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春高2025

「直伸はパリに行っておりますので」東レ静岡と古川工高OBが亡き藤井さんの地元でバレーボール教室を開催

  • SV男子
  • 2024.08.07

 

 

「地元に恩返しをしたい」と生前に約束していた元・男子日本代表の藤井さん

 

 「心は一つプロジェクト バレーボール教室」が81日、石巻市総合体育館(宮城)で実施された。

 

 このバレーボール教室は20233月に逝去した元・男子日本代表の藤井直伸さん(享年31)が生前、「東京2020オリンピックを終えたら石巻市で教室を開いて、地元に恩返しをしたい」と願っていたことから、その思いを実現すべく企画されたもの。藤井さんの母校である古川工高(宮城)のOB有志が実行委員会となり、所属先だった東レ静岡の阿部裕太監督、キャプテンの重藤トビアス赳、李博、小野寺瑛輝、真子康祐マネジャーが講師を務めた。

 

バレーボール教室の講師を務めた東レ静岡の面々

 

 当日は地元の小中学生、計60名が参加。なかにはこれが初めてバレーボールに触れる機会となる子どもたちもいたが、李を筆頭にやさしくていねいに指導する様子が見られた。

 

 社会人そして日本代表と長年、藤井さんとコンビを組んできた李は「藤井がやりたかった夢でしたから。これだけの皆さんの思いが集まったステージに、こうして携われたことを誇りに思いますし、とても刺激をもらいました」と感無量だった。

 

「(パリオリンピックには)間違いなく選手として参加していただろうな」と恩師の佐々木校長

 

 教室の前夜731日には石巻市内で関係者による懇親会が行われ、高校生時代の藤井さんを指導した古川工高の佐々木隆義校長は「(藤井)直伸は今日パリに行っておりますので、この場に参加することはできないのですが、日本バレーの金メダルと東レアローズの新リーグ初代優勝を祈念して」と温かいユーモアをまじえて乾杯のあいさつ。ちょうど同時刻にはパリオリンピックのプール戦、日本vs.アルゼンチンが行われていた。

 

「実はバレーボール教室の開催ともう一つ、直伸と約束していたのが『パリオリンピックに行くこと』だったんです。そのときは、コーチとしてかな、と思っていたのですが、今の状況を見ると間違いなく選手として参加していただろうなと。この場面で直伸がいればな、と思うことがたくさんありますからね」と佐々木校長は惜しんだ。

 

 そうして教室が行われた4日後、パリオリンピックの決勝トーナメント準々決勝で日本はイタリアと対戦。フルセットの激闘の末に敗れたものの、ベンチには藤井さんの写真が。パリの地で、日の丸をつけて戦う仲間たちの姿を見守っていたのである。

 

藤井さんが実現したかった景色がこの日、体育館に広がった

 

 

(取材・写真/坂口功将)

 

 

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