ビーチバレーボールの国内大会「ワールドマスターズゲームズ2027関西開催記念 ジャパンツアー2024サテライト南あわじ大会」が6月29日〜30日に慶野松原海水浴場ビーチバレーコート(兵庫)で開催され、男子ベスト4に入る奮闘を見せたのが横山龍二/水島健組。2024-25シーズンからVリーグに初参戦するレーヴィス栃木の2人だった。
栃木初の地域密着型プロクラブとして活動するレーヴィス栃木
砂浜の上で鮮やかなパープルのジャージが映える。胸の部分に書かれているのは、チーム名の英語表記「REVE’S TOCHIGI」。栃木県初の地域密着型プロクラブとして創設され、2024-25シーズンからVリーグに参戦するR栃木から、1組のペアがビーチバレーボールの戦いに身を投じていた。
そのうちの一人、水島健はその理由をこのように話す。
「チームはこの週末もインドアの練習を行っているのですが、ビーチバレーボールの活動に理解をいただき、こうして大会に来させてもらっています。まだまだポイントもないので、地方の大会に出ることから。なるべくビーチでも結果を出したいですし、ここでプレーすることがチームの知名度アップにもつながると考えています」
聞くに、水島自身がビーチバレーボールを始めたのは日本大4年生時。当時はコロナ禍にあり、インドアの競技活動が停止したこと、また就職活動の幅を広げたいねらいがきっかけにあった。
卒業後は(公財)栃木県スポーツ協会にスポーツ専門員として従事。「インドアに対して気持ちが切れてしまったこともありました」と明かすが、今季からのVリーグ参戦に胸を弾ませる。
「実際にリーグに参入するとなると、その環境にいられることがありがたいですよね。それに新リーグはもちろん、今は男女ともにバレーボール界全体が注目されている。そのなかでプレーできるのはうれしいです」
「栃木県内でバレーボールの輪が広がる」ことを願って
一方で、水島とペアを組んだ横山が本格的にビーチバレーボールを始めたのは昨年の夏頃。それまでは一般企業に勤め、バレーボールは平日の夜と週末だけ励んでいたが、R栃木の運営会社に転職、Vリーガーとしての道を踏み出した。
「大学生の頃、夏に少しだけビーチバレーボールをやっていたんです。おもしろいのは知っていたので、R栃木に入ってから水島に『一緒にやらないか?』と声をかけさせてもらいました」
横山は栃木出身であり、県内の名門である足利工大附(現・足利大附)高を卒業後、東京の国士舘大へ進んだ。自身がそうだったからこそ、R栃木の存在意義には説得力が宿る。
「栃木県自体、それほどバレーボールが盛んではありません。ですが、小さい子どもたちに競技を知ってもらったり、地元を離れた大学生の選手たちが戻ってこられる場所ができたと思うんです。R栃木を中心に県内でバレーボールの輪が広がる、そうしたいい影響があるのかなと感じます」
ビーチバレーボールでも着々と成長中。いざVリーグの舞台へ
今回のジャパンツアーサテライト南あわじ大会では巧みにボールをつなぎ勝ち上がるも、準決勝で長谷川徳海(ハウスコム)/安達龍一(トヨタ自動車)組に敗れる結果に終わった。この2人はビーチバレーボール界でもトップレベルにあり、第1セットでは開始から大量リードを許すなど、その力をまざまざと味わった。それでも第2セットでは気持ちを切り替え、競り合う場面も。そこに確かな成長があったと2人は振り返る。
「第1セットがあのような展開だと、いつもはそのまま沈んでしまうのですが、今日は上げることができました。それが大きな成長かなと思いますね!!」(水島)
「水島から『しっかりと声を掛け合ってやっていこう』と言ってもらって。どんどん流れが悪くなる一方だったので、自分のプレーを発揮することで切り替えられたかなと思います」(横山)
2人は8月のビーチバレージャパン第38回全日本男子選手権まで活動する予定で、以降は10月から始まる2024-25 Vリーグに照準を合わせる。
「インドアではリベロかサイドアタッカーか定まっていないのですが、自分は得点を量産するよりも裏方のタイプなので。数字に出ないプレーを精度高く頑張りたいです」(水島)
「僕自身が活躍することでもっともっとチームの存在を知ってもらいたいですし、“バレーボールは楽しいんだぞ!!”と味わってもらいたい。インドアでもスパイクが得意なので、どんなトスでも決められる姿を見せたいです」(横山)
砂の上とはまた違った姿が、そこでは見られることだろう。
(文・写真/坂口功将)
【ギャラリー】レーヴィス栃木の名前を背負ってプレーする横山/水島組 5点