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春高2025

大学日本一の水町泰杜が「最後くらい見に来やぁ」と誘った親友 谷武珍が明かす“幻の対決”と目にしてきた姿

  • 大学生
  • 2023.12.23

準決勝を終えて整列する際、スタンドにむかっておどけた①水町。視線の先にはきっと…

  

 

「誰よりもバレー馬鹿」だと再確認した瞬間

 

 もしも、対戦が実現していたなら。高校時代、2人はこんなやりとりをしていた。

「武珍の上からスパイクを打ちます」(水町)

「(ブロックで)止めるか、僕も上からスパイクを打ちたいと思います」(谷)

「絶対に無理!!(笑)」(水町)

「言ったけんね!! 見ててください。頑張ります!!」(谷)

 

 谷自身は主な役割がリリーフサーバーになったが、だからこそサーブレシーブに定評ある水町と勝負したいと願っていた。

「サービスエースを1本くらい奪いたかったです。ここでの1本が試合のゆくえを左右する、そんな勝負をしたかった!! 最後の最後に対戦相手として、1セットでも1点でも取ってみたかったです。

 どうだろう。自分の100%の力を出せたとしても…、泰杜を崩せる確率は40%くらいかなぁ」

 

 結局のところ、2人は最後までチームメートの関係だった。今年の特別国民体育大会では本戦出場こそならなかったが、成年男子の熊本県代表としてチームを組んでいる。それは特別な時間だった。

「幸せでしたね。勝負にこだわることを抜きにして、ジュニア(小学生)の頃のような純粋に楽しいバレーができたので。めちゃめちゃ楽しかったです」

 

 その活動の最中、時間があればタブレットと向き合う水町の姿を谷は目にしている。画面には、同時期に合宿に励む早稲田大の映像が。

「チームを離れているけんね」

 そう口にする水町に対して、谷は「ほんと、誰よりもバレー馬鹿だなぁ」と心の中でつぶやいた。

 

 

国体で再びチームメートに。勝ち負け以上に、純粋にバレーボールを楽しむ時間だった(写真提供:水町泰杜)

 

 

水町のことを語るとき、いつも谷はうれしそうだった

 

 10年近くを同じチームで過ごし、喜びも悔しさも分かち合ってきた。学生バレー最後の4年間こそ別だったが、「連絡も取るし、帰省のタイミングで会っていたので」と谷はほほえむ。

 

 さかのぼれば、2人が大学1年生で臨んだ初めての全日本インカレ。荒川総合スポーツセンター(東京)では早稲田大vs.大阪産大、愛知学院大vs.東海大の3回戦が同時刻に行われていた。

 そこで、リザーブとしてアップゾーンに控える谷は、ついつい隣のコートに目を奪われていた。視線の先には、徐々に出場機会が与えられ、コートに立てば強烈なスパイクを突き刺す水町の姿。水町がアップゾーンに戻ったときには、お互いに目が合ったそう。

 

 その試合後、「水町のほうを見ていたね」と水を向けると、谷はどこかうれしそうに言い放った。

「やっぱり泰杜、かっこいいですね!!

 それが3年前の、122日のこと。大学生活の最後に、プレー姿を見届けた日付と同じだった。たとえ離れていても、どれだけ月日が流れても。その目に映る水町泰杜の姿は変わらなかったのである。

 

感情を爆発させながらプレーする水町。これまでも、そして、これからも――

  

 

(文・写真/坂口功将)

 

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