「また成長を感じたい」忠願寺莉桜が明かす、どんよくゆえの苦悩 従兄弟は現役Vリーガー
- アンダーエイジ
- 2024.03.16
バレーボールの中学世代におけるナンバーワンプレーヤーとして、昨年末のJOCジュニアオリンピックカップ第37回全国都道府県対抗中学大会(以下、JOC杯)で最優秀選手賞に当たる「JOC・JVAカップ」を受賞した忠願寺莉桜(稙田南中〔大分〕3年)。令和5年度全国中学生選抜(以下、全中選抜)女子のキャプテンを務め、2月の海外遠征では出場した「Nations Winter Cup」で優勝と大会MVPに輝いた。そんな彼女のストイックさからかいま見える苦悩と、その先のビジョン。
忠願寺莉桜(ちゅうがんじ・りおん/稙田南中〔大分〕3年/身長182㎝/アウトサイドヒッター)
中学生世代ナンバーワンの呼び声高い忠願寺
ダイナミックに、はつらつとプレーする姿とは裏腹に、忠願寺は決して自信家ではない。見るからにポテンシャルに満ちあふれ、自信を持ってもいいのに、だ。
中学2年生時の2022年度からJOC杯の大分県選抜と全中選抜入りを果たし、昨年は女子U16日本代表として杭州(中国)で行われた第1回アジア女子U16選手権大会に出場を果たす。サウスポーから繰り出す強打を武器にオポジットとして優勝に貢献すると、中学生活最後のJOC杯では大分県選抜を準優勝に導き、「JOC・JVAカップ」「次世代有望選手」「大阪府知事賞」と個人タイトルを総なめにした。
そうして今年2月下旬に全中選抜の海外遠征に臨んだわけだが、年明けの第二次合宿ではこんな思いを口にしていた。
「楽しみですけど、世界の選手たちと戦うのは怖い、という感覚はあります。自分が通用しなかったときにどうなるんだろう、とかネガティブに考えてしまう」
勝手な印象として、ぐいぐい突き進んできたタイプと思っていたが…。
「いやぁ、もう全然です。ポジティブに考えられるようになったのは、それこそ最近。JOC杯でようやくです。それまではほんとうに自信がありませんでした」
最高到達点は293㎝。サウスポーから繰り出す豪快なアタックが武器
バレーボール家系に育ち、憧れは長岡望悠
彼女の軌跡をひもとくと、生まれてからバレーボールは身近なものだった。姉の風來(かえら)は地元・大分の名門である東九州龍谷高で現在2年生。さらに、従兄弟はVリーグ男子の日本製鉄堺ブレイザーズでプレーする髙野直哉。幼少期から髙野のことを「なおくん」と慕い、スパイクの打ち方やレシーブについて質問をぶつけ、教えてもらったこともある。昨年、JOC杯で結果を出した際には、電話で祝福の言葉をもらった。
憧れの選手は同じサウスポーの長岡望悠(久光スプリングス)で、夢は日本代表。中学生になり、そのポテンシャルを見初められ、実績を積んでいる真っただ中だ。
その道のりは本人からすれば、自信を手にして初めて、一歩進んだと実感できるというもの。各世代の選抜しかりアンダーエイジカテゴリー日本代表も、「最初は自信がまるでなかった」ところからスタートしている。それでも「だんだんと経験を重ねていくなかで、どうすれば自分が成長できるかもわかってきたし、スタッフや先生方が支えてくださるので。バレーボールだけではなく、それ以外の部分でも成長できる。今では、これから日本代表を背負っていくうえで必要な通過点だなと、いつも合宿を過ごすときに感じています」。
全中選抜ではキャプテンを担い、スタッフからの信頼も厚かった
合宿では「自分のいいプレーは出しいくい」と苦笑い。その理由は…?