コロナ禍での悔しい思いもバネに
デフ(Deaf)とは英語で「耳がきこえない」という意味。そんなアスリートのための国際的な総合スポーツ大会、デフリンピックが2025年に東京で開催される。
日本で初めてとなるこの大会に先駆けて、今年6月にはデフバレーボールの世界選手権が沖縄で開催された。そこで見事、優勝に輝いたデフバレーボール女子日本代表チームのうち、東京都ゆかりのメンバーが9月19日に東京都庁へ小池百合子知事を表敬訪問し、来年への意気込みを語った。
まずリベロの佐藤愛莉選手が手話で「優勝という結果を勝ち取ることができたのは、たくさんのご声援をいただいたおかげ。この喜びや笑顔を忘れずに、次の東京2025デフリンピックに向けて頑張ります」と話すと、小池知事は「来年のデフリンピックが成功しますように。そして何よりも皆さんがさらに素晴らしい結果を手にされることを心から期待申し上げます。また来年ここでお会いしたいですね」と、手話でのあいさつを交えて笑顔。東京都としても、大会に向けた準備を進めていることが伝えられた。
前回2022年のブラジルデフリンピックでは、新型コロナウイルスの影響を受け、日本は準決勝以降の試合を棄権するという悔しい思いを味わっている。川北美雪監督は「東京でデフリンピックがあるということが、次に進むためのモチベーションになりました。今回の世界選手権では、来年に向けたいいスタートが切れたと思います。同時に世界のレベルの高さを痛感しており、同じことをやっていても勝てるとは思っていませんので、また努力を積み重ねて、来年に向けて頑張っていきます」とコメントした。今回、唯一黒星を喫したウクライナ戦では「相手のペースに合わせてしまい、なかなか自分たちのリズムをつかめない部分がありました」とセッターの中田美緒選手。「身長は低くても速いバレーを展開できるように、まずは守備が必要。そこに磨きをかけていきたいです」と決意を述べた。
デフバレーボールの特徴そして魅力
チーム内でも、それぞれの聞こえる程度には差があるというが、「さまざまな方法でコミュニケーションをとっています。手話ができる人もいれば、口話(こうわ)で話す方もいるのですが、デフリンピックは試合中、必ず補聴器を外さなければならないので、結果的に手話の必要な場面が出てきます。周囲の方を含め、少しでも手話を覚えてもらうようにしていますね」(セッター松永彩珠選手)。そんなデフバレーの魅力について、ミドルブロッカー長谷山優美選手は「ルールは一般のバレーボールとまったく同じですが、私たちは耳が聞こえないので、プレー中に声でのコミュニケーションがとれません。そこでアイコンタクトでコミュニケーションをとりながら、ボールが落ちるまでにいろいろな攻撃や戦術を展開することが一つの特徴だと思いますので、皆さんに見ていただけるとうれしいです」と話した。
「いい目をしている、そんなふうに思っていただきたい」と付け加えたのは川北監督。「彼女たちにとっては当たり前なのですが、会話では必ず(相手の)顔を見て目を見て、そっぽを向いている選手はいません。これはウチの選手の魅力ですけど、まじめで常に一生懸命、地にはいつくばって練習しているチームです。一度プレーを見ていただければ、みんな好きになっていただけるはず。ぜひ応援よろしくお願いします」。
東京2025デフリンピックは、来年11月15日(土)から26日(水)までの開催が予定されている。
■デフバレーボール世界選手権2024沖縄豊見城大会(6月21日~30日)女子試合結果
予選リーグ
日本 3-0 トルコ
日本 3-0 アメリカ
日本 3-0 イタリア
日本 0-3 ウクライナ
準決勝
日本 3-0 トルコ
決勝
日本 3-1 アメリカ
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