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春高連覇を達成した駿台学園 亀岡聖成が1年前に決意したこと「厳しくすべきところはしていかないと」【月バレ2023年3月号プレーバック】

 第76回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高)は18日に閉幕。男子は駿台学園が連覇を飾り、昨夏行われたインターハイとの二冠も達成。誰が出ても高い精度でプレーするチームをけん引した主将の亀岡聖成や、ミドルブロッカーの秋本悠月ら多くの選手は、前回大会でもセンターコートでプレーした。

 

【フォトギャラリー】連覇を達成した駿台学園の選手たち

 

 前回、第75回大会の決勝はエース舛本颯真(現・中央大)擁する鎮西に2セットを先取され、後がなくなった第3セット、10-14とリードされたところで当時1年生だった高澤大馳と川野琢磨を投入。流れを変えると、逆転に成功して一気に頂点へ駆け上がった。

 

 月刊バレーボール20233月号では、前回大会優勝後に12年生の下級生対談を行なっており、彼らの1年前の様子を知ることができる。前回の春高優勝をどう振り返り、どのように先を見据えていたのだろうか。本誌を再掲載し、振り返ってみよう。(月刊バレーボール20233月号掲載記事を再編集したもの。本文は当時の内容のまま)

 

------以下、月刊バレーボール20233月号より------

 

駿台学園12年生座談会座談会

バチバチのメンバー争いで全国三冠へ

 

後がなくなった決勝の第3セット、試合の流れを変えたのが途中出場の1年生だった。熾烈なメンバー争いを勝ち抜き、今大会で活躍した下級生たちが、その秘けつを語った

 

 

 

【プロフィール】(写真右から)

秋本悠月

あきもと・ゆづき/2年/身長191㎝/最高到達点330㎝/サレジオ中(東京)/ミドルブロッカー

1年生時からレギュラー。一人時間差攻撃など得点パターンが豊富

 

亀岡聖成

かめおか・せな/2年/身長180㎝/最高到達点322㎝/駿台学園中(東京)/アウトサイドヒッター

攻守の要。第14回アジアU18(ユース)選手権大会ではベストリベロ賞に輝く

 

高澤大馳

たかざわ・だいち/1年/身長180㎝/最高到達点337㎝/駿台学園中(東京)/ミドルブロッカー

身体能力の高さが持ち味。決勝は途中出場で川野とともに投入

 

三宅雄大

みやけ・ゆうだい/2年/身長177㎝/最高到達点322㎝/駿台学園中(東京)/オポジット

決勝は川野と途中交代も、得点力の高いサウスポー

 

川野琢磨

かわの・たくま/1年/身長192㎝/最高到達点324㎝/渕江中(東京)/アウトサイドヒッター

中学3年生時のJOC杯では東京都選抜の優勝に貢献し、JOCJVAカップを受賞

 

 

誰が出ても精度が落ちないプレー

 

――優勝してからの変化はいかがですか?

 

秋本 周りからいろんな目で見られるので、しっかりするようになりました。

 

亀岡 優勝してもあまり変わりませんが、変なことできないというか(笑)

 

 新チームでも全員が同じ精度のバレーをすることが目標です。誰かができればいいのではなくて、全員が同じようなパフォーマンスができるように、基本的なプレーから練習するようにしています。

 

――2回戦(対弘前工)で川野選手と高澤選手が、3回戦(対大村工)で亀岡選手と三宅選手がスタメンと、準々決勝までは試合ごとにメンバーが変わりました。そこで力を発揮できる理由は何ですか?

 

川野 自分はどちらかといえば交代でコートに入るので、レベルを下げないようにすることを意識しています。練習試合からいろんなメンバーが出ていて、交代してもあまり動揺はしませんでした。

 

三宅 誰が出ても精度が落ちないので。選手どうしで負けたくない気持ちはすごくあると思います。ダメだったらすぐに代えられて、メンタルがやられることもありますが(笑) 同じポジションの(川野)琢磨のことは入学してきたときからずっと意識しています。

 

――ふだんからチーム内競争が激しく、精神面も鍛えられている皆さん。今大会でプレッシャーを感じた試合はありますか?

 

三宅 (準々決勝の)東福岡戦ですね。国体では勝ちましたが、その試合は自分と亀岡が出ていなくて。自分たちが出て負けたら「国体のほうがメンバーがよかった」と言われてしまうので、絶対に負けられないという思いでした。

 

亀岡 前回負けたので、東福岡が本気で向かってくることはわかっていました。簡単に勝てると思っていなかったので、とにかく受け身にならないように。チームの課題であるダブルヘッダーの2試合目というのもあって、意識しましたね。

 

秋本 (決勝の)鎮西戦がきつかったです。チームの雰囲気はよかったですが、先に2セットを取られて。焦ってしまうタイプなので、国体はストレートで負けたこともあって「やばいな」と思いましたが、1年生が流れを変えてくれました。琢磨は人が変わったみたいにコートを走り回っていて、頼もしかったです。

 

【次ページ】当時1年生の川野選手、高澤選手が途中出場して試合の流れが動く

 

――その第3セット、10-14から川野選手、高澤選手が途中出場して試合の流れが動きました。焦りはなかったですか?

 

5人 内心(笑)

 

亀岡 追いつくには何か変わったことをしないといけないので。でも、2人がコートに入ってきて変わりました。

 

川野 ミスを怖がらずにプレーしようと思っていました。点を決めたときは喜ぶし、ミスしても雰囲気を落とさないように声を出して頑張ろうと思っていました。

 

高澤 初戦ではしなかったのに、決勝はめっちゃ緊張しました(笑)

 

秋本 顔が真っ白で。「息しろよ!」って言って(笑)

 

亀岡 やばかった! 水を飲んでいるときに口から出ていて(笑)

 

高澤 飲み方を忘れていました(笑) でも、4セット目の途中からだんだん落ち着いてきて、5セット目は伸び伸びプレーすることができました。

 

――試合が進むにつれて相手の強打に対応するシーンが増えました

 

三宅 国体が終わってから、台上からのレフトとライト側からのストレート、クロスのディグ練習に加えて、パイプ攻撃対策のディグ練習も増えて。それが生きたと思います。

 

 基本は自分のことですが、国体の準決勝で鎮西(熊本県代表)と対戦して、レシーブのミスが多かったです。あのスパイクを拾わないと勝てないので、ほんとうに意識が上がったと思います。

 

亀岡 球出しが重要になったと思います。打つ選手はコースや打ち方、スピードについても細かく言われていました。フェイントを入れたり、試合に近い練習をしていました。

 

――なかでもよく布台聖選手(編注/現・早稲田大)がレシーブしていました

 

三宅 すごいインナーを拾っていたので、さすがだなと思いました。

 

亀岡 レシーブもそうですが、声かけでも聖くんに引っ張ってもらいました。切り替えないといけない部分と修正しなきゃいけない部分をはっきり教えてくれたので、やりやすかったです。

 

 例えば、ディグのワンタッチボールなど、必ず拾わないといけないボールをはじいていましたが、それを指摘してもらえたことで(レシーブの)面の角度を意識するようになりました。聖くんのおかげで1本目のこだわりが強くなったと思います。

 

秋本 いつも声を出してプレーしていて、決勝の日はすごく響いていたと思います。決勝は声を出して走り回っていて、イケイケでしたね(笑)

 

――これからは頼りになった3年生がいなくなります。新チームのキャプテンは亀岡選手に決まりました

 

秋本&三宅 (亀岡)聖成しかいない。

 

亀岡 立候補しました。今は練習中のミスを流してしまっていて、まだ聖くんのような存在がいません。これまでは3年生に引っ張ってもらっていましたが、次は自分たちしかいないので。自分が中心となって、厳しくすべきところはしていかないと、と思います。

 

 前回の全国三冠が駿台なので、その記録を塗り替えられるようにしたいです。ただ、技術面も体もまだまだ。組織力を上げて精度の高いバレーをしていかないといけないと思います。

 

秋本 今はまだわからないですが、負けないようにすれば(三冠は)見えてくると思うので。負けないチームをつくりたいです。

 

高澤 まずはポジションを取られないように、しっかりやっていかないとダメだと思います。ブロックでアピールしていきたいです。

 

川野 うまい1年生が入ってくると思うので、何か一つでも突出したプレーを見つけたいです。この1年間を振り返って、春高の決勝で速い攻撃を決められたのはよかったですが、二段トスも打ちきれるようにならないといけません。プレーでは三宅くんにも負けないようにしたいと思います。

 

三宅 来年度もバチバチです!

 

取材/田中風太

撮影/山岡邦彦(NBP)、平野敬久

 

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 以上、月刊バレーボール2023年3月号を振り返った。当時、新チームで主将に立候補した亀岡は「厳しくすべきところはしていかないと」と語っていたが、梅川大介監督は今大会の優勝直後のインタビューで「嫌な役回り」をやりきったことを労っていた。目標としていた三冠は惜しくも逃したが、男子高校バレーのフロントランナーとして引っ張り存在感を発揮し続けたチームは、インターハイとの二冠、春高連覇という勲章を手にした。

 

 

 

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