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春高2025

大学日本一の水町泰杜が「最後くらい見に来やぁ」と誘った親友 谷武珍が明かす“幻の対決”と目にしてきた姿

  • 大学生
  • 2023.12.23

第76回秩父宮賜杯全日本バレーボール大学男子選手権大会(以下、全日本インカレ)を制した早稲田大。同年代を代表するエースと称されてきた、キャプテンの水町泰杜は有終の美を飾った。その水町がプレーする姿を見るために、谷武珍(愛知学院大4年)は会場へ足を運んだ。2人の関係を表すなら、幼馴染、親友、そして栄光をともにしてきた仲間…、どれも当てはまる。その目に映っていたのは――。

 

谷武珍(写真左端/たに・たけよし/愛知学院大4年/身長182㎝/最高到達点310㎝/鎮西高〔熊本〕出身/オポジット)

 

全日本インカレ準決勝を観戦した谷

 

 122日、大田区総合体育館(東京)、全日本インカレ準決勝。その第1セット、早稲田大の水町が東海大のサウスポーエース飯田孝雅を一枚ブロックで仕留める。スタンドで観戦していた谷は目を丸くした。

「『サイドステップで、あれだけ腕出る!?』っていうくらいに高さが出てましたから。それにブロックのかたちも、めっちゃきれいやったし。まじで、しびれました」

 

 結果として早稲田大がストレートで勝利し、優勝へさらに加速したこの試合で、谷が最も印象に残った場面に挙げたのが、そのブロックシャットだった。ちなみに、だが…。

「ラリー中に、相手のダブルコンタクトじゃないか、って主審に猛抗議しに行ったでしょ。あれも、泰杜らしいな、って思いましたけれど(笑)」

 

 目に映る水町の一挙手一投足が、ほほえましかった。

「ほんとうにバレーが好きだし、感心しますから。どこにいても、『あぁ、泰杜や』って思います。

 でも、大学がいちばん楽しそうですね。練習での様子はどうなのかわからないけれど、試合を見ているかぎりは、そう見えます」

 

 とにかく楽しそうにバレーボールをするのは、谷も小さいころから知っている。何度も触れて、何度も感じてきた。

 2人がチームメートになったのは小学生時代。地元の菊鹿クラブ(熊本)に入団したときに出会い、ともに初めての全国大会出場を経験した。以降、肩を組んで歩いてきた。

 

 

2人とって初めての全国制覇となった、2016年のJOC杯。④が谷で、⓺が水町 

 

中学、高校では計3度の日本一を味わった

 

 菊鹿中でも全国大会に出場。水町が2年生時にJOC杯(JOCジュニアオリンピックカップ全国都道府県対抗中学大会)熊本県選抜入りを果たしたとき、中学で迎えた新チームでは谷がキャプテンを務めた。やがて水町はエースとしてめきめきと頭角を現し、同年代をリードする存在になる。

 翌年にはそろって熊本県選抜としてJOC杯制覇を成し遂げた。続く高校生活も一緒、寮も同部屋。その名門・鎮西高ではインターハイと春高の優勝を味わった。水町とともにつかんだ3度の日本一に、「ほんとうにね。おいしいところをもらえました」と谷は笑う。

 

 そんな2人のキャリアも大学進学を機に袂を分かつことに。寂しいものだったかと言われれば、どうやらそうではなかったようだ。

「僕自身は、どちらかといえば楽しみでした。正直、対戦相手として一度はやってみたい、と思っていたので。同じチームだと『敵じゃなくてよかった~』と思うんですけどね(笑) 一緒にやっていたからからこそわかることもあるし…。だから、どうしても最後にやりたかったです」

 

 

熊本の名門・鎮西高でも手を取り合い、ともに青春を過ごした

 

 

【次ページ】「コイントスしたいね」と描いた直接対決

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