細田学園高のベンチに下北沢成徳高の小川良樹前監督!? 「もうバレーはないかな」から就任に至るまで【伊藤潔美監督×小川エグゼクティブアドバイザー対談①】
- 学生
- 2024.01.01
春高都代表決定戦で敗れ、昨年度限りで下北沢成徳高の監督を勇退した小川エグゼクティブアドバイザー
——エグゼクティブアドバイザー就任のお話を受けたときはどう感じましたか?
小川 正直、びっくりしますよね。「そんなのいいのかよ」って(笑) こういった機会をいただいて、理事長先生には心から感謝しています。
ただ、(下北沢成徳高の監督を勇退した昨年の)4月以降は生きがいがないときにどう生きるのだ、という感じで。「もう、バレーはないな」とも思っていました。夏までは北沢中(東京)のお手伝いに行っていましたが、あくまでお手伝い。あまり出すぎたことはしないようにしていました。そんな中途半端だなと思っていたところで細田から声をかけていただいて。職員という身分で関わるのであれば、きちっととやらないといけないと思いました。責任がある分、楽しいですね。
——「バレーはないな」というのはどういった思いからでしょうか?
小川 講演やバレーボール教室のお話もいただいていましたが、自分は勝負に勝つにはこういうノウハウがあると伝えることのほうが、やってきたことと合っているのかな、と感じていました。ただ、年齢を考えてもできて3、4年だろうし、実際にチームについて強化にあたるのはどうなのかな、と。
ただ、そこでお話をいただいて。伊藤先生とはもう30年以上、どちらも全国大会に出られないときから一緒にやってきて。長年、人柄のよさを感じていたので。少しでもお手伝いできるのであれば、という気持ちでした。
伊藤 私は戻ってほしいと思っていましたよ。北沢中を見ているときも生き生きとされていたし、まだまだ現場の先生なんだろうな、と感じていました。先生のいちばんの特技はやっぱり選手を成長させること。教わったうちの選手たちもすごく幸せだと思います。ほんとうに短期間ですが、きちっとチームをつくってくれて、春高県予選決勝でも勝てましたし。
僕は今までもレシーブは一生懸命強化してきましたが、ブロックは(小川エグゼクティブアドバイザーが就任した)この1ヵ間で、多分3年間分ぐらい練習していますよ(笑)
小川 ははははは!
伊藤 ほんとうに(笑) うちは小さいので、なかなか得点につながるまではいきませんが、ちゃんと腕を出して、ブロックの横を抜かせたりするから、レシーブもしやすくなっています。的確に指導されて、やっぱり百戦錬磨で、全国優勝をされただけあるなと思います。
小川 そんなことはない(笑)
伊藤 うちになかった部分を補ってもらって、ほんとうにありがたいです。
ディフェンス力の高さは細田学園高の持ち味
——下北沢成徳高監督時代、小川エグゼクティブアドバイザーは細田学園高にどんな印象を持っていましたか?
小川 知っている人はみんなわかっていますが、関東のチームでディフェンスとつなぎがいちばんいいのは細田です。成徳は単純な攻めのチームなので、それが全国で通用するかどうかを確認するために、細田のレシーブをお借りしていました。守りがいいので、シーズンの前半戦は打っても決まらないんです。
それに対して、選手たちには「どう決めるのですか?」と。相手のレシーブ、ブロックをかわして決めろ、ということではなくて、自分たちの高さとパワーでレシーブに勝っていくぐらい打ち込めるように。細田のディフェンスをターゲットにしながら、どの時点で決まり始めるかを見ながらチームをつくって、そこから全国のディフェンス自慢のチームに試していました。細田に対して決まるか決まらないかは、選手たちの大きな課題でしたね。
伊藤 逆にうちは成徳にあれだけ打ってもらうと、打球が遅く見えて、県内で戦うのがすごく楽になりました。今まで全国大会に出られないだろうという代はたくさんありましたが、出られたのは、ほんとうに成徳、小川先生のおかげですね。
小川 お互いさまですよ(笑) 練習試合はお互いのレベルを上げるためにしていることですから。
伊藤 ゲームにならないこともたくさんありましたが、それでも何セットもやっていただいて。ただ、もっとすごいのは、成徳の選手たちは試合をする前に1時間ぐらいランをして(走って)いるんです。それでもすごくて、この子たちはどうなっているのだろうとは思いました(笑)
今はそのノウハウを教えていただいて。ランやトレーニングのメニューも取り入れたり。おかげさまで、ちょっとずつパワーがついてきていますね。
文/田中風太(編集部)
写真/中川和泉(NBP)
伊藤潔美(いとう・きよみ)
1959年11月3日生まれ/早稲田実高(東京)→早稲田大
小川良樹(おがわ・よしき)
1955年10月29日生まれ/早稲田大高(東京)→早稲田大
【伊藤潔美監督×小川良樹エグゼクティブアドバイザー対談】
第2回・「女子はレシーブ」 固定観念を覆すブロック改革 小さいチームにもできること
第3回・「どちらかが死ぬまで」コンビ継続⁉︎ 細田学園高のベテランタッグが描く指導者としての姿
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