SVリーグでなくても。サンガイアの熱血漢 梅本鈴太郎が仕事とバレーボールの両立で抱いた新たな感覚「競技から離れる時間があるからこそ、深く考えられる」
- V男子
- 2024.11.21
「想像していた以上に、サンガイアのメンバーはポテンシャルも意識も高くて、とても自分のためにもなると感じました」と梅本
「環境が変わってよかった」とほほえむ理由
もっとも、違いでいえば、それはコート上だけではない。日鉄堺BZに在籍したときは契約の形態上、プロ選手の立場だった。だが今は競技とは別で、地元企業に勤める一人のサラリーマンなのだ。
梅本自身、日鉄堺BZ時代には「学生とのいちばんの違いは、お金をもらってバレーボールをすること。自分で自分に責任を負う点にプレッシャーを感じていました」と向き合っていた。そこではトレーニングから自主練習までバレーボール漬けの日々を送ることができていたわけだが、一転して今は生活を支えるために仕事に励み、それが終わればサンガイアの活動に移る。いわば“仕事とバレーボールの両立”を自分の手で図らなければならない。そこに対して梅本は「新鮮ですよ。仕事をすること自体の経験がなかったですから」とほほえむ。
「以前のようにバレーボールだけを考えていればいいわけではない。かといって、生活や仕事のことに重きを置けば、今度はバレーボールがおろそかになってしまう。
でも、競技からいったん離れる、仕事という時間があるからこそ、さらにバレーボールのことを深く考えられるようになった感覚があるんです。そこが僕自身、環境が変わってよかったと思う点ですね」
聞くに、従事しているのは中古車の販売店。「たまに、車の窓を磨きながら、『昨日の試合はこうだったなぁ』なんて思いにふけることもあります。そうしたら『きちんと拭けていないぞ!!』って怒られて、『あ、やばい!!』なんて(笑)」と冗談まじりに仕事の様子を話す梅本はどこか楽しげだ。
梅本へ「得点はもちろん、声かけなどでチームの雰囲気を上げてくれるところに期待しています」と架谷キャプテン(左)
「勝ちにこだわる姿勢は変えていない」とさらなる活躍を誓う
DIVISION1という国内最上位カテゴリーでは己の実力不足という壁にぶちあたり、その現実に悩み続けた。ただ、苦しい思い出ばかりかと言われれば、そうではない。梅本は自身のデビュー戦をはっきりと覚えている。
「サントリーサンバーズ戦(当時)でドミトリー・ムセルスキー選手をブロックしたのが初得点だったんです。その日はうれしくて、友人たちにめちゃくちゃ自慢しましたもん(笑) 初得点は感動ものでしたね」
以降は出番機会をつかめずとも、試合ではチームの勝利をいちばんに考え、ムードメーカーとして声を張り上げることをいとわなかった。それは今にも通ずる。
「勝ちにこだわる姿勢は以前からも、つくばユナイテッドSun GAIAにきてからも変えていません。これからも突き詰めて、ポイントを取るためにいろんなことにどんどんトライしていきたいです」
国内トップレベルのステージで決めた“8分の1”本のブロックシャットの記憶は色濃く残る。すでにそのとき以上の数のブロックを決めており、この先も今いるステージで数を重ねていくだろう。その一本一本にも思いは詰まっている。そして決めるたびに、梅本鈴太郎は吠えるのだ。
闘志全開、感情をむき出しにしてこれからもプレーし続ける
(文・写真/坂口功将)
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