第76回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春の高校バレー)東京都代表決定戦が11月19日(日)にエスフォルタアリーナ八王子で行われた。男子は駿台学園高が14年連続16回目、東亜学園高が2年ぶり39回目、駒澤大高が36年ぶり12回目の本戦へ。関東大会準優勝、今夏のインターハイには初出場と、快進撃を続けていた日本学園高は無念の敗退となった
駿台学園高
セットごとに布陣を変える
層の厚さ
準決勝の駒澤大高戦、決勝の東亜学園高戦と、第2セットはともに「25-9」と1ケタ失点。圧倒的な強さを見せ、駿台学園高が春高連覇への切符をつかんだ。
準決勝の第1セットに出場したのは2年生チーム。13日に行われた紅白戦で3年生チームにストレート勝ちし、この試合の出場権を得た。25-20と中盤までは競り合った一方で、第2セットから出場した3年生チームは25-9と圧倒。梅川大介監督は「来年を見据えてもいい試合ができました」と語りながらも、「落ち着きであったり、やっぱり3年生の経験値が高いと実感した試合でした。2年生にも見習ってもらえれば」と期待した。
準決勝、決勝ともに光ったのは威力のあるサーブ。ジャンプサーブからハイブリッドサーブに変えた秋本悠月や、荒井貴穂らがエースを奪った。国体の準々決勝では優勝した山口県(高川学園高単独)をサーブで崩せずに敗戦。「緊張感があるなかでサーブを打てないとブロックディフェンスが機能しない」(梅川監督)と力を入れてきた成果が出た。
この日は準決勝の第2セットのみに出場した亀岡聖成キャプテンは「全員がアピールすることができてよかったと思います。チームを勝たせられるように」と連覇が懸かる本戦での大暴れを誓った。
東亜学園高
涙の勝利で2年ぶりの全国へ
東亜学園高にとって、1年間待ち続けた瞬間だった。日本学園高との準決勝。フルセットの末に勝利し、2年ぶりに本戦への扉を開いた。昨年のインターハイから全国大会を逃し続けており、オポジット星川将大は「伝統を切らしてしまったのはきつかった。昨年の3年生のためにも春高に行くんだという気持ちでした」と涙を流して喜んだ。
劣勢を跳ね返す力がついてきた。第1セットを25-16で先取しながら、第2セットは23-25で落とした。最終第3セットも中盤までリードを許したが、セッター佐藤崇也のクイックを絡めた強気なトスワークからひっくり返した。逆境で力を発揮した選手たちの成長に、佐藤俊博監督は感慨深そうに話した。
「成功体験が少なく、キャリアがない選手たちがたくましくなりましたね。これを機に一皮むけてくれることを期待しています」
決勝では駿台学園高にストレート負けを喫したが、それも本戦への糧に。星川は「春高でもっといい姿を見せられるように」とオレンジコートでの復活へ意気込んだ。
駒澤大高
2 年生主体のチームが36年ぶりの大舞台へ
日本学園高との3位決定戦を終えて、駒澤大高の戸田光信監督はチームをたたえた。
「ストレート勝ちでなければ、と思っていたので。パーフェクトの出来でした」
ふだんから練習試合を重ねる相手とあって、傾向をつかんでいた。「日本学園高は苦しい状況になるとプッシュやロールショットを使ってくる」とは守備で貢献した村田晴紀キャプテンの言葉だ。
攻撃面では2年生エースの金田雅斗がマッチポイントから「あの1本に全力を懸けていた」とバックアタック一閃。ミドルブロッカーの永田心之輔、セッターの小倉利一ら2年生主体だが、「試合に出ていない3年生たちを春高に連れていくんだ」(金田)と学年関係なく思いを一つに戦った。
OBであり自身も選抜優勝大会時代の第23回“春高”に出場している戸田監督は目尻を下げた。
「オレンジコートはほんとうに素晴らしいもの。先輩、そして監督として再びあの舞台を味わわせてもらえる。いい選手たちに恵まれました」
19日の試合結果
準決勝
駿台学園高 2(25-20、25-9)0 駒澤大高
東亜学園高 2(25-16、23-25、25-23)1 日本学園高
決勝
駿台学園高2(25-20、25-9)0東亜学園高
3位決定戦
駒澤大高2(25-22、25-22)0日本学園高
文/田中風太(編集部)、坂口功将
写真/依田裕章
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