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春高2025

東京の公立校から日の丸へ。中学選抜女子 吉井美樹の学びとイタリアでの出会い「ここに立っていることに感謝して」

  • アンダーエイジ
  • 2024.03.15

 バレーボールの令和5年度全国中学生選抜(以下、全中選抜)の海外遠征が現地219日から26日にかけてイタリアで実施された。女子は現地で事前合宿に臨んだのちに、U17世代の国際大会「Nations Winter cup」で見事に優勝。大会ベストリベロに吉井美樹(忍岡中〔東京〕3年)が選ばれた。強豪ひしめく東京都から見いだされた才能が、海外で得たものとは。

 

 

吉井美樹(よしい・みき/身長175㎝/忍岡中〔東京〕3年/アウトサイドヒッター)

 

 

圧倒されることから始まった海外遠征

 

 イタリア現地、220日。女子イタリア代表のアンダーエイジカテゴリーで構成されたチーム「クラブイタリア」との親善試合に臨んだ吉井美樹は目を丸くした。

「でかい!! 強い!! パワー!! ほんとうに同年代? という感じでした」

 

 厳密にいえば、対戦したクラブイタリアの選手たちはU17世代で、全中選抜はいわばU15。吉井が口にした要素はもちろんのこと、スピードや攻守の水準、また、日頃からクラブチームとして活動していることから遂行する戦術の精度まで、選抜のこちらとは開きがある。

 

 その格上の相手と初めて対戦したこの日の親善試合で、全中選抜は0−3(14-25,15-25,22-25)と、こてんぱにやられた。第1セットはアウトサイドヒッターで起用された吉井だったが、相手サーブを返球できずに失点を重ね、オポジットの忠願寺莉桜(稙田南中〔大分〕3年)に途中からサーブレシーブに加わってもらっている。

「これまでだったら『絶対に捕れる』と思ったサーブも、ボールが強くて、腕が持っていかれました」

 Nations Winter Cupの事前合宿で味わった、海外とのレベルの差。吉井のイタリア遠征は、こうして始まった。

 

 

クラブイタリア戦の序盤でサーブレシーブのミスを出し、苦い表情

 

 

女子U16アジア選手権で味わった悔しさを糧に

 

 昨年、女子U16日本代表に選出され、第1回アジア女子U16選手権大会に出場した吉井。チームは優勝に輝いたが、本人にとってはただただ悔しさが残る舞台だった。

「私自身、公立校でバレーボールをしていたのもあって、アンダーエイジカテゴリー日本代表も『どんな世界なの!?』とすべてが初めてでした。夢のような感覚だった反面、あらゆることで緊張していました」

 

 吉井が在籍する忍岡中は昨年度の東京都夏季大会(中学校総合体育大会兼選手権大会)では都大会2回戦で敗退。そもそも東京都は全国屈指の激戦区であり、えてして私立の名門校がひしめく。そんななか、U16日本代表に抜擢されたのだが…。

 「正直、何もできなくて。こんなにもできないのか、と自分の弱さを身に染みて知りました」

 

 とはいえ、上昇志向を失うタイプでは決してない。むしろ困難をバネにして、自らの成長につなげる。その後、JOCジュニアオリンピックカップ全国都道府県対抗中学大会の東京都選抜入りを果たし、ジャンプ力アップのためにトレーニングに励んだ。やがて全中選抜では「同じズボンでも、以前は余裕があったのが、今ではピチピチになっていたり。『頑張っているじゃん、自分』って(笑) 以前よりも、ちゃんと強くなっていると実感しました」と手応えをつかんでいた。

 

 

成長に意欲的な姿勢が彼女の持ち味である

 

【次ページ】サーブレシーブの上達に励んだイタリアでの日々

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