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春高2025

金蘭会高 大森咲愛&西村美波対談(後編) 日の丸経験者が7人 プラスに変えた「勝って当たり前」の重圧

  • 高校生
  • 2024.09.20

7月下旬に行われたインターハイで2年ぶりの頂点に輝いた金蘭会高(大阪)。ベスト6に選ばれた大森咲愛、西村美波キャプテンの対談を2回にわけてお届け。後編ではともに経験したアンダーエイジカテゴリー日本代表での経験について。その学びをチームに還元し、インターハイでの栄冠に導いた

 

 

高校生では秋本美空(共栄学園高〔東京〕3年/右端)とともに、第18回世界U19女子選手権大会で主力として活躍した大森(左端)©AVC

 

 

 

——インターハイでは準決勝の東九州龍谷高(大分)戦で20本、決勝の就実高(岡山)戦で9本のブロックを決めました。お二人はその秘訣をどこに感じていますか?

西村 サーブが変わったよな? 今までは相手のチャンスボールになることが多かった。

 

大森 (馬場)柚希はめっちゃいいしな。(西村)美波もいいやん。

 

西村 ありがとう! 去年まではとりあえずフロントのレフトに打っておこう、というイメージやった。(ブロック)タッチは取れるけど、シャットの本数が少なかったよな。

 

大森 ブロックというよりは、コンビとかレシーブであったり、別のプレーへの意識が高かったんじゃない? サーブとブロックは別々で考えていて、サーブを優先していなかったというか。でも、ただ攻めるというよりは、狙ってそれをブロッカーにも伝えるようになった。インターハイではどの試合でもそれがハマっていた気がする。

 就実戦は押川(優衣)さんを狙おうとしたよな。攻撃力があるライトやからそこを崩すようにしたのと、(福村)心優美にフリーで打たせたらきついのはわかっていたので、なるべくいい状況で打たせないように。レフトは2人とも(福村、髙橋凪)打つので、そこは意識していました。

 

西村 あとはサブの子たちもきっちりデータを取ってくれて、毎晩のミーティングで結構対策をした。レフト、ミドルブロッカーとリベロ、ライトとセッターの3つのグループに分かれて、対戦相手の映像を見て気づいた意見を出し合う。それで最後にそれぞれのグループの考えを共有した。

 

大森 試合中に対策した内容と違ったら、すぐに「次はこっちを狙おう」と言って。

 

西村 「あの子はうまいからこっちを狙おう」とかな。ハマったときはめっちゃ楽しかった。

 

——大森選手のショートサーブも効いていました

大森 強く奥に打つ人が金蘭には多いので。(リベロの西川)凜がよくゾーン4を狙うサインを出してくれて、狙いやすかったので意識的に打っていました。

 

——昨年の第18回世界U19女子選手権大会に出場したあとも、大森選手はサーブ&ブロックの学びについて話していました。アンダーエイジカテゴリー日本代表に選ばれたからこそ得られたものでしたか?

大森 それはありますね。去年は2年生で、(U19日本代表に選ばれたのが西川と)2人だったので。金蘭でもちょっとだけ取り組みましたが、すぐに終わっていました。でも今は自分たち3年生の4人(大森、西川、西村、花岡千聡)もそうだし、一つ下の代も3人(泉谷美乃莉、丹山花椿、馬場柚希)、その下の代も2人(中山沙也、吉田桜香)が経験していて。みんなに伝えて習慣化することができていると思います。

 

 

インターハイでは準決勝、決勝で9本のブロックを決めた#7馬場

 

——西村選手は2024女子U20アジア選手権大会がアンダーエイジカテゴリー日本代表での初めてのプレーでした。どんな学びがありましたか?

西村 戦略ミーティングのデータがすごすぎて。まずはそこにびっくりしました。これまでは映像を見ているときにボールの動きを追うことが多かったですが、人の動きを見るようにしています。

 

大森 たしかに、それはめっちゃ言われた。これまでボールしか見ていなかったよな(笑) 

 自分がいちばん学んだのはマインドの部分。コーチの方もそうだし、選手間でもプラスの言葉が多くて。トライしてミスをしたらそれはプラスになると教えていただきました。(海外遠征に)行ったメンバーもよく学んで帰ってこられたからこそ、金蘭でも試合でいいミスだったら「ナイスチャレンジ!」といった声かけも増やしました。そこはすごく行ってよかったな、と思った。

 あとはクリアリングも。ちょっとやろうや。

 

2人 せーの「できる、できる、できる! さあいこう。よーし!」。

 

西村 ユースでもやっていたから取り入れよう、って。タイムアウトとか、流れを戻したいときにやっていました。黒鷲(第72回全日本選抜男女優勝大会)でもめっちゃ効果が出たよな。負けていても笑っている。

 

大森 どうしようもないときにしたら、ほんとうにいい方向にプレーが進んでいく。タイムアウトって、なんかかシーンとなってしまうやん。東龍戦(準決勝の第3セット)でもやって、負ける気がせんかった。

 

西村 2セット目を取られたときは、ちょっとやばいんじゃないか、とはなったけど(笑)

 

——西川選手は「アンダーエイジカテゴリー日本代表に多くの選手が選ばれているプレッシャーをプラスに変えていこう」と話していました。お二人はどう感じていましたか?

西村 周りからは「勝って当たり前」と言われると思うけど、「そんなに上手じゃない」「そんなんじゃないねんけどな」とは思っていました。これだけ(アンダーエイジカテゴリー日本代表が)いるんやから勝たなあかん、というのはちょっとしんどかったです。

 

大森 インターハイの開会式で壇上に(アンダーエイジカテゴリー日本代表に選ばれた選手が)並ぶじゃないですか。そのあとに、池条先生(義則監督)から「あそこで並ばせてもらっているから、結果を出さなあかん」と言われて、そのとおりだなと思いました。去年までもずっと金蘭から何人も行かせてもらっていたけど、 結果を出せていない状況だったので。自分たちでも悔しいなと話していました。

 ただ、学んできたことを伝えるミーティングはいっぱいしたので。インターハイでは結果を残して、自分たちが行った意味を結果で表せたらと思っていました。

 

 

海外の選手たちと交流するシーンも©AVC

 

 

——10月6日(日)から行われる国スポに向けてどこを伸ばしたいですか?

西村 ハイセットの打ちきりをもっと伸ばしたいです。インターハイでは大事な場面でトスを上げてもらっても打ちきれていなかったから。これからもっと相手も練習して強くなってくると思うし、そこをもっと強化したいです。

 

大森 自分はレシーブとブロックです。インターハイでもそうでしたが、ブロックを見てのレシーブの位置取りがあまりできていなかったので、練習からもっと連係を意識してレシーブの質を高めたいです。あとはブロックがめっちゃ苦手なので。シャットではなくてもタッチをしっかり取って、切り返しにつなげられるようにしたいです。いつもブロックの後ろに美波がいるとき、走って捕ってくれます。美波じゃないと捕れないです(笑)

 

西村 でも(U20日本代表で)中国から帰ってきてからはマシやったで。みんな言ってた。「咲愛さん、ブロックいいやん!」って。

 

大森 「咲愛さん」って、言ってるの後輩やん(笑) 美波がうまいので教えてもらいます!

 

——国スポの目標はいかがですか?

西村 インターハイではいろんな人に応援してもらって優勝することができました。その人たちにもう一回恩返しというか、結果で感謝を伝えるためにもしっかりプレーで見せていきたいです。

 

大森 美波が言ったように感謝しながらプレーすること。みんなで言っているけど、インターハイの優勝を一回忘れて、チャレンジャーの意識で優勝を目指していきたいです。

 

——お互いにどんなプレーを期待しますか?

大森 2人とも調子がいいときがなくて。足りないとこをカバーして、2人で協力しながらやっていきたいです。お互いしっかりエースとして頑張ろう。

 

西村 自分はブロックを頑張るから、咲愛はレシーブを頑張って。カバーし合って、支え合っていきたいです!

 

大森 せやな!

 

 

インターハイ優勝後、#2西村を労う#1大森。支え合って今季二つ目のタイトルを狙う

 

 

 

西村美波

にしむら・みなみ/身長178㎝/最高到達点296㎝/金蘭会中(大阪)/アウトサイドヒッター

小中高すべてのカテゴリーで日本一を経験。金蘭会中では3年生時のJOC杯でも優勝に導き、最優秀選手賞に当たるJOCJVAカップを受賞した。金蘭会高では1年生時からレギュラー。3年生時に自身初のアンダーエイジカテゴリー日本代表に選ばれた

 

大森咲愛

おおもり・さえ/身長173㎝/最高到達点298㎝/小野中(愛媛)/アウトサイドヒッター

小野中3年生時のJOC杯では準優勝し、優秀選手に選出。金蘭会高1年生時に出場した第14回アジアU18女子選手権大会でMVPとベストアウトサイドヒッターに輝いた。その後も毎年アンダーエイジカテゴリー日本代表として活躍

 

 

発売中の月刊バレーボール202410月号では、インターハイ優勝チームのストロングポイントに迫る。金蘭会高は、準決勝(対東九州龍谷高)で20本、決勝(対就実高)で9本を決めたブロックについて深堀りした。

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取材/田中風太(月刊バレーボール編集部)

写真/山岡邦彦(NBP)、月刊バレーボール編集部、AVC

 

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