バレーボールの「春の高校バレー 第76回全日本高等学校選手権大会」(以下、春高)は1月8日に閉幕。男子の福井工大附福井高(福井)は日本一にあと一歩及ばずとも、県勢初の決勝進出を果たした。大躍進を遂げた今大会、チームは従来見られなかったカラーリングのユニフォームを着用していた。
世界的サッカークラブ「ACミラン」を彷彿とさせてきた福井工大附福井高のユニフォーム
赤と黒のストライプ。代によってはデザインがモデルチェンジされ、縞が太いときも細いときもある。ちなみに今シーズンは左右で大きく二分されたツートーンスタイルで、赤色のパネル部分に黒のラインが走る。
そのカラーリングにうなった筆者は、以前から勝手にこう呼んでいた。“高校バレーボール界のロッソネロ”と。男子の福井工大附福井高のことだ。
ロッソネロとは、イタリア語で「赤と黒」。サッカーの世界的ビッグクラブで、かつては日本代表の本田圭佑もプレーしたことがある「ACミラン」を指す言葉。そのACミランが伝統的に着用しているユニフォームが、まさに赤と黒なのである。
実際に福井工大附福井高の面々もそのことを知っているようで、これまで何度も「ACミランみたいでかっこいいでしょ!?」という声を聞いた。今シーズン、1年生ながらレギュラー入りを果たした能美偉時は初めて“赤と黒”のユニフォームを着たときに「これが工大福井かぁ」と胸を弾ませたという。
ちなみに、よく見るとチームが胸につけているロゴマークもどこかACミランを連想させるデザイン。おそらく偶然ではないだろう。
大胆なニューデザインに「派手だなぁ」と西田監督
そんな福井工大附福井高に、赤でも黒でもないユニフォームが誕生した。白をベースに、右から赤・黄・青の3色で太めなラインが施された、なんともカラフルな一着が、今回の春高に登場したのである。
シードのため、チームにとって初戦となった大会2日目の試合後、キャプテンの堤凰惺に思わず声をかけた。すごい色だね!!
「そうなんです。(昨年の)10月に自分たちも初めて目にして。最初はびっくりしました」
聞くに、このカラーリングは運営母体である学校法人「金井学園」のロゴマークがモチーフ。太目のラインで仕立てられたマークには、その3色が用いられている。
男子バレーボール部が従来つけてきたロッソネロとはまるで異なるが、「ふだんから見る色合いなので。なじみはあります」と堤キャプテン。金井学園は福井工大附福井高のほかにも、大学、中学、専門学校などを擁しており、そのグループを代表するものとして、男子チームは春高の舞台を戦ったわけだ。
とはいえ、2008年から長年チームを指揮する西田靖宏監督はその大胆さに少しばかりとまどいも覚えた様子。
「派手だなぁ、って。これが派手と思う自分が田舎者なのかも(笑) 東京に来たら、“イケている”と感じましたからね。かっこいいんだよな、と自分に言い聞かせるように見ていました」
いえいえ、十分にかっこいいですよ。なんといっても、チーム史上かつ県勢初の決勝進出を果たしたシーズンとともに、記憶される一着なのですから。
(文/坂口功将 写真/月刊バレーボール)
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