久光 深澤めぐみが東京体育館で立てる誓い。無観客での春高優勝から2年、「やっぱり楽しい」けれど…
- SV女子
- 2023.12.20
バレーボールの「令和5年度天皇杯・皇后杯 全日本選手権大会」は12月17日に男女とも決勝が行われた。準優勝に終わった女子の久光スプリングスの次世代エース、深澤めぐみは悔しさをにじませた。
深澤めぐみ(ふかざわ・めぐみ/身長176㎝/最高到達点302㎝/就実高〔岡山〕→久光スプリングス/アウトサイドヒッター)
春高で2大会連続優勝&最優秀選手賞の深澤めぐみ
今年の皇后杯ファイナルラウンド第2週(準決勝、決勝)の舞台となった東京体育館。近年は全日本高等学校選手権大会「春高」の会場であり、年明け1月4日からは第76回春高が実施される。
高校生にとって集大成となるその大舞台で、2020年度の第73回大会、21年度の第74回大会と連覇を飾り、かつ2大会とも最優秀選手賞に選ばれたのが、久光スプリングス入団2年目の深澤めぐみである。
深澤にとって今回の皇后杯ファイナルラウンドは、春高以来となる“東京体育館凱旋”。センターコートの配置は、まるで同じだったが…。
「素直に“別の会場”という感覚でした。高校2、3年で決勝に立たせてもらったのですが、いいプレーをしても、しーんと。すごく静かだったので、体育館が広く感じていました。ですが今回は、たくさんの方々に足を運んでいただき、応援があるなかでのバレーボールはやっぱり楽しい、と。とても背中を押されているなと感じました」
深澤が高校日本一のタイトルを手のした2年間はコロナ禍の真っ只中。春高は無観客で開催され、東京体育館ではボールを打つ音とプレーする選手たちの声だけが響いた。
けれども、今は違う。皇后杯では有観客はもちろん、声出し応援も解禁。かつての、いや、本来の風景がよみがえっている。
就実高のエースとして全国の舞台で躍動した深澤めぐみ、右は双子の妹の深澤つぐみ(現・東レ)
決勝では苦しみながらも奮闘
皇后杯決勝、最終日。大会を終えて、その瞳に映った光景を思い返してもらったときばかりは、その表情が柔らかくなった。というのも、やはりいちばんには悔しさがあったからだ。
チームとしては過去5連覇を成し遂げたこともあるこの大会で、2年ぶりの決勝進出。先発出場を果たした深澤は第1セット、NECレッドロケッツのサーブに苦しみ、2本の直接失点を許している。そこではリベロの西村弥菜美から「(返球は)上でいいよ」と声をかけられ、無理にセッターに返さずレシーブを上げることを促された。
試合が進み、中川美柚がセッター対角の長岡望悠に替わって投入されると、深澤は攻撃に専念。「自分の特徴は点を取ること」と言うように、アタック面でも本来の調子を取り戻し、得点シーンが増えてくる。第4セットには足を負傷し、ベンチは中島咲愛と交代するカードをきろうとしたが、「大丈夫です」と強い意志表示で退けている。最終的には交代し、ベンチで試合終了の笛を聞いたが、戦う姿勢を貫いた。だからこそ、「試合が終わって、ずっと悔しい。言葉で表すと、悔しいのひと言です。苦しいときに決めきれなかったし、自分のミスを吐き出してしまったのが反省です」と記者会見では唇をかんだ。
決勝を終えて、悔しさをにじませる