第19回アジア競技大会(2022/杭州)のバレーボール競技で、銅メダルをつかんだ男子日本代表。7試合中5試合でチーム最多得点をマークしたオポジットの高橋慶帆(法政大2年)が、ブレイクを果たした大会を振り返った
——大会を終えて、今の思いはいかがですか?
3位と4位、メダルが取れるか取れないかでは全然違うので。最後にしっかりと勝ちきれたのはすごくうれしかったです。
——準決勝(対中国)、3位決定戦(対カタール)それぞれの試合後に涙を流していました。どんな意味が込められていたのでしょうか?
いろいろなアクシデントがあって、今大会は11人で戦うことになって。今大会のコートには立てなかった下川(諒)さんや築城(智)さん、澤田(晶)さんたちの思いも背負って、金メダルという結果を出して日本に帰りたいと思っていました。
そのなかで、決勝に進む前に負けてしまったのが悔しくて。準決勝ではサーブが全然入らなくて、中国にほんとうにいいバレーをされて自分たちが守りに入ってしまったのが悔しかったです。それで、思いがこみ上げてきました。
——3位決定戦のあとはいかがでしたか?
8日間で7試合というタイトなスケジュールで、終盤になるにつれてコンディションがほんとうにきつくなりました。カタール戦は満身創痍で…(苦笑) 足もパンパンで、腕も振りきれなくて迷惑をかけてしまいました。
でも、(真保綱一郎)監督もチームメイトも自分を信じてくださって。思うようなプレーは全然できませんでしたが、皆さんに支えられ、助けてもらったおかげで自分はコートに立つことができて、勝てたと思います。試合後は申し訳なさと、悔しさと、最後にしっかり勝ちきることができたうれしさがこみ上げてきました。
——麻野(堅斗)選手も、すごく体が張っていたと言っていました
ずっとテーピングをしながらプレーしていました。でも、いろんな方の思いも背負っていますし、代表なので、泣き言を言える立場ではないので。最後までやりきろうという気持ちで跳びました。
——3位決定戦後、涙を流して柳田将洋キャプテンと抱き合っているのが印象的でした。事前合宿も含めて、どんなことを教えてもらいましたか?
よく教えてもらったのはサーブのトスです。それまではトスが結構低くて、サーブがネットに当たるミスが多かったです。そこで「思いきってトスを高くしてみて」というアドバイスをいただいて。高くしたらだいぶ余裕ができて、しっかりと体重が乗ったサーブをコートの奥にも打てるようになりました。
試合になるとどうしても萎縮してしまって、トスが低くなってしまいますが、「迷ったら思いきり高く上げろ」とも言っていただきました。試合の中でも改善できるアドバイスもしてくださって、すごく助かりました。
今大会はそこまでサーブの効果率が高くなかったので、修正しないといけませんが、マサさん(柳田)を含めていろいろな方からアドバイスしていただいて、少しずつ改善できるようになってきました。メンタルも必要になってくると思いますが、恐れずに継続して取り組んでいきたいと思います。
高橋慶帆
たかはし・けいはん/身長193㎝/最高到達点350㎝/習志野高(千葉)→法政大2年
イラン人の父と日本人の母の間に生まれる。小学2年生時からサッカーをしていたが、中学2年生時にバレーボールの道へ。習志野高では1、2年生時にミドルブロッカーとして春高に出場。3年生時にはアウトサイドヒッターに転向し、インターハイ、春高でベスト8に導いた。法政大1年生時の第21回アジアU20(ジュニア)男子選手権大会で国際大会デビュー。2年生時に自身初の日本代表に選ばれた
文・写真/田中風太
発売中の月刊バレーボール11月号では、銅メダルを獲得したアジア競技大会の模様を掲載。本誌では、同大会のメンバーの当落選上だった高橋選手がいかにブレイクを果たしたのかに迫ります
【関連記事】
■高橋慶帆 SNSの大反響に驚きも「きっかけが何でも、バレーが盛り上がるのはうれしい」 アジア競技大会3位に貢献
■それいけ NEW GENERATION 高橋慶帆<自らの成長で誰かを笑顔に>【月バレ2021年4月号プレイバック】
■高橋慶帆「まずは持てる力を発揮したい」【月バレ2023年7月号プレイバック】
■アジア競技大会 男子日本代表はカタールを下し前回大会を上回る銅メダル