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ニコラ・グルビッチ連載④ポーランド代表監督として臨むパリオリンピックへの意気込みと日本への賛辞「彼らはメダルを獲れる」

 今夏のパリオリンピックで金メダル候補筆頭と評される男子ポーランド代表。2022年から始まったオリンピックサイクルでチームを指揮するのは、バレーボール界における名プレーヤーの一人、ニコラ・グルビッチその人だ。自身も2000年のシドニーオリンピックでは母国のユーゴスラビア(当時)に初の金メダルをもたらした功績を持つ。その人物像そして代表監督としての思いに迫る【最終回】

 

 

ニコラ・グルビッチ(左端/Nikola Grbić/1973年9月6日生まれ/セルビア国籍/男子ポーランド代表監督/シドニーオリンピック金メダル)【写真:Volleyball World】

 

金メダルという結果が自身にもたらしたものとは

 

 選手そしてコーチとしても数えきれないほどの勝利と勲章を手にしてきたグルビッチ監督。やはり色褪せないのは2000年シドニーオリンピックでの優勝だろう。母国が騒乱の最中、当時の男子ユーゴスラビア代表が栄冠に輝き、そのキャプテンとして金メダルを首にかけた。

「間違いなく、『自分がグッドプレーヤー、いい選手である』という意識を私にもたらしました。結果というものは、自分がこれまで進んできた道が正しかったことを確信させ、自信を与えてくれます。

 オリンピックで金メダルを手にしましたが、それ以降はかなわなかった。いいプレーをすれば大会の準決勝や決勝に必ず進めるものですが、それでも優勝には届かない。ましてやオリンピックという舞台で優勝するためには、特別な理由が必要なわけです。私の場合は実際に優勝を経験したことで、自分の実力を確認できましたし、やはりバレーボール選手として『これが最高の結果なのだ』と実感しました」

 

 男子ポーランド代表のセッター、グジェゴシュ・ウォマチが語ったようにグルビッチ監督は“自信にあふれた人間”だ。監督として臨む初めてのオリンピックがまもなくやってくる。そこに向けて抱いているのはプレッシャーか、それとも自信か。

「私は“いつも”自信を持っています。なぜなら、我々は素晴らしいチームだからです。オリンピックでは選手たちが万全の状態で望んでくれることを願っています。ご存知のとおり、ポーランド代表はヨーロッパ選手権、ネーションズリーグを制覇し、FIVBランキング1位という今の位置にいます。100%を出せば、メダルを手にすることはできるでしょう。

 とはいえ、自分たちがベストを尽くしても、その日の相手がそれ以上に素晴らしかったり、それを攻略するのが難しい場面は何度もやってきます。また、審判のジャッジやボールのインアウトなど自分たちがコントロールできないものがあります。だからこそ、可能な限り最善の準備をして、いざというときにタフな状態で試合に臨めるようにしたいです。もちろん、プレッシャーもありますよ(笑)」

 

昨年のネーションズリーグでは準決勝で日本と激突。ポーランドは第1セットを落とすも逆転勝利を収めた【写真:Volleyball World】

 

日本を攻略するためには「最高のバレーボールをしなければ」

 

 パリオリンピックのバレーボール競技は7月26日に開幕する。男子ポーランド代表は金メダル候補として花の都に立つ。それは日本も同じだ。キャプテンの石川祐希を先頭にメダル獲得を目標に掲げ、スポーツの祭典に臨む。

 

 そこでの対戦だってありえるだろう。その日本に対して、最後にグルビッチ監督の評価を聞いてみる。

「近年、彼らはとてもレベルアップしました。素晴らしいバレーボールをしますよね。フィジカル面はそれほどでもありませんが、とてもテクニカルで、なおかつ素晴らしいセッターやサイドアタッカーがいる。非常に高い組織力を持ったチームといえるでしょう。

 何もさせてくれないし、エラーも被ブロックも少ない。彼らとの試合はほんとうにタフなもので、こちらとしても忍耐力が必要です。日本に勝利するためには、その瞬間にできる最高のバレーボールをしなければなりません

 

 この夏、日本はメダルを争うライバルになりえるだろうか?

「もちろん、そうですね。彼らはメダルを獲りにきますし、確実にトップチームの仲間入りを果たしています。メダルを獲る可能性は多いにあるでしょうし、それは驚くことではありません」

 

 そう語ったグルビッチ監督は、このような言葉でインタビューを締めた。

「私たちの対戦相手にならないことを願っていますよ」

【完】

 

悲願のオリンピック金メダルを目指し、パリに挑むポーランド【写真:Volleyball World】

 

取材・文/坂口功将

 

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