令和5年度天皇杯全日本選手権大会ファイナルラウンドが12月8日(金)から武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京)で行われ、春高に出場する男女3チームが出場した。Vリーグや大学生といった格上との対戦で得たものとは? 第2回は、昇陽高(大阪男子)。1回戦では、あと一歩まで東亜大を追い詰めた
状況に応じて
アウトサイドヒッターをスイッチ
惜しかったではなく、勝ちたかった。
第5セット14−12。土俵際まで東亜大を追い詰めた。だが、そこからジュースに持ち込まれると、サウスポーエースの小山海皇が、バックアタックで続けて被ブロック。惜しくも敗れ、小山は「最後は相手の高さに負けてしまって。みんながつないでくれたボールを打ちきれなかった」とうつむいた。だが、大塚将太監督は1ヵ月後に迫る春高へ前を向いた。「負けたことが成長の糧になって、より頑張ってくれると思います」。
春高の準決勝以降と同じ5セットマッチで、チームとして厚みを見せた。春高府予選代表決定戦と同じく、アウトサイドヒッターには攻撃力の高いルーキー越智煌翼を起用。だが、東亜大の強力なサーブに狙われ、第1セットには2本のサービスエースを許した。そこで代わって入ったのが、国体までレギュラーだった齊藤拓海キャプテン。「盛り上げたらいい雰囲気になるので。自分の役割を徹底しようと思っていました」という守りの要が、チームにリズムを生む。
0-1で迎えた第2セットはディフェンスから相手のミスを誘い、序盤に6連続得点。そのリードを保って試合を振り出しに戻した。1-2とあとがなくなった第4セットは、ミドルブロッカー仲村正也の2本のサービスエースなどで終盤までリード。22-18で、前衛に回った齊藤キャプテンに代わって入ったのが越智だ。第1セットのミスを取り返すように、3得点と大暴れ。フルセットに持ち込んだ。大塚監督は「齊藤は自分の仕事を理解して、越智もオフェンス面で頑張ってくれて。練習してきたことが両方出たと思うのでうれしいです」とたたえた。
すべての全国大会で初出場を果たした昨年度を経て、今季は日本一を目指してきた。全国私立高等学校選手権大会(さくらVOLLEY)で初優勝し、インターハイでは四強入り。堅い守りからセッター寺林和博が組み立てる攻撃にも幅が出る。あとは、昨年度は1回戦敗退に終わった春高で、悔しさを晴らすだけだ。小山は言う。
「(昨年度は)ちょっと緊張して自分の思うようなプレーはできませんでしたが、次が最後なので悔いのないようにプレーしたいと思います。日本一を目指しているので。このメンバーで、みんなで笑って終われるような試合をしたいと思っています」
この日つかめなかった5セットマッチでの勝利は、来年1月にお預け。次は勝利の雄たけびを上げ、どこよりも長いシーズンにしてみせる。
文/田中風太(編集部)
写真/石塚康隆(NBP)
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