バレーボールの「FIVB世界クラブ男子選手権大会2023」は現地12月6日にインドのバンガロールで開幕する。世界各国の強豪クラブが集うこの大会に、日本のVリーグからはサントリーサンバーズが参加する。山村宏太監督が「3位以上を狙う」と話す、この世界クラブ選手権はどんな大会になるのだろうか。
世界ナンバーワンを決める大会
FIVB(国際バレーボール連盟)が主催する「世界クラブ選手権」。男子は1989年に、女子は91年にスタートし、その名のとおり“クラブ世界一”を決める大会として実施されている(過去には開催されていない時期やコロナ禍による中止も)。
日本勢では男子の13年大会にパナソニックパンサーズが招待枠で出場、女子は17年に日本で初めて開催され、「サロンパスカップ」と銘打たれた大会に久光スプリングスとNECレッドロケッツが参加した。
出場チームは欧州、アジア、南米といった各大陸のクラブ選手権王者と、それに準ずるチームがワイルドカードとして、ほかに開催地枠が設けられているのがもっぱらだ。
今回、サントリーが参加する23年大会は6チームで争われる。サントリーは今年5月にバーレーンで行われたアジアクラブ選手権を制覇し、出場権を獲得。堂々のアジアチャンピオンとして、インドの地に臨む。
まずは3チーム2組に分けられた予選ラウンド(1試合総当たり)を戦い、各組上位2チームに入れば、決勝トーナメント(準決勝、決勝、3位決定戦)へと進む。
サントリーの対戦相手にはオリンピック金メダリストの姿も
その予選ラウンドで、サントリーは現地6日にハルクバンク、7日にクルゼイロと対戦する。
ハルクバンクはトルコリーグの強豪チームで、時速130キロを超える弾丸サーブが代名詞の“フライングダッチマン”ニミル・アブデルアジズ(オランダ)がエースを務める。そこに今季からは東京2020オリンピック金メダリストのイアルバン・ヌガペト(フランス)が加わった。ライトからニミルが豪快に、レフトからヌガペトが器用に、得点を呼び込むシーンが見られそうだ。
続いてクルゼイロも、クラブバレーボール界では言わずと知れた強豪チーム。世界クラブ選手権では過去4度の優勝を飾っている。基本的にブラジル籍選手が並び、そのなかには世界で指折りのスコアラーとして名を馳せたバラセ・デソウザや、現在37歳ながら今なお第一戦に立つベテランミドルブロッカーのルーカス・サートカンプ(ともにブラジル)の名前も。南米クラブ王者として参加する今大会では、自国開催で歓喜した21年大会以来の金メダル獲得を目指す。
サントリーにとっては、いずれも未知の相手。メダル獲得へは予選ラウンド突破が最初にクリアすべき壁となるが、それは決して低いものではない。
バレーボールシーンを席巻する“鳥人”たちの競演
さて、参加するチーム数が限られているとはいえ、“世界”を冠するこの大会。コート上では、やはりトッププレーヤーたちの姿が見られ、その競演は見る者を魅了してやまない。ここでしか見られない顔ぶれが一堂に会するのも魅力である。
強烈だったのは、イタリアの強豪ルーベがクルゼイロとの決勝を制して初優勝に沸いた19年大会。表彰式には、ベストアウトサイドヒッターにオスマニー・ユアントレーナ(イタリア)、同ミドルブロッカーにロベルランディ・シモン(キューバ)、そしてベストスコアラーにイオアンディ・レアル(ブラジル)、とキューバにルーツを持つ選手がそろった。
その様子を、元・男子キューバ代表で“エル・ディアブロ(イタリア語で『悪魔』)”の異名を持ったジョエル・デスパイネは「まるで空にきらめく星々のようでしたね」(『月刊バレーボール』内「World Today」より)と表現している。
驚異の身体能力で沸かせるキューバの“鳥人”たちは、今大会でも気になるところ。
サントリーには首都ハバナ近郊のアラマール出身の新鋭アライン・デ アルマスが、対するクルゼイロには21年大会MVPのミゲル・ロペスがいる。また、欧州クラブ枠で参加するイタリアのペルージャは、キューバから帰化した“地上最強アタッカー”ウィルフレド・レオン(ポーランド)がキャプテンを務める。成長著しい22歳のアラインにとって、刺激的な時間になりそうだ。
欧州クラブ王者は不在だが、それでも…
実は今大会、本来は欧州クラブ枠としてCEV(ヨーロッパバレーボール連盟)が主催するチャンピオンズリーグの昨年度優勝チームのケンジェジン–コジエ、準優勝のヤストセブスキ(ともにポーランド)に出場権が与えられていたが、いずれも不参加に。そこでチャンピオンズリーグ3位のハルクバンクが、また同4位のペルージャが繰り上げで出場することになっている。
そのため厳密に見れば、今回の大会を制したとしても世界ナンバーワンとは呼べないのではないか。そんな見方にもなるが、とはいえペルージャは昨年度の大会王者であり、世界最高峰と称されるセリエAで今季はすでにスーペルコッパ制覇を果たしている。
欧州クラブ王者の姿はなくとも、ここで争われる戦いは世界トップレベルと評して異論なし。その大舞台にサントリーは、日本そしてアジアを代表して挑むのである。
(文/坂口功将 Vリーグ写真/山岡邦彦〔NBP〕)
【FIVB世界クラブ男子選手権大会2023】
=出場チーム=
・サントリーサンバーズ(日本)…アジアクラブ選手権優勝枠
・アーメダバード ディフェンダーズ(インド)…開催国代表枠
・ハルクバンク スポーツクラブ (トルコ)…CEVチャンピオンズリーグ優勝枠
・シル シコマ ペルージャ(イタリア)… CEVチャンピオンズリーグ準優勝枠
・サダ クルゼイロ バレー (ブラジル)…南米クラブ選手権優勝枠
・イタンベ ミナス (ブラジル)…南米クラブ選手権準優勝枠
FIVBの公式プラットフォーム「VOLLEYBALL TV」にて全試合配信
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— サントリーサンバーズ (@sun_SUNBIRDS) December 5, 2023
試合会場にて前日練習開始🔥🔥
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