「どちらかが死ぬまで」コンビ継続⁉︎ 細田学園高のベテランタッグが描く指導者としての姿 【伊藤潔美監督×小川良樹エグゼクティブアドバイザー対談③】
- 学生
- 2024.01.03
春高県予選で優勝し、感情を爆発させる選手たち
伊藤 うちの場合は、県大会で優勝するのは当たり前になっているので、2位になったら悲惨です。泣きわめいていますよ。それまで19年連続でインターハイに出ていたのに、今年度は20年目で負けました。だから、今の3年生はすごくつらかったんです。立ち上がれないかなと思いましたが、レギュラーに3年生は2人しかいないなかでよく頑張りました。
県を突破した段階でホッとしてしまって、全国の上位にいきたいという意欲が落ちることもありましたが、そこは先生が変えてくれています。「全国のハードルはもっと高い。目標はベスト4と簡単に言うけども、やっていることは全然違う」、そして「みんなも頑張ってやればできるんだよ」ともおっしゃってくれて。これまでも3年生はどうしても、春高予選を終えると「自分たちの仕事はほぼ終わった」とホッとしてしまうこともありましたが、今は手を抜いていません。
小川 達成感ね(笑) よくある話ですよね。本戦に向けて強くなる代もあれば、横ばいになったり、残念だけど落ちる代もあります。それも選手しだいなので。予選後、最初に「君たちはどっちになるかな。どう考えるかだよね」と伝えました。
——下北沢成徳高での40年以上の監督生活を終え、また第2の人生が始まったという感覚なのでしょうか?
小川 今、楽しいですよ。選手がどう変わっていくのかを見ているのが。細田では身長が低い選手が多いので、成徳と違って、ラリーになると最後に決め手がない。「これ、どうやって勝つんだろう?」と(笑) そこを考えるのは楽しいですね。
伊藤 そこは今までどおりしぶとく、相手がミスするまで頑張るぞ、という気持ちで。決められなかったらつなぐしかない。それは慣れているので(笑)
小川 そこは伊藤先生に任せて(笑) ただ、身長170㎝を切る選手がコートに打っても決まらないとなると、どうやって点を取るのかを追求させてあげないとね。
伊藤 春高県予選決勝では、早速効果が出ていました。相手のほうが大きくて、今までだったら「フェイントで逃げろ」と言っていたかもしれません。でも、小川先生の指示は「ブロックに当ててもいいから、打て!」でした。バンバン打って、ブロックを弾き出して、こんなにボールは飛んでいくんだ、と思って見ていました(笑)
コーチとして2年ぶりの春高に帰ってくる小川エグゼクティブアドバイザー