駿台学園高(東京)と慶應義塾高(神奈川)のエキシビションマッチが、「駿台学園文化祭」にて9月21日(土)に行われた。インターハイ連覇を飾った男子バレーボール部のプレーを見ようと、会場には多くの観客が集まった
声が聞こえず
連係に苦悩
駿台学園高の体育館が、春高さながらの空気に包まれた。フロア、2階席を合わせて約750人の観客。慶應義塾高の応援団と吹奏楽部も駆けつけ、その迫力あるテーマにコート内の声はかき消された。堅守の駿台学園高では珍しく、ボールをお見合いするシーンも。来年1月の春高に向けた予行演習となり、得点源の櫻井信人は「自分たちの声が通りづらいのは春高でもあるので、今のうちに経験できてよかったです」とうなずいた。
試合は3セットマッチの特別ルールで行われ、3-0で駿台学園高が勝利。5本のサービスエースを決めた櫻井を筆頭に、川野琢磨やリリーフサーバーの畠昊太郎のサーブで主導権を握った。梅川大介監督は「ミス覚悟で打つことを練習してきたので。うちらしくないミスの多さもあったと思いますが、それをコントロールして入れることを今は掲げています」と収穫を口に。ただ、「ほかの選手はもっと練習が必要」と注文も忘れなかった。
勝利を決めた第3セットは、アウトサイドヒッターの川野をオポジットで起用。身長194㎝のミドルブロッカー小布施琢磨、190㎝のアウトサイドヒッター落合康陽の両1年生を投入し、夏場に鍛えた成果も確かめた。
記念Tシャツも作製し
盛況のイベントに
学校からの提案で実現したという、駿台学園高の文化祭では初めての招待試合。それぞれのユニフォームをデザインした記念Tシャツを作製し、試合後は保護者やファンと交流する時間も設けた。盛況でイベントを終え、指揮官は「これ、もっとできるな」と言って続けた。
「例えばこの3セットマッチを午前中に見せて、午後はお客さんが帰ってから5セットをやるのも問題ない。こういうものがどんどん増えてもいいと思いますね。ただ、ほんとうはこれをリーグ戦でやりたくて。まずは関東近郊の東京、埼玉、神奈川、千葉などで2チームずつぐらい出して、午前中はリーグ戦、午後から練習試合をしてもいいですよね」と夢は膨らむ。
文化祭で束の間のリフレッシュのあと、主力の3年生たちは10月6日(日)から佐賀県で行われる国スポへ。選抜チームで、昨年は5位に終わった鬼門に挑む。櫻井は「東京のすごいエースたちが集まっていますが、恥をかかないようなプレーをして、(川野)琢磨と一緒にまた日本一の景色を見にいきたいです」と力強い眼差しで語った。
慶應義塾高
停滞感を払拭する
きっかけに
渡辺大地監督が「116㎞が出るので、強烈すぎます。多分、100㎞ぐらいの球は常に打ち込まれている」と苦笑いした櫻井のサーブに苦しめられ、慶應義塾高は0-3で敗戦。セッターでキャプテンの松田悠冬も「レシーブだったり、チャンスボールの質が駿台の武器だと思いますが、自分たちは劣っている」と課題を口にした。だが、守りで苦しみながらも、アウトサイドヒッター江原修平らのスパイクで見せ場もつくった。
8月のインターハイでは初めてベスト16入りしたが、授業が再開した9月はチームのムードが落ち込んでいた。しかし、この日は夏の王者に対して勢いのある試合を展開。10月の国スポに向けて、指揮官は「いいきっかけをいただいたと思います」と感謝した。
試合結果
駿台学園高 3(25-17、25-22、25-22)0 慶應義塾高
文・写真/田中風太(月刊バレーボール編集部)
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