梅川大介監督(駿台学園高)が描く春高までのプラン 連覇したインターハイと「怒りながら若手育成をした」夏
- 高校生
- 2024.09.17
全国三冠を目指す今シーズン、8月のインターハイで連覇を飾った駿台学園高(東京)。梅川大介監督のインタビューをお届け。例年とは違う夏を過ごし、春高を見据えたチーム作りに着手している(取材日:8月22日〔木〕)
梅川大介監督(駿台学園高)
——21日(水)に行われた国スポの関東ブロック大会では、駒澤大高の戸田光信監督が東京都少年男子チームを率いていました。今大会、梅川監督は指揮を執らないのですね
僕は辞退しました。去年から言っていて、今年に関しては早い段階でやらない、と。東京都の少年男子は基本的にインターハイ都予選優勝監督がそのまま監督をできるルールですが、勝とうが負けようがやらないと伝えました。この代だからということではなく、もうやらないと思います。
——長年監督を務めていたことも理由なのでしょうか?
それもあります。ずっと同じ人がする必要はないですし、いろんな先生が持ち回りでやったほうが経験を積めると思うので。ただ、サポートはしますし、申請や手続きなどは全部やっています。
——昨日のブロック大会までほとんどチームを見ていなかったそうですね
戸田先生がやりづらいと思うので、関わらないほうがいいかなと思って。昨日初めて見ました。
——3年前のJOC杯で日本一になったメンバーも多く、力のある選手がそろっている印象です
戸田先生のプレッシャーになるかもしれませんが、ふつうにやれば勝てると思います(笑) 駿台(学園高)の単独チームよりも強いはずなので。
国スポを通して、自分たちでチームをどう進めていくかという経験は、うちの生徒にとってもいい勉強になると思います。コートメイクを含め、全部自分たちでしないといけない。大学ではそういった状況になるので、それを現段階で感じられるのもいい。ふだん自分たちがやらせてもらっている環境がどれだけ恵まれているのか、それに気づくいい機会でもあると思います。
——インターハイ優勝後すぐに国スポの練習に入り、谷本悦司選手は「余韻はあまりない」と言っていました。梅川監督はどんな記憶ですか?
結構前という感じがしますね。彼ら(駿台学園高の国スポメンバー)は国スポに向けて一生懸命やっていますが、自分はそのメンバーから外れた1、2年生を指導して。数ヵ月ぶりに怒りながら若手育成をしていました。
今年のチームは3年生主体で、インターハイではなかなかメンバーチェンジをしませんでした。なぜかと言うと、下級生にまだ力がないからです。春高に間に合ってもらうために、コーチと一緒に全力を注ぎました。
国スポ前に居残り組と国スポ組で練習試合を組むので、そこで国スポ組を倒すのが居残り組の使命だと伝えています。国スポ組もいる前で言ったので、彼らもサボっていられないという思いがあるはずです。
選抜チームで国スポに臨む東京都少年男子
——選手たちは全国三冠を目標に掲げていますが、一つ目のタイトルを獲って、その到達度はいかがでしょうか?
インターハイで自分たちの力がほんとうにあるのかを試してみて、今年はそれなりに勝負ができる年ではあるのかなと思っています。春高に向けて、ここから大きいチームがより力をつけてくるので、そこに負けないようにしっかりやらないといけません。
——5月には高校生で唯一、第72回全日本黒鷲旗男女選抜大会に出場しました。チームとしても一つのきっかけになったのでしょうか?
今年の選手たちはもともと、大きな大会でスターティングメンバーとして出たキャリアはあまりありませんでした。負けてはいけない大会とか、ああいった高いレベルをインターハイ前に経験できたことはプラスでした。そのおかげもあって、インターハイでもそこまで緊張しないで入れたのかなと思います。
(2-3で敗れたV2の北海道イエロースターズ戦で)最後、櫻井(信人)がマッチポイントでスパイクをラインアウトにしましたが、あれを入れるようにしなきゃダメ、とか。
ほかには植草(光稀)が、マッチポイントで上がってきたトスをブロックされましたが、彼はエースではないのでつなぎやミスをしてはいけない役割です。去年の亀岡(聖成/現・筑波大1年)だったらリバウンドを取って逆サイドの川野(琢磨)で終わりでしょ、というシチュエーションで、まだキャリアがないから打ってしまった。でもそういう経験があったからこそ成長して、ここは打つべきではないという判断ができるようになってきたと思います。
——インターハイでも焦らなかったですね
言い方は少し変かもしれませんが、「うまくいかねぇな」というぐらいで、大人のような感じでした。うまくリズムに乗るような点数がポンと入ったら、一気に追いついたり追い越したりすることができたので。
そういう意味では直前の大学生とのゲームでだいぶ自信がついたのかなと思います。大学生にもほとんど負けていなかったので、何とかなるという。(インターハイでは)一通り相手の様子を見て、そこからどう捕まえていこうかな、という感じだったのかなと。こっちが捕まえにいったときにしっかり捕まえていたので、そういった自信はあったのかなと思います。
こっちはいちばん完成度が高くて、相手は(大会などがなく)そうではない状態で。嫌だったと思います(笑)
——10月には国スポがありますが、今後チームをどう伸ばしていきたいでしょうか?
国スポで彼らがどういった経験を積んできてくれるか。(居残り組は)自分たちでうまく考えながら、1年生がどれだけ融合できるか。そうすればオプションが増えるので、戦い方に幅が出るのかなと思います。
——ライトからの攻撃も一つポイントになりそうですね
もちろん植草も頑張っていますが、彼がいなくても安定する守備力を両レフト(川野と櫻井)がつけて。そこに1年生の畠(昊太郎)が入るのか、川野をオポジットに追いやってでもレフトに落合(康陽)が入ってくるのか、とか。またミドルブロッカーの高澤(大馳)のところを狙われるのであれば、そこに小布施(琢磨)が入ってもきっちりとこなせるというところまでもっていければ、穴がなくなってくると思うので。
今、1年生は四苦八苦しながらやっています。2年生が(メンバーに)少ないので、1年生には「2年生の仕事をしてもらわないと困る」と伝えています。1年生は大変ですが、そこがうまくいけば冬はまた勝負できるのかなと思います。
身長190㎝の落合(後列左端)、サウスポーの畠(同左から3番目)、身長194㎝の小布施(同右端)ら1年生も将来が楽しみな選手がそろう
取材/田中風太(編集部)
写真/山岡邦彦(NBP)、編集部
発売中の月刊バレーボール2024年10月号では、インターハイ優勝チームのストロングポイントに迫る。駿台学園高は、今季の象徴で昨年度は「考えていなかった」というバックアタックについて、梅川監督、そして選手たちの声から深堀りした。
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