男子日本代表若手有望選手合宿が昨年12月11日から15日まで、味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)で行われていた。その中に一人、聞き慣れない所属の選手がいた。大学を卒業して社会人3年目の上林直澄だ。
「ジェネレーションギャップ、あります(笑)」
もっとも年齢が近い選手でも、自身が大学4年生のときの1年生。高校生も参加した合宿で、「若さに圧倒されながら、なんとかやれています」と苦笑した。
ことの始まりは昨年の燃ゆる感動かごしま国体に、山形県選抜(成年男子)の一員として出場し、5位・7位決定戦で茨城県代表の筑波大と対戦したことだった。
「大学時代お世話になったので、秋山(央/筑波大監督)先生にあいさつに行ったら、『こんなところで何してんだよ。V(リーグ)にいく気はないのか』というような声をかけていただいて。いきたい気持ちはあったけれど、大学卒業と同時にいくのとは訳が違うし、年齢も25歳で、半ばあきらめていました。でも、いけるならいきたいと思って伝えたら、いろいろと動いてくださったみたいで、『この日程は空いているか』と合宿に呼ばれました」
2022年も同時期に合宿が行われていたこともあり、参加する合宿は想像がついていた。とはいえ、トライアウトなどVリーグへの話が進んでいるのかと思っていただけに、驚きは大きかった。
明治大卒業と同時に、Vリーグに進むことは考えていなかった。
「春高で決勝までいって、正直その熱を超えるものが大学ではなくて、学生という区切りでバレーから離れました。“大学4年で辞める”ってかっこつけていた部分もあったんです(笑) でも今、本気でバレーボールについて考える期間を過ごして、やっぱり自分はまだバレーが好きで、バレーをやりたいんだ、ってわかりました」
地元の山形に帰って、社会人1年目は遊びでバレーをする程度。2年目で国体に出場したクラブチームに呼ばれて、競技を再開した。3年目で出場した国体では山形県選抜のキャプテンを務め、1992年に開催された山形でのべにばな国体以来、31年ぶりの入賞を果たした。
「山形のために、と率先してキャプテンになって、全力でやって、その結果秋山先生に声をかけていただいたので、国体ちゃんとやってよかったな、と思います」
現在は仕事をしながらクラブチームに参加しており、合宿にも有給休暇を使用して参加。今後、どうなるかはわからないが、「(フィリップ・)ブラン監督に教えていただける機会はそうそうないことなので、世界目線の考え方を吸収して、(国体の)チームに持って返って還元したい。それでもし、Vリーグでできる機会があるなら、チャレンジしたいですね」。
チャンスはどこに転がっているかわからない。まずは目の前のことに全力で取り組んで、思い出した「バレーボールが好き」という気持ちを、今後も置かれた場所で表現する。
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