パナソニックにまつわるもう一つの名称変更。9人制女子のジュニアチーム「門真BluebellsFjr」のFに込められた地域との共創
- 9人制
- 2024.10.10
バレーボールのSVリーグを戦う男子の大阪ブルテオンは昨季まで「パナソニックパンサーズ」として活動していた。これまで以上に地域に根ざして活動するというチームの意志表示が今回のリブランディングだったわけだが、同じくパナソニック系列のチームであり女子9人制の強豪「パナソニックブルーベルズ」もまた、昨年末にジュニアチーム「門真BluebellsFjr」を発足。その背景には地域との共創があった。
門真BluebellsFjr
9人制バレーボール女子の強豪「パナソニックブルーベルズ」のジュニアチーム
9人制バレーボールの国内トップリーグ「第10回V9チャンプリーグ」で大会10連覇の金字塔を打ち立てたパナソニックブルーベルズ(以下、ブルーベルズ)。チームはパナソニックグループが工場を構える守口市(大阪)の体育館を活用している。
そのジュニアチーム(中学生世代)の「門真BluebellsFjr」が昨年12月に発足し、各地の交流大会でその姿が見られた。名称にある門真とは守口市に隣接する門真市を指し、Bluebellsはまさに“姉貴分”にあたるシニアチームが由来だ。
そこで気になったのがFの一文字である。
実はこれ、門真市を拠点に17年もの間、活動してきた小中学生世代のクラブチーム「門真フェローズ」の頭文字からとった“F”なのである。ブルーベルズが今回、地域連携の一環としてジュニアチームを立ち上げるに際して、門真フェローズが完全な下部組織として生まれ変わったというわけだ。
ユニフォームのいたるところに、ブルーベルズのロゴマークが入っている
「門真フェローズ」から「門真BluebellsFjr」へ
「ブルーベルズ・エフ・ジュニア、呼びづらいといえばそうかもしれませんね」
長年、門真フェローズで指導にあたり、この門真BluebellsFjrでも監督を務める中山浩一氏はそう言ってほほえんだ。と同時に、新名称について胸の内をこう明かした。
「Jリーグの横浜F・マリノス(※)みたいに、ね。門真フェローズとしての17年に及ぶ歴史をムダにさせないための一文字でもあるのかなと。チームを運営していくなかで厳しい時期もありましたし、そうした経緯を経て、新しいチームに受け継いでいく。だからこそ、“F”の文字は大事にしたいと思うんです」
その背景を聞くに、門真市側からもブルーベルズに対して、そうした意向を持ちかけたのだという。近年、門真市内のバレーボール競技人口は減少しており、地域としても小中学生を対象にした競技普及活動には力を入れたかった部分。そこでブルーベルズと連携することになったわけだが、全国大会にも出場するなど精力的に活動してきた門真フェローズも、門真市としてはやはり大事にしたい。新たにチームを作るのではなく、地域を代表してきたクラブがいるからこそ、双方が手を取り合い一緒に活動・発展していくことに舵を切る。
中山氏も傘下に入ることを歓迎し、そこで「フェローズの一文字だけでも残してもらえないか?」と打診したところ、ブルーベルズ側も「喜んで。入れてください」と快諾。そうして門真BluebellsFjrの誕生に至った。
(※)サッカーのJリーグで横浜フリューゲルスの廃部に伴い、同じく横浜を拠点にしていた横浜マリノスがチームを吸収合併。名称が横浜F・マリノスとなった。
門真フェローズ時代からチームを指導する中山監督(左)