおり、準決勝では就実高が中心の岡山県をストレートで下した。
ともに単独チームで臨み、ここまで失セット0で決勝へ。全国トップクラスの力を持つ両チームが、最高の舞台で白黒をつける。
文/田中風太(編集部)
写真/前田一星
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少年女子トーナメント表