第76回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春の高校バレー)東京都代表決定戦が11月19日(日)にエスフォルタアリーナ八王子で行われた。女子は下北沢成徳高が2年ぶり21回目、八王子実践高が9年連続46回目、共栄学園高が5年連続28回目の本戦へ。インターハイベスト16の文京学院大女高は春高出場を逃した
下北沢成徳高
ブロック連発でライバルを寄せつけず
昨年度は春高出場を逃した下北沢成徳高が、危なげなく全国三冠への挑戦権を得た。
準決勝の相手は、日本代表の秋本美空を擁する共栄学園高。前年の3位決定戦で敗れていた相手だけに、当時1年生で出場していたミドルブロッカーの中田藍美は燃えていた。
「去年は相手の思うようにやられてしまったので。今年は少しでもブロックでプレッシャーをかけられるように、と思っていました」
河俣心海との身長180㎝超えの高い壁で相手のスパイクを引っかけ、そこからセッター小山明がエースのイェーモンミャに頼らない攻撃を展開。ストレート勝ちで切符を手にした。
続く決勝の八王子実践高戦でも、チームとしてブロックを連発。両セットで20点以下に抑える圧勝だった。リベロの内澤明未キャプテンは、「練習では体を合わせて跳んだり、かたちを意識してきましたが、後ろから見ていてそのとおりのブロックでした」と充実した表情を見せた。
だが、全国三冠が懸かる春高に向けては、「もう一回鍛えるというか。最後まで成長し続けるチームでありたい」と鋭い眼差し。内澤キャプテン以外のレギュラーは2年生で、本戦ではさらに進化した姿を見せる。
八王子実践高
苦しんできた3年生が奮起
今季初の全国へ
八王子実践高にとって、今季初めてのうれし涙だった。準決勝でインターハイベスト16の文京学院大女高を破り、本戦の出場権を獲得。涙を流した平山倫歩キャプテンは「泣くつもりではなかったのですが、すごくうれしくて」と照れ笑いした。
昨年度からレギュラーは総入れ替え。インターハイ都予選は3位に終わり、本戦出場を逃していた。3年生について、貫井直輝監督は「今年はスタートからあまりうまくいかなくて。結果を出せず、自信もありませんでした」と振り返る。
下級生を起用する時期もあったが、シーズン終盤にきて3年生が奮起。今大会はリベロ以外を最上級生で固め、ミドルブロッカー平山キャプテンらを軸に得点を重ねた。平山キャプテンは「1、2年生に負けていられない、と底力を出して戦えてよかったです」と胸を張った。
3年生は、新型コロナウイルスの影響で、中学3年生時にすべての全国大会が中止になった代。貫井監督は「初めて自分たちで勝ち取った全国大会。ワクワク、ドキドキしながら楽しんでもらえたら」と本戦でのさらなる飛躍を期待した。
共栄学園高
苦しんだ夏を越え
ディフェンス力も強化
昨年度の春高を経験した2年生が主力を担う共栄学園高。だが、インターハイは都予選敗退で涙をのんだ。
だからこそ、夏以降は誰もが“きつい”と口をそろえる時間を過ごした。「レシーブが上がらないと攻撃につなげられない」(橋本侑芽キャプテン)とレシーブ練習に励み、春高都予選最終日当日の朝にも実施。また、夏の敗戦の責を一身に負った中村文哉監督は重圧で不眠の中、その分を「分析にあてた」と都予選準決勝(対下北沢成徳高)に必勝を期した。結果として敗れたが、ここでは選手たちが発奮。髙橋愛由の発案で、「レシーブを上げた、トス、アタックが決まった!」と“勝利のイメージ”を共有するという初の試みでモチベーションを高めて、3位決定戦(対文京学院大女高)を制した。
中村監督が誇るのは、「どの代であっても、日本一を目指す」こと。悔しさも、厳しい練習も、あとがない逆境も。乗り越えられたのは、「この結果に満足せずに常に向上心を持って」(橋本キャプテン)いたからだ。
19日の試合結果
準決勝
下北沢成徳高 2(25-15、25-14)0 共栄学園高
八王子実践高 2(25-23、25-17)0 文京学院大女高
決勝
下北沢成徳高2(25-18、25-13)0八王子実践高
3位決定戦
共栄学園高2(25-21、25-19)0文京学院大女高
文/田中風太(編集部)、坂口功将
写真/依田裕章
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