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春高2025

指導現場に変化!? 中学生育成事業での新たな取り組みと今後への期待

  • 中学生
  • 2024.03.14

全国から集まった指導者たちは熱心に耳を傾けていた(提供:〔公財〕日本バレーボール協会)

 

熱量の高い指導者たちが全国各地から集った

 

 同時に、日本中体連が従来の方法から脱却しようとする姿勢もうかがえる。

「これまでだと、各ブロックから推薦された先生方を派遣してもらい、合宿での指導にあたってもらっていました。ですが、それでは本人のモチベーションにもばらつきがありますし、反対に、こういうレベルで指導を学びたいと思っている方々にはチャンスがなかった。これまでのやり方に三石先生も限界を感じていらしたはず。ならば、指導に携わる方たちに、飛び込んでみませんか、と投げたわけです」(加藤先生)

 結果、全国各地から意欲的な指導者たちが集まった。なお、実情を明かすと、参加経費は各自の実費負担である。

 

 合宿を終えて、三石先生も「とてもよかったと思います。やはり本人たちの熱量が、これまで以上のものでしたから。終わってからフィードバックをいただきましたが、あふれんばかりの思いを感じました」と好感触を覚えた様子だった。

 

合宿中の練習にも実際に携わり、講習で受けた内容をアウトプット(提供:〔公財〕日本バレーボール協会)

 

イタリアバレーボール界の実例と重なる

 

 以前の方法だと、指導者の人選にしても日本中体連の枠に収まってしまう部分があった。だが、今回の講習会に参加した指導者たちが学びを持ち帰ることで、トップからアンダーエイジカテゴリーさらには草の根にまで裾野が広がり、それが一貫した強化体制の構築にもつながるだろう。

 

 そんな期待を抱くと、ふと思い出したことがあった。それはイタリアバレーボール界における指導普及の実例だ。イタリア・セリエA男子のパドヴァで20年来、アカデミーコーチを務めるジョルジオ・サバディン氏は昨年夏、このように語っていた。

「フリオ・ベラスコ氏が各地域、各チームのアカデミーの指導者たちを、トップチームつまりシニア代表のサポートへ入れ替えるように加えていたんです。運よく、私もそこでチャンスを得ることができました。あの経験が指導者人生において価値あるものになっています」

 

 ベラスコ氏といえば、1980年代の男子イタリア代表に黄金期をもたらした名指導者であり、今年からは女子イタリア代表の監督を務める。イタリアバレーボール界の強化にこれまでも携わり続け、指導現場の裾野拡大も施していたのである。

 なお、サバディン氏が指導に携わるパドヴァは、ファビオ・バラーゾやマッティア・ボットロら現在の男子イタリア代表の主力を輩出しており、その育成力の高さから“イタリア国内における重要拠点”と評価を受けている。

 日本中体連が今、取り組もうとしていることは、このケースと重なる。この先のバレーボール界の強化の下地をつくるという点においても、有意義なものだと言えそうだ。

 

(文・写真/坂口功将)

 

 

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