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春高2025

春高を逃した履正社高のU19日本代表コンビ 再び日の丸をつけるときを目指して

  • アンダーエイジ
  • 2023.12.20

2024年1月4日(木)に開幕する第76回全日本高等学校バレーボール選手権大会(春の高校バレー)の出場は逃したものの、同予選で力を尽くした選手たちを紹介する「次の勝者たち」。今夏の第 18回世界 U19女子選手権大会(クロアチア)を経験した履正社高(大阪)の伊藤一葉と井野麻彩(ともに3年)は、次の舞台での成長を誓った

 

 

春高府代表決定戦後、大阪府高体連専門部から表彰を受けた井野(左)と伊藤

 

初のアンダーエイジカテゴリー日本代表も

積極的に挑戦した夏

 

 金蘭会高が春高出場を決め、熱気冷めやらぬコート。表彰式に、ジャージ姿の伊藤一葉と井野麻彩が現れた。第 18回世界 U19女子選手権大会出場をたたえられ、ともに大阪府高体連専門部から優秀選手賞の表彰。喜びはある。だが、井野の胸中は複雑だった。

「自分もあそこでプレーして、春高に出たかったな、と思います」

 

 代表決定戦進出を懸けた前週の決勝ラウンドで、大阪国際滝井・大阪国際高にストレート負け。夢舞台への道は閉ざされた。昨年度は2年生ながらともに得点源として活躍し、インターハイ府予選、そして春高府予選でチームをベスト 4(けん)引。だが、今季は一度も四強には届かず、井野は悔しさも口にしたが、すぐに「みんなで勝つために出しきったので悔いはないです」と言い直した。その表情には、充実感も漂っていた。

 

 実りの多い1年だった。夏場にはそろってアンダーエイジカテゴリー日本代表に初選出。井野は「初めてで不安はありましたが、何か一つでも成長するぞ、という思いでした」、伊藤は「びっくりしました。今までよりレベルが高い人たちばかりで、ついていくためにめっちゃ頑張りました」と必死に食らいついた。

 

 だが、海外の高さは想像以上だった。井野は「スパイクを打つのも怖かった」とひるんだこともあったが、『挑戦せずに失敗するより、挑戦したほうがいい』と言われて。そこから挑戦することが大事だと思いました」とアグレッシブにプレー。予選リーグのセルビア戦、アメリカ戦ではともにコートに立つなど、伊藤は9試合中8試合、井野は2試合でスタメン出場。イタリアとの3位決定戦ではフルセットの末に惜しくも敗れたが、互いの成長を感じる11日間だった。

「イッチ(伊藤)はサーブがめっちゃよくなった。サーブだけではなくてほかのプレーももっとすごくなって、チームを救ってくれる存在です」(井野)

「コースの幅がすごく広くなっていて。しんどい場面もありましたが、ここぞというときに頼れる存在だったと思います」(伊藤)

 

惜しくもメダルを逃したが、充実した夏を過ごした(#8が伊藤、#10が井野)©FIVB

 

履正社高での3年間を終え

次の舞台へ

 

 かけがえのない夏を過ごせたのも、チームの理解があってこそ。7月のU19日本代表合宿は近畿大会と日程が重なっていたが、履正社高の鈴木太郎監督は 2人の将来を優先させた。

 

 ビーチバレーボールで活躍した同監督のもと、型にはまらない自由なバレーを磨いた3年間。伊藤は入学直後、「全然慣れていなくて打てなかった」というクイック、そして井野はスパイクのバリエーションを増やした。指揮官への思いを問われると、井野は「言葉にできひん」と笑って続けた。

「ちょっと調子が悪いときとか、冗談みたいに声をかけてくれたり、バレー以外の面でも楽しませてくれて。すごく感謝しています」

 

 

履正社高では得点源としてチームの中心を担い続けた2人(#1が井野、#5が伊藤)

 

 全国大会には届かなくても、大きく成長した高校バレーに別れを告げ、伊藤はNECレッドロケッツ、そして井野は大学バレーへ進む。

「どんなことにも粘り強く、あきらめない気持ちでバレーをしているので。そこは続けて、新しい知識を早く習得できるよう頑張っていきたいです。 

 U19日本代表で学んだことを生かして、高い相手でも通用できるように、サーブを頑張っていきたいです」(伊藤)

「攻撃も守備も一級品の選手になれるように。努力して、また代表になって世界と戦えるように、もっと頑張ります!」(井野)

 

 2人は 11月 20日から24日に行われたU20日本代表候補合宿にも参加。再びともに日の丸を背負う日を目指して。オレンジコートだけがゴールではない。

 

 

U19日本代表でともに戦った金蘭会高の西川凜(左から2番目)、大森咲愛(右端)とともに

 

文・写真/田中風太

 

井野麻彩

いの・まあや/身長176㎝/最高到達点290㎝/相愛中(大阪)/アウトサイドヒッター

 

伊藤一葉

いとう・いちよ/身長179㎝/最高到達点303㎝/大阪学芸高附中(大阪)/ミドルブロッカー

 

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