FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023 男子大会でパリオリンピック出場を決めた男子日本代表の活躍は、多くの人々に届いている。鎮西高(熊本)の畑野久雄監督は、高校時代に指導した宮浦健人の当時から変わらぬ点、そして成長した点を語った
鎮西高のモットー「当たり前のことを当たり前に」を体現
鎮西高単独チームの熊本県が、国体の初戦を控えた10月 8日の夜。同校のOBである宮浦健人は、日本代表のユニフォームを着て戦っていた。今大会初スタメンとなったアメリカ戦で、両チーム最多の27得点。サービスエースは4本決めた。試合を見ていたという畑野久雄監督は、教え子の成長に目を細めた。
「パワーがつきましたね。(鎮西高 OBである宮浦の)親父がよく跳んでいましたから、いずれ跳ぶようになるだろうと思っていましたが、ほんとうに跳ぶようになりました。ブロックもよくなりましたね」
得点シーンはもちろん、畑野監督の目に留まったのはその質の高いプレー。「鎮西の選手はミスをしないのが特徴ですから。それをちゃんと守ってくれたと思います」。同高のモットーは「当たり前のことを当たり前に」。卒業後も変わらず体現する姿を喜んだ。
宮浦が日本代表でブレイクしたのが、銅メダルを獲得した今年のネーションズリーグ。イタリアとの3位決定戦では 7本のサービスエースを決めるなど大活躍を見せた。
パリ五輪予選ではワンポイントブロッカーなど要所での起用となったが、ベンチでは常に準備を欠かさず。その姿勢が実ったのが第 5戦のセルビア戦。第 3セット18-19でセッター関田誠大に代わって前衛に入ると、仲間たちが懸命につないだボールを決めた。この得点で一気にチームのムードを上げ、ストレート勝ちに貢献した。
「自分が使ってほしいのであれば、それだけのことをやれる選手。だから、パッと出ても活躍できるんじゃないかと思います。いちばん難しいポジションだけど、途中で出てよう決められるなと思いました。監督がそれを期待しているんじゃないですか?」
今季はフランスリーグのパリ・バレーでプレー。 2024年のパリオリンピックに向けてパワーアップを目指す宮浦へ「頑張れしかないですよ」とほほ笑みながらエール。終始優しい表情で、教え子の活躍を喜んでいた。
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前回大会王者として臨むも熊本県は国体で2回戦敗退
熊本県単独チームとして国体に出場した鎮西高は、2回戦で松本国際高単独チームの長野県にストレート負けを喫した。
インターハイに続き、国体でも1年生を主力として起用。エース井坂太郎キャプテンに加え、ルーキーたちも活躍したが、連覇を逃した。
今大会は監督としてではなく、スタッフとしてチームに帯同した畑野監督は「3年生以上に頑張っていますよ」と1年生をたたえる一方で、「(春高)予選が心配なんです。(予選までの)あと1ヵ月でもうひと伸びせんとですね」とチームの底上げを課題に挙げた。
文/田中風太(編集部)
写真/石塚康隆(NBP)、田中風太
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