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身長168㎝の中山沙也(金蘭会高)が驚きのベストOH賞 「やっぱりレベルが高い」先輩とさらに高みへ【2024女子U17世界選手権大会】

  • アンダーエイジ
  • 2024.09.19

 

小学生時に憧れて神奈川から大阪へ

 

 自ら道を切り開かなければ、たどりつかなかった舞台かもしれない。現在は共栄学園高(東京)の主力を務める姉の楓とともに、小学2年生で始めたバレーボール。4年生時に足を運んだ東京体育館(東京)で、運命を変える試合を見た。金蘭会高が東九州龍谷高(大分)を下した2019年の春高決勝。中川つかさ(NEC川崎)、西川有喜、宮部愛芽世(ともにJT)らスター選手がそろっていた。プレーはもちろん、引きつけられたのは選手たちの表情だった。

 

「すごく楽しそうにバレーをしていました。どのチームも強かったけど、金蘭は楽しそうで、カッコよくて。ここにいきたいな、と憧れました」

 

 両親にすぐに伝えた。「ここに行く!」。全国大会に出たことはなく、ましてや地元の神奈川県から離れた関西のチーム。両親は「夢は大きく持とうね」と返したが、中山はその思いを抱き続けた。金蘭会中(大阪)の卒業生がいる比叡平(滋賀)の小野由美子監督との縁もあり、6年生時に同中の練習体験会に参加することに。「びっくりしていました」という両親は、「最終的には自分が決めることだから」と背中を押してくれた。

 

 小学5年生で165㎝あり、「スパイクだけ打っていたらOK、みたいな。派手なプレーが好きで、レシーブは全然できなかった」と振り返る小学生時代。だが、当時全中優勝4回を誇る名門に入ると、すぐに鼻っ柱を折られた。そのころの得点源は西村美波や平野シアラ(現・金蘭会高3年)ら身長170㎝台後半の3年生たち。佐藤芳子監督からの「小さい選手はレシーブができないと、これからやっていかれへん」という言葉でスタイルを見直した。「人としてもそうだし、バレーでもほんとうに細かいところを学びました」という3年間。3年生時に全中で4連覇、そしてJOC杯でも優勝と華々しいフィナーレを飾った。

 

中学3年生時の全中では、エースでキャプテンとして日本一に貢献

 

 

 憧れのユニフォームを身にまとうときがきた。だが高校入学後、再び熾烈(しれつ)な競争が待っていた。

 

JOC杯でも勝たせてもらって、『高校も頑張ろう!』という気持ちで入りましたが、思ったよりもレベルが高かった。全然ついていけませんでした」

 

 中学時代に全国で鳴らしたスパイクは決まらず、対照的にブロックの上からたたき込まれる。特に1年生時からアンダーエイジカテゴリー日本代表としてプレーするリベロの西川凜には「ほんとうに凜さんだけには決められなくて。チャンスボールみたいに上げられます(笑)」と実力不足を痛感させられた。

 

「全然通用しないな」と苦笑いを浮かべながらも、そこで引き下がらない。西川に「打つコースがわかりやすい」と言われれば、「どうしたらわかりづらくなるだろう」とセッターの丹山花椿らにアドバイスを求めた。入学前の全国私立高等学校男女選手権大会(さくらVOLLEY)でデビュー。インターハイでは主にリリーフサーバーとして金メダルを手にした。西村、大森咲愛に次ぐ3番手ながら、アウトサイドヒッターのレギュラーを狙う。

 

 台風10号が接近していた8月下旬。同級生の吉田桜香とともに、ペルーから帰国しチームに合流した。銀メダルを獲得し、ベストアウトサイドヒッター賞の勲章も得た。海外の壁を相手に大きく成長し、仲間たちにこれまでとは違う姿を見せる、はずだった。

 

「『ストレートに決まるようになった!』と思って帰ってきたのに、(レシーバーが)そこにいることが多くて。『あれ?』みたいな(笑) 帰ってきて練習したら、やっぱりレベルが高いなって。世界よりも金蘭の先輩のほうがすごかったです」

 

 「『よりも』と言うと失礼だけど」とすぐに訂正したが、それは本心だろう。そして、目を輝かせて言った。

 

「もっともっとうまくなろうと思いました」

 

 撮影のために持ってきた日の丸のユニフォームをていねいにしまった。「金蘭、ほんとうに楽しいです」。笑顔でそう語ると、先輩たちが待つ体育館へ足早に向かった。

 

リリーフサーバーからレギュラーの座を目指して。挑戦は続く

 

中山沙也

なかやま・さや/身長168㎝/最高到達点289㎝/金蘭会中(大阪)/アウトサイドヒッター

 

文/田中風太(月刊バレーボール編集部)

写真/石塚康隆(NBP)、編集部、FIVB

 

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