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「大会本番のあとで社会がどう変わるのか、に期待」 デフバレーボール女子日本代表が東京2025デフリンピック開幕1年前イベントで躍動

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  • 2024.11.20

ステージ上、左から長谷山選手、中田選手、フィッシャーズの皆さん

 

 

代表メンバーがフィッシャーズと対決

 

 耳が聞こえないアスリートのための国際的な総合スポーツ大会、デフリンピックが2025年に東京で開催される。日本で初めてとなる、この大会の開幕を1年後に控えた11月15日(金)、16日(土)に「東京2025デフリンピック1 Year To Go!」というイベントが都内のショッピングモールで開催され、大勢の来場者が2日間にわたって多彩なプログラムを楽しんだ。

 

 イベント初日のセレモニーでは、デフアスリートや応援アンバサダーが登壇するなか、小中高生による投票で決定した大会のメダルデザインを発表。デフアスリートへの「新しい応援スタイル」も提案された。そして迎えた翌土曜日には、「“世界一”に挑め! フィッシャーズvs.デフバレー日本代表!!」と題して、人気動画クリエイターのフィッシャーズとともに、6月の世界選手権で優勝したデフバレーボール女子日本代表の中田美緒と長谷山優美がステージに登場。2種類の「対決」を行った。

 

 最初の種目はレシーブ対決。事前にデフバレーボール女子日本代表の練習に参加していたフィッシャーズも健闘を見せたが、ここは危なげなくデフバレーチームが勝利した。次の種目は、示されたお題を一人がジェスチャーで表現し、もう一人は「何を表現しているか」を当てるコミュニケーション対決。6問中、自信満々のフィッシャーズは5問正解! さて、デフバレーチームは? なんと全問正解で、見事勝利。“世界一”の面目を保った…、そんな結末でステージは幕を閉じた。

 

 

デフバレーボール日本代表が見事勝利を飾った

 

 

言葉によらないコミュニケーションの力

 

 初日も会場に来ていたというミドルブロッカーの長谷山は、ステージを終えて「無事勝つことができて、安堵しています」と笑顔。「大盛況でしたね。来ていただいた方は、ほとんどがフィッシャーズを見たかったのだと思いますが、デフリンピックがある、そしてデフバレー選手がいるということを知ってもらえた、いい機会になったと思います」と収穫を語る。セッターの中田も、有意義な機会だったと話しつつ「今回は目を使う、聴覚障害者のコミュニケーションを実際に見てもらうことができました。試合のときとまた異なり、このようなイベントを通して『こういった表現力があるんだ』『聞こえないだけではなくて、そういう人もいるんだ』といったことを知ってもらえたと思います」と、イベントを振り返っていた。

 

 その「表現力」が特に発揮されたのはジェスチャー問題の場面だった。ジェスチャーを担当した中田が「ろう者はふだんから表情を使ってコミュニケーションをとるため、(全問)正解できてほっとしています。でも一度、手話を使ってしまいました(笑)」と話せば、彼女を見て回答した長谷山は「中田選手がうまかったので、見てすぐわかりました。想像力も発揮できました」とのこと。フィッシャーズの面々も、ハイレベルな「伝える力」を目の当たりにして感銘を受けた様子だった。

 

 

大勢が詰め掛けたステージの様子

 

 

知ってもらうことで社会にも影響を

 

 オリンピックやパラリンピックに比べると、まだまだデフリンピックは知名度の低さが継続的な課題と言えるが、「こういったイベントが少しでも取り上げられたり、ささいな会話でも話題に上がったりすれば、社会に広がるきっかけになる。とてもいいことだと思っています」と長谷山の表情は明るい。

 

 そして中田によれば、「これまでSNSでの発信やニュースなどは少なかったのですが、今回は東京で開催されるということで、さまざまなところで発信いただけています。ようやく、というところでしょうか」ということで、周囲の変化も感じ始めている。「少しずつ変わっていって、来年のデフリンピック本番のとき、そのあとに社会がどう変わるのか? そこがとても期待できると思います。ですので、私たちはプレーだけではなく、聞こえない当事者として、私たちとしても住みやすい社会にどうしていくのかということを、聞こえる人たちと考えるのが楽しみです」(中田)

 

 大会は来年11月15日に開幕。金メダルに挑む男女デフバレーボール日本代表や、男女デフビーチバレーボール日本代表らデフアスリートたちにとっても、勝負の1年が始まっている。

 

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