佐賀県で開催されている第78回国民スポーツ大会(SAGA2024国スポ)、少年男子のバレーボール競技のトーナメント2回戦が10月7日(月)に吉野ヶ里町文化体育館(佐賀県)ほかで行われた。インターハイベスト16の慶應義塾高中心の神奈川県は、同ベスト4の鎮西高単独チームの熊本県を2-1で下した
松田、橋本らの
高いブロックで圧倒
興奮を抑えきれない神奈川県の選手たちが、口々につぶやく。「ほんとだよね?」。中心を担う慶應義塾高にとっては、初の全国ベスト8入り。渡辺大地監督(慶應義塾高)は「いやぁ、すごいですね。信じられないです。歴史に残る1勝になったと思います」と感慨深げに話した。
前日にはふだん通り、選手だけでミーティング。熊本県戦のポイントは、2年生の岩下将大、1年生の一ノ瀬漣の相手両エースをいかに止めるかがだった。「レフトとバックアタックに対して、ブロックのかたちをそろえて跳ぼう」(橋本侑磨〔慶應義塾高〕)という狙いが第1セットからハマる。身長191㎝のセッター松田悠冬キャプテン、188㎝のミドルブロッカー橋本、186㎝のアウトサイドヒッター江原修平(以上、慶應義塾高)をはじめとした高さのあるブロックで対抗。中盤の松田の連続ブロックを含む7本を決め、25-11と圧倒した。
第2セットも序盤から岩下を連続で止めるなど22-17とリードしたが、そこから熊本県に底力を見せられる。4連続失点などでジュースに持ち込まれ、24-26で落とすと、第3セットも18ー21と追う展開に。しかし、橋本の「僕が止めないと勝ち筋はない。闘志むき出しでボールを触るようにしました」というブロックなど4連続得点で逆転。最後も橋本が岩下を仕留めると、歓喜の瞬間が訪れた。
3セットでチームとしては18本のブロックを決め、橋本は驚異の10本をマーク。今季からレギュラーに定着した男は、「勝てると思っていたので、ホッとしました。勝った瞬間はみんなが駆け寄ってくれて、バレーボールをやってきてよかったと思いました」とかみしめた。渡辺監督は「えげつないです。自分じゃなくて橋本をインタビューしてください」とヒーローを手放しでたたえた。
ブロックではシャットはもちろん、粘り強くタッチも取った。そこからアウトサイドヒッター佐藤颯隼(慶應義塾高)らの冷静な攻撃が光ったが、全国高校選抜に選ばれた松田はトス回しを反省する。
「60点くらいです。逆サイドに持っていけなかったり、(自分の)近いところにトスを上げてブロックが2枚集まってしまって。まだ技術や勇気が足りていません」。
オポジットにはU18日本代表の永瀬皓基(舞岡高)が加わっており、そのサウスポーを生かせればさらに得点を重ねていけそうだ。
準々決勝から準決勝まで行われる8日(火)は、まず高川学園高単独チームの山口県と対戦。今大会の事前合宿で10セットほど戦ったが、1度もセットは奪えなかったという。松田は「20点台にいくかいかないか。ひどいときは10点台で、何をしてもうまくいかなかった」と苦笑いするが、やることは同じだ。「自分たちの武器であるブロックで流れを持ってきて、最大限の力を出せればいいと思います」。歴史を塗り替える戦いは続く。
熊本県
相手ブロックを攻略できず
岩下「自分が要所で決められなかった」
初戦敗退に終わり、熊本県の岩下は「ほかの人は頑張ってくれたのに、自分が要所で決められなかった」とうつむいた。相手のブロックに対し「思っていたより高かった。上から打とうとしてもワンタッチを取られたり、(ブロックを)抜けてもレシーバーがいました」と突破口を見いだせなかった。
だが、第2セットは岩下のスパイクでジュースに持ち込むと、岩下のブロック、一ノ瀬のサービスエースでフルセットへ。第3セットも終盤にリードしたが、岩下が連続でブロックを浴びた。「マークされても決めきらないといけない。体づくりも含めて課題だと思います」と春高に向けて再出発を誓った。
試合結果
神奈川県 2(25-11,24-26,25-23)1 熊本県
文・写真/田中風太(編集部)
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