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松永理生監督(東山)が母校での6年間の指導者生活に幕 「日本のバレー、所属するチームのために」と次のステップへ

得点が決まれば、選手たちとともに全力で喜びを表現。最後までその姿勢を貫いた【写真/田中風太、前田一星】

令和6年度全日本バレーボール高等学校選手権大会京都府予選会(男子)は、11月16日(土)に島津アリーナ京都で決勝が行われた。3年ぶりの本戦を目指した東山高は、ライバルの洛南高に1-3で敗戦。今大会をもって、東山高の松永理生監督は監督を退く。今後はアドバイザーとしてチームに携わりながら、「日本のバレーのために」と夢を追いかける

 

 

得点が決まれば、選手たちとともに全力で喜びを表現。最後までその姿勢を貫いた

 

 

高校生にもトップ選手と同じ指導を

 

 胸につけた監督バッチを静かに外した。今季鍛えてきた粘り強い守りでインターハイベスト4の洛南高に食い下がったが、1-3で敗戦。コーチ、そして監督として戦った6年間のラストゲームに、松永理生監督は「悔しいですね」と率直な思いを口にした。

 

 母校、そして日本バレーボール界のために力を尽くした6年間だった。現役時代はパナソニック(現・大阪B)、豊田合成(現・WD名古屋)でプレーし、2012年から母校である中央大の監督に就任。石川祐希(ペルージャ〔イタリア〕)、関田誠大(STINGS愛知)ら日本代表、Vリーグで活躍する選手たちを指導し、14年からは全日本インカレ3連覇を果たした。

 そして、2019年度からはこちらも母校の東山高のコーチに就任。髙橋藍(サントリー)を擁した同年の春高で初優勝を飾り、22年度からは監督を務めた。その年のインターハイで初優勝に導くと、その後も春高ベスト4、インターハイ、国体で準優勝と常に全国上位争いを繰り広げた。

 

 高校生と日本一を目指す日々で、「オリンピックに出てメダルを獲りたい」と教え子が躍動する舞台への思いも秘めていた。だからこそ、「強い日本でいてもらいたい。それがベースにあるので」と自身の経験を惜しみなく還元した。

 「アプローチは変えますが、日本のバレーボールがほんとうに強くなるために、高校生でも日本代表と同じような選択肢を持てる練習が必要だと思います。そこをあきらめてしまったら、携わっているチームのレベルがどんどん落ちて、単調にやらせたほうが楽になってしまいます。特にブロックでの駆け引き(の指導)がそうですが、それをあきらめてはいけない。その葛藤は毎回ありますが、求めていいのかな、いや求めないとダメだよね、というところですよね」

 

 

ホワイトボードにメニューを書き込む松永監督

 

 

 およそ2時間半の日々の練習メニューは分刻みで組まれ、豊田充浩総監督、小川峻宗コーチとともに濃密な時間をつくり上げた。中学生を対象としたバレーボール教室を定期的に開くなど、その指導は高校生に止まらなかった。

 

 今大会の決勝でチーム最多の24得点を決めた1年生エースの岩田怜緯は、将来の日本代表入りを目指して新潟県から東山高に入学。「スパイクやメンタルのことだったり、日本代表に入るために必要な技術を学びました。アドバイスしてもらったことを生かして、来年はもっとエースらしくなって活躍したいです」と松永監督への恩返しを誓った。

 

 今後は「彼ら(東山高の選手たち)にも言いましたけど、人生は一回なので。やりたいことをやります。日本のバレー、所属するチームのために」と自身の夢を追う。東山高は豊田総監督が再び指揮を執り、松永監督は「豊田先生と今いる選手たちにいい景色を見てもらいたい」と週に1、2回程度、アドバイザーとして練習に携わる予定だ。

「高校カテゴリーの6年間で感じたのは、やっぱり原点なので。アンダーの育成はすごく大事。いいところはいいものとして伝えていけたらと思います。ただ、上のカテゴリーではそのままのやり方でもダメだと思うので、うまく自分の中で気づけるものがあれば。また来年から勉強が始まりますね」

 

 涙を流して後輩へ思いを託した3年生たちとともに、新たな道へ踏み出す。

 

 

最後の全国大会となった昨年の国スポを終えて。選手たちからは「理生さん」と慕われた

 

 

文/田中風太(編集部)

写真/田中風太、前田一星

 

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