バレーボールのVリーグは2023-24シーズンの全カテゴリー、全日程が終了。次のシーズンに控える新リーグへと移っていく。その23-24シーズンを振り返ると、DIVISION1 MEN(V1男子)がこれまでには見られなかった取り組みをしていた点が印象的だった。〔第2回:パナソニックパンサーズ/全3回〕
異競技コラボが実現。パナソニックは大阪エヴェッサとモデルチェンジ
チームがシーズンを通して使用するレギュラーユニフォームとは別に、企画ユニフォームを採用する傾向はスタンダードになっており、そのなかには著名デザイナーや他団体とコラボレーションしたものが見られる。
その中でも今季、V1男子のパナソニックパンサーズが手がけたスペシャルユニフォームは他競技とのコラボ、という点で秀逸だった。
発端はチームの運営母体であるパナソニック スポーツ株式会社がバスケットボールのBリーグ、大阪エヴェッサと共創パートナーシップを結んだことにある。昨年12月にはBリーグとVリーグの共催が実現。そこで誕生したのが、特別デザインのユニフォームだった。
そのユニフォームの最大の特徴は、パナソニックとエヴェッサのデザインをお互いに“交換”した点。それぞれのチームカラーをベースに、パナソニックはエヴェッサの黒色、反対にエヴェッサはパナソニックの青色を用いた仕上がりとなっていた。
「バレーボールを見てもらうきっかけになれば」と大塚達宣
もっとも、競技ごとにユニフォームに関するルールがあるため、完全模倣とはならず、太めの縦ストライプが細めのピンストライプになるなど細部は調整されていた。それでもパナソニックの選手の中で、エヴェッサデザインは好評だった様子だ。
「かっこよくないですか!?」と声を弾ませたのは大塚達宣で、今回の企画において“肝”になった存在。というのも、エヴェッサには洛南高(京都)時代の同級生である飯尾文哉選手がいた。洛南高はバレーボールもバスケットボールも全国屈指の名門で、学生時代から2人は交流を持っていたそう。「なので、自分はエヴェッサへの親近感がさらに沸きました」と大塚はほほえむ。
今回の企画の狙いについてパナソニックの山本拓矢氏(事業推進・広報・渉外)は「エヴェッサさんは大阪で唯一のチーム。男性ファンも多いそうで、客層もそんなに被らない。同じアリーナ競技として争うのではなく、一緒に盛り上げることに至ったわけです」と語る。大塚もまた、「エヴェッサや飯尾選手のファンが僕を見て『あの選手は同級生らしいよ?』と思いながらバレーボールの試合を見てもらうだけでもいいのかなと。それぞれの競技しか知らない方々に、もう片方を見てもらう、そのきっかけになったならうれしいですよね」とほほえんだ。
パナソニックのユニフォームは青と黒の縦ストライプが伝統のデザインであり、近年は“パンサーズ”の名称にちなんだ豹柄や爪あとが施されたシーズンもある。来季の24-25シーズンに向けてチーム名称の変更がすでに発表されており、それに伴いユニフォームのデザインも今後どのように変化するのか。ファンならずとも気になるところだ。
(文/坂口功将)
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