「また成長を感じたい」忠願寺莉桜が明かす、どんよくゆえの苦悩 従兄弟は現役Vリーガー
- アンダーエイジ
- 2024.03.16
海外にも通用するアタック力を備え、ステップアップを続ける
合宿では「自分のいいプレーは出しいくい」と苦笑い。その理由は…?
彼女の場合、その自信のなさはきっと謙虚さからきている。例えば、昨年のU16アジア女子選手権大会に臨むにあたっても、事前に映像を見たことで、「相手は高いな」と思い“すぎて”いた。だが実際に体験してみると、「それほど高くないな、と思えました」と想像と現実のギャップを味わった。
また、“通過点”とはいえ合宿ではいつも頭を悩ませる。全中選抜の第二次合宿では、相手の高いブロックを想定してリバウンドの取り方やブロックフォローにトライしたが、目に見えて四苦八苦していた。
「難しかったです。新しいことにチャレンジする、それ自体はこれまでできていなかったことでもあるので。そこで頭がこんがらがってしまったり。なので、合宿で自分のいいプレーはあんまり出しにくいんですよ」と本人も苦笑い。
そこで過ごすときは、えてして不調。とはいえ、それもすべては自分の成長と受け止めているのが、忠願寺莉桜というアスリートである。
リバウンドの取り方を習得しようと励んだ第二次合宿。チームメートとブロックへのボールの当て方を確認する
「謙虚に取り組むことが、いちばんの近道」(忠願寺)
そうしたストイックさはときに、周りが思う以上に、本人を苦しめてもいる様子だ。自身にとってバレーボール人生で初めてキャプテンを務めた、JOC杯大分県選抜での4ヵ月はまさにそう。
「準優勝の悔しさはまだ残っていますけどね。時計の針を戻せるなら、決勝かな(笑) 活動自体はきついことも多かったので、戻りたくないかも。ですが、大会を通してチームはどんどん進化していきましたし、本番の中でも『これだけ成長できるんだ』と知れたので。その成長をまた感じたい、という感覚はあります」
続いてキャプテンに就き、同世代のフロントランナーとして駆け抜けた全中選抜の海外遠征も同様だ。Nations Winter Cupを終えて、こんな思いを告白している。
「意外と、先輩や後輩がいることよりも同年代と一緒にやるほうがきついことが多いんですよね。なので、やっと終わった、が正直な感想です。でも、試合はやっぱり楽しいので。また別のカテゴリーで試合をしたい、と思うんです」
つらいと感じる期間を乗り越えながら、目標へと突き進む。ときに、仲間と手を取りながら
悩みに明け暮れ、ときに苦しみが伴ったとしても。もっともっと成長したい、という願いが上回る。それは、彼女にとって最大の目標である日本代表を目指すなかで揺らぐことはない。
「まだまだ実感はありませんが、今の自分がこのまま成長していけば、日本代表に到達することもできるとは。けれども、そこは謙虚に取り組んでいくことが、いちばんの近道だと思うので。
まずはU17/U18のカテゴリーでライト(セッター対角)として大会に出たい、とはずっと描いていることです。もちろん周りには強豪校から選ばれる選手もいますし、そこでは技術だけで勝負するのではなく、自分の強みでもある人間性を持って臨みたい。次の世代で、活躍できるようになりたいです」
(文・写真/坂口功将)
どんよくさと謙虚さを抱きながら、この先も同年代の先頭を走っていく
忠願寺がイタリアで直面し、乗り越えたものとは…!?
もう一つのエピソードは
「月刊バレーボール」4月号に掲載
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