パリオリンピックを最後に現役引退を表明していた古賀紗理那(NECレッドロケッツ川崎)が8月16日(金)、都内での記者会見に臨んだ。
結果的に最後の試合となったパリオリンピック、ケニア戦が行われたのは8月3日。それから2週間ほどの時間が経った。登壇するや、「緊張しています」と切り出した古賀。だが、「(引退について)まだそんなに実感はないのですが、パリオリンピックが終わって帰国してから、ずっとゆっくりしているので」と語ったように、コートを離れ、ボールにも触れず、“普通の人”として過ごす時間が充実したものだったことをうかがわせるように、その表情はどこかすっきりとしていた。
熊本信愛女学院高(熊本)2年で日本代表に初選出され、同校を卒業後はNECレッドロケッツのエースとして、そして日本代表の一員として常に第一線で走り続けた9年間だった。「大変なこと、悔しいこと、惨めな思いをしたこともたくさんありましたけれど、(バレーボールの)プレーももちろんですが、人としても成長できた9年間だったんじゃないかなと思っています」と振り返った。そして、パリオリンピックについても「私たちの目標であるメダルには手が届かなかったので、そこは悔しい。けれど、チームとして戦うためにずっと練習を重ね、積み上げてきたものは少しも消えない。私自身を含めて、みんな本当に頑張った大会だったと思っています」と胸を張った。
28歳での引退について、まだできるのではという声もあるが、「年齢に関してはあまり考えていなくて、自分の中でここ(パリオリンピック)まで絶対にやりきると決めたのが28歳。引き際などは何も考えておらず、全力を出しきって終わることができたと思います」と後悔はない。
今後については、「今はまだまったく考えていませんが、これまでずっとお世話になったバレーボールに何か還元できればいいなと強く思っています」と語る。そして、自身の活躍も刺激となり、バレーボールに励んでいる全国の子どもたちに向けては、「人のことは気にせず、自分がうまくなりたいと思う気持ちだけで絶対にうまくなれると思うので、中途半端なことをせず、全力で頑張ってほしいなと思います」と、いかにも古賀らしい言葉でエールを贈った。
会見の終盤には、夫である西田有志(大阪ブルテオン)も古賀の隣に立ち、はにかみながら長年の労をねぎらった。
なお、10月12日(土)に開催の「2024-25 大同生命 SV.LEAGUE オープニングマッチ(NECレッドロケッツ川崎 対 埼玉上尾メディックス、会場は神奈川県の川崎市とどろきアリーナ)」では、古賀の引退セレモニーが行われる予定となっている。
取材・文/村山純一(月刊バレーボール) 写真/魚住貴弘
■古賀紗理那 キャプテンとして、そしてエースとしての誇りを胸に
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