久光 深澤めぐみが東京体育館で立てる誓い。無観客での春高優勝から2年、「やっぱり楽しい」けれど…
- SV女子
- 2023.12.20
開幕戦こそ途中出場も以降は積極的にスタメンで起用されている(写真右端)
世代交代を迎える久光のなかで期待される存在
そこにあるのは、自分がチームを引っ張るという思いだ。キャプテンの大竹里歩は今シーズンを迎えるにあたり、「若い選手たちには『自分たちが引っ張っていく気持ちで』と伝えた」と言い、その意識はチーム内で芽生えつつある。
Vリーグで数々の功績を残してきた久光は、昨年度かぎりでエースの石井優希が現役を引退。長岡や大竹、司令塔の栄絵里香らベテラン勢は健在だが、今は世代交代の転換期といったところ。そのなかで、今季はスタメンに抜擢されている深澤は、次の世代を担うエースといえる存在なのだ。そのことをチームメートたちも理解している。
例えば、入団5年目の平山詩嫣は「めぐ(深澤)に自分はすごく期待しているんです。これからも一緒に頑張っていく仲間なので。エースにならなきゃいけない選手だし、私たちが彼女をエースとして支えていかなければならない」と期待を寄せる。その平山は決勝の第2セット、競り合う展開で深澤がアタックを決めてリードを広げた際、ベンチでこん身のガッツポーズ。「決勝とか関係なく、今日は思いきってプレーしてほしかったので。決めたときはうれしかった」と、そのアクションに込めた思いを明かした。
皇后杯準決勝では「自分の力を出しきりたい」と気を吐き、見事勝利に貢献
「チームを引っ張っていく、そうしなければならない」と決意を胸に
そうした周りのサポートや思いに応えながら、深澤はコートに立っている。日立Astemoリヴァーレとの準決勝では序盤こそ硬さが見られたものの、「『あそこが空いている』『力を抜いて』と声をかけていただき、力を発揮できました」と感謝した。
加えて深澤自身、日立Astemoは今季のV・レギュラーラウンドで対戦した際(10月22日)に第1セットで9打数0得点と苦しみ、以降はベンチに下がる屈辱を味わった相手。今回の皇后杯ではチーム最多27得点の活躍で勝利の立役者となり、酒井新悟監督も「日立Astemoとの試合に懸ける思いは彼女自身、強かったのでしょう」とたたえた。
そんな闘争心をぶつけた皇后杯。深澤は決勝を終えて、「私がチームを引っ張っていけるような選手になりたい」と栄に伝えたという。
「私はプレーでみんなを引っ張っていくことができる、と言いますか、それをしなければならないと思うので。崩れないチームの軸になれるように、少しずつ日々、成長していきたいです」
輝かしい青春を彩った東京体育館はこの日、深澤にとって新たな誓いを固くする場所となった。
注がれる期待を力に変えて、さらなる成長と活躍を期する
(文/坂口功将)
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