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前回大会王者山口県が8強入り 高校でスパイカーから転向したセッター見室に有吉監督「勇気が出てきた」

佐賀県で開催されている第78回国民スポーツ大会(SAGA2024国スポ)、少年男子のバレーボール競技のトーナメント2回戦が10月7日(月)に吉野ヶ里町文化体育館(佐賀県)ほかで行われた。高川学園高単独チームで、前回大会王者の山口県は、大同大大同高中心の愛知県にストレート勝ちした

 

 

見室芯太(山口県)

 

 

レフト以外の攻撃に

伸びしろ

 

 快勝の滑り出しも、岩本純弥キャプテンの自己採点は低かった。

「チームとしてやりたいことができなくて。100点満点で50点ぐらいですね」

 

 第1セットは長いラリーをものにするなど、持ち前のディフェンスで力を発揮。25-15と危なげなく先取した。第2セットは14-14と中盤に追いつかれたが、ブロックとレシーブでプレッシャーをかけ、相手が連続でミス。「ディフェンスはやりたいことがイメージできていて、相手をはめることができました」と充実感を漂わせる一方で、課題は明確だった。

「いつもどおり、両レフトに頼る試合になってしまいました」

 

 インターハイでは、連覇を果たした駿台学園高(東京)と準々決勝で対戦。第1セットは中盤までリードしたものの、ストレートで敗れた。安田成希、武田夷稀の両アウトサイドヒッターを軸に相手の堅い守りを破ったが、課題になったのがレフト以外からの攻撃。9月の天皇杯中国ブロックラウンド前からミドルブロッカーの攻撃やバックアタックにも力を入れてきたものの、この日はそのスタイルを発揮できなかった。

 

 攻撃を組み立てるのは、新チームからレギュラーを務める見室芯太。平田中時代は山口県内で鳴らしたエースだったが、有吉健二監督の「守備を頑張れて、身体能力が高い」という評価で、高川学園高入学後にセッターへ転向した。「自分がいちばんだと思っていました」と笑うスパイカー時代とは違い、「自分はこう上げたいのにそれができない。ギャップがあって難しいです」と試行錯誤する日々。この日は「チキって(臆病になって)しまいました」と、磨いてきたクイックでなかなか勝負することができなかった。

 

 だが、安田、武田が徹底マークに合う第2セットには、ミドルブロッカーの山田羽純が決めるシーンも。「夏までだったら最後までエースでいってとても苦しい状況になっていたと思います」と語る有吉監督は目を細める。

「一般的なセッターができないといけないスキルはまだ足りません。練習試合では『ここ』という場面で、自分の意思で展開をして、チームとしてずっこけた経験もしました。でも、失敗はオッケーにしているので。今日は要所のコンビで少し成長したし、勇気が出てきたと思います」

 

 今夏は全国高校選抜を経験した岩本も「うちのトスは速いうえに、ためた時間差(攻撃)もあります。それはセッター2年目だとすごく負担になるはず。でも、勇気を出して上げてくれたり、インターハイからこの期間でまた成長したと思います」と背中を押す。

 

 

初戦を突破した山口県

 

 

 連覇の懸かる今大会だが、岩本が「去年は去年で今年は今年なので」と語るように、目の前の戦いにフォーカスする。準々決勝は熊本県をフルセットの末に下し、勢いに乗る神奈川県が相手。見室は「自分がうまくならないと、目標のベスト4には近づけないと思っています。もっと頑張らないと」と決意。勝負どころでのチャレンジが、これまでにない境地を開くはずだ。

 

試合結果

山口県 2(25-15,25-21)0 愛知県

 

文・写真/田中風太(編集部)

 

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