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「選手時代の教えを伝えていきたい」 デンソーテンOGが高校の監督として思い出の体育館へ

左から中村監督、竹口GM、OGの真鍋くるみ(西日本短大附高→デンソーテン→東レ)

 

 

県準優勝の2校が9人制の強豪で練習会を実施

 

 9人制女子の強豪、デンソーテンレッドフェニックス(兵庫)。同チームのOGである中村阿寿紗監督率いる西日本短大附高(福岡)と、日ノ本学園高(兵庫)の2チームをデンソーテン体育館(兵庫)に迎えて、2024922日に合同強化練習会が行われた。

 

 西日本短大附高は福岡の強豪校として有名だが、2016年を最後に近年は全国大会へ出場できていない。しかし中村監督が就任し、レッドフェニックスの竹口和三GMも指導に赴いた結果、昨年度は春高福岡県予選で準優勝と、全国出場へあと一歩というところまで復活を遂げている。

 桐原拓真監督率いる日ノ本学園高も、同兵庫県大会で準優勝を収めた強豪校とあって、「お互いによい練習相手になるのでは」と、竹口GMのマッチングにより今回の合同練習が実現した。

 

 春高予選となる各都道府県の高等学校選手権大会はその多くが10月から始まり、11月に決勝が行われる。その舞台を目前とした練習会とあって、レッドフェニックスとしても高校生たちには点の取り方や連係について学んでほしい、と力が入った。

 

 

練習試合の様子。右は日ノ本学園高 

 

 

 練習会は2校とレッドフェニックスの3チームで練習試合をローテーションし、試合のないチームは空きコートで練習を行う形式で進められた。

 西日本短大附高は竹口GMが直接指導。練習試合が終わるとそのつど講評し、別のコートに移動して3人レシーブやシートレシーブを行った。セッターの動きやカバーの入り方など、細かな部分は実践を交えながら行う竹口GMのアドバイスに、生徒たちも真剣な表情で応える。

 お昼休みを挟んで、再び練習試合とコート練習を実施。1年生の多い西日本短大附高の選手たちにとっては体力的にキツい1日となったかもしれない。それでも竹口GMの厳しい練習を乗り越えたことを自信に変えて、春高予選に臨んでもらいたいところ。

 

 両校とも県大会準優勝チームとあって実力は高く、久しぶりに6人制のルールで練習試合を行ったレッドフェニックスも、高校生には負けられないと真剣に戦った。メンバーとは直接会話して教えられる機会こそ少なかったが、練習試合を通して、個々の実力だけでなくチームの連係や試合運びなどの部分も感じられたのではないだろうか。

 なおこの日はスタッフとして、現役時代を中村監督とともに戦ったレッドフェニックスOGの皆さんもお手伝いに訪れ、賑やかな1日となった。

 

 

レッドフェニックス(写真奥)も高校生と汗を流した

 

 

<特別対談>

「レッドフェニックスを見て、頑張ろうと思える」

竹口和三GM×中村阿寿紗監督

 

――2017年までレッドフェニックスに在籍し、キャプテンも務められた中村監督から見て、竹口GMはどんな指導者でしょうか。現役時代と現在で印象は変わりましたか? 

中村 私が現役の頃からカズさん(竹口GM、当時は監督)はとても勉強されていましたし、選手思いだなと感じてはいましたが、教える立場になってからはよりその気持ちが強くなりました。指導者になりたいと思っていたのもカズさんがいたからですし、現役の頃にバレーボール教室を何回も経験させてもらったからこそです。福岡に戻ってからも、ずっと頼れる存在ですね。

 

 

竹口GMの指導を受ける西日本短大附高。次こそ全国を勝ち取れるか

 

「頑張っていいんだぞ」と背中を押しただけ

 

――前任の指導者が退任して、新しく中村監督が就任されたそうですね?

中村 一昨年の9月に前監督が退任し、その後の半年間はとても部活を続けられるような雰囲気ではありませんでした。それでもバレーボールは続けたい、と転校を考えた子もいたので、それならゼロからまたスタートしよう、と昨年5月に監督になりました。大変でしたが少しずつ前を向くことができて、そこからは生徒たちも欠けることなくついてきてくれたのはうれしかったです。カズさんには昨年、春高の福岡県予選が始まる前に一度、指導に来てもらいました。

 

竹口 生徒からは「バレーは続けたいけど、この学校でこのまま頑張っていいのかな…」という葛藤を感じたな。でも実際に会ってみたら、教育面はメル(中村監督)がしっかり指導していて、素直でいい子たちばっかりだった。西短(西日本短大附高)の生徒は当たり前のことを当たり前にできる子たちで、大丈夫だなと思った。

 

――春高福岡県予選での準優勝は快挙でした

中村 もちろん生徒たちの頑張りもありますが、あれはほんとうにカズさんのおかげだと思っています。

 

竹口 ベースはしっかりしていたのがよかった。あとは「(西日本短大附高で)頑張っていいんだろうか」という迷いがあったところを、頑張っていいんだぞ、と背中を押して練習しただけ。そこで吹っ切れたことがプラスに働いたんだと思う。

 

中村 その結果もあって、今年は1年生が14人も入ってくれて、今は全部で24人。半分以上が1年生のチームになりました。

 

――OGとして、今のレッドフェニックスはどう映っていますか?

中村 当時も自負はありましたが、あらためて外から見てもすごいチーム。V9チャンプリーグの鹿児島大会を部員全員で見にいきました。選手のすごさもそうですし、9人制のよさも生徒たちに知ってもらうことができました。こうやって一緒に練習させてもらうことで、選手の頑張りなども感じられて、目標になってくれる存在です。実際、レッドフェニックスをきっかけに9人制を知って、プレーを始めた生徒もいるんですよ。

 

――レッドフェニックスOGが指導者となって、また新しい選手を育てているというのは素敵なサイクルですよね。竹口GMもうれしいのでは?

竹口 もちろん。教え子がこうやって頑張っているんだから、僕も応援してあげたいとは思いますよ。

 

中村 学校での教育現場でも、バレーボール教室のときにカズさんから言われたことを思い出して、確かにそうだなと思うことも多々あります。選手時代にカズさんから教わったことを生徒たちに伝えていければな、と。

 

――では最後に、お互いにエールをお願いします

竹口 今まで一教員、一指導者として中村監督が頑張ってきた姿を見てきたので、それが報われるといいなと思っています。結果も大事だけど、高校バレーはそれだけではない。とはいえ、結果が出せたら今までの頑張りが報われる。いい結果になるよう応援しています。頑張ってください。

 

中村 頑張ります(笑) カズさんはほんとうに指導者としての勉強もされていますし、レッドフェニックスもほんとうによく練習しているチーム。OGだからというひいき目を抜いても応援したくなるチームです。社会人だから、結果を残さないといけないというプレッシャーとの戦いもあると思いますが、今シーズンも日本一になってほしいですね。レッドフェニックスの頑張りを見て、生徒たちや子どもたちも頑張ろうと思えるので。期待しています。

 

協力/デンソーテンレッドフェニックス

 

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