ドイツ男子を率いる監督と主将の友情に似た信頼関係「冗談まじりに今も話す」10年前の直接対決の記憶
- 日本代表
- 2024.07.26
男子ポーランド代表のキャプテンを務めたヴィニャルスキ。甘いマスクは現役時代から変わらない
「良好な関係を築けている。最高の成果を願っている」とカンパ
現在、ヴィニャルスキは40歳。2016/17シーズンまで現役だったことを思えば、指導者としてのキャリアは比較的浅い。だが、ポーランド・プラスリーガでは強豪ザビエルチェを率いるなど手腕への評価は高く、2022年からドイツ代表の監督に就任した。
カンパは監督としてのヴィニャルスキをこのように語った。
「総じて見ればいい決断だったと思うんだ。なんせ、彼はグッドガイだからね。まだ若いとはいえ、年々経験を重ね、指導者として成長しているのが目に見えるんだ。それに落ち着きも増している。
毎日、毎週、毎年、僕たちは彼のことをより深く知り、良好な関係を築けている。彼が代表監督になると決めてくれたことがうれしいし、今年の夏、ともに最高の成果を得られることを願っているよ」
お互いに国の代表として、しのぎをけずったものどうしだった。それが今は、ともに世界の頂点を目指している。しかも、その舞台にたどり着くために監督は救いを乞い、その期待に選手側は見事、応えてみせた。
まるで王道バトル漫画のような展開ではないだろうか。
「パリではメダルを取る。その力はある」とカンパ
「自分のチームを勝利に導く、それだけです」とヴィニャルスキ監督
そしてヴィニャルスキ“監督”の口からも、厚い信頼を表す言葉が聞かれた。
「ルーカス(・カンパ)はとても経験豊富な選手ですし、チームにとってほんとうに大事な存在のままなんです。10年前の世界選手権を覚えているかって? もちろんです。
私は6年前から指導者になりましたが、携わるチームのなかには一緒に戦った仲間や対戦相手が数多くいます。そのこと自体は、もう慣れたものです。ルーカスたちはほんとうにプロフェッショナルな選手ですし、すべてがうまくいくと信じています」
ヴィニャルスキ自身は母国以外の代表を率いることをどう感じているのだろうか。場合によってはパリオリンピックで、それこそメダルを懸けてポーランドとぶつかる可能性だって十分にありえるが…。
「確かに私はポーランド人です。ですが、今はドイツ代表を指揮する立場。自分のチームを勝利に導く、それだけです」
現役時代に世界一を知った指揮官が、かつてのライバルたちを導く。その彼らが10年前に手にした輝き以上の勲章をもたらすために。そんな絆こそが、今のドイツが携える最大の武器かもしれない。
ヴィニャルスキ自身、現役時代にオリンピックのメダルは手にしていない。監督として悲願成就なるか
(※)東西分断時に東ドイツが1969年ワールドカップと1970年世界選手権で優勝、1972年ミュンヘンオリンピックで銀メダルを獲得
(取材・文/坂口功将 写真/Volleyball World)
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