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春高2025

芝生の上でバレーボール!? 専門学校が主催する大会にビーチのトップ選手も参加「上達につなげてもらえたら」【TSRグラスバレー杯 取材レポート】

  • 高校生
  • 2024.11.26

「第1TSRグラスバレー杯2024」が1124日(日)に町田シバヒロ(東京)にて開催された。この大会は東京スポーツ・レクリエーション専門学校(東京)のスポーツイベント専攻の学生たちによって企画・運営されたもので、当日は関東圏の高校バレーボール部の男女計7チームが参加。また一般社団法人日本ビーチバレーボール連盟の協力のもと、村上めぐみ(株式会社立飛ホールディングス)や庄司憲右(ハウスコム株式会社)らビーチバレーボールのトッププレーヤーたちも参加した。

 

 

天候にも恵まれた「第1回TSRグラスバレー杯2024」

 

 

インドアとは異なる競技特性に難しさも、「楽しかった」の声が続々

 

 いよいよ寒さも厳しくなってきた、この日。それでも暖かい日差しのもと、町田市の屋外広場「町田シバヒロ」ではバレーボールが空に弧を描いていた。インドアの体育館コートでも、ビーチの砂浜でもない。行われているのは、芝生の上で行う“グラスバレーボール”の大会だ。

 なお、これはれっきとしたバレーボール競技の一つで、芝生の上にネットとポールをキャンプテントのように設置する。ルールや人数など自由度が高いのも特徴で、各地で大会が催されている。今回の「グラスバレー杯」は211セットマッチで、男子3チーム、女子4チームの総当たりで実施された。

 

 結果は東京農大一高(東京)が男女そろって優勝した。とはいえ、聞けば外でバレーボールをすること自体が初めてであり、男子の木次悠人(2年)は「地面が滑るのが最後まで慣れませんでした」とあくせく。また女子の丸山心寧(1年)も「足元がでこぼこしている点に加えて、風の動きを読んでプレーする分、頭を使いました」と、未体験のバレーボールを存分に味わった様子だった。

 

 

男女アベック優勝を飾った東京農大一高

 

 その参加した学生たちに、講師として携わったのが現役のビーチバレーボール選手の面々で、開会式後と昼休憩後にレクチャーの時間を設けた。“ビーチ”と“グラス”でフィールドこそ違えども、風を読む必要がある点で共通し、また、そうした状況下も含めてボールをコントロールする力はインドアでも生かされる部分だ。

 

 閉会式で庄司は「いろんな気づきがあったと思います。どうすればうまくなれるかを考えるうえで、今日の経験を上達につなげてもらえたら」とエールを送り、丸山紗季(地方法人マーチオークシー)は「参加したみんなが楽しそうにプレーしている姿を見て、私たちも楽しかったです。実際にやってみると砂とは違う難しさがあり、私たちもこの体験を持ち帰って頑張ろうと思います」と充実した表情で感謝を口にした。

 

 

ビーチバレーボールのトップ選手たちが参加した学生たちへ実技をまじえながら指導を行なう機会も設けられた

 

 

新しいスポーツや競技に触れるきっかけや気づきを得るイベントに

 

 大会の会場では試合のほかにも、誰でも参加できるソフトバレーボール体験のエリアや協力企業のエプソン販売株式会社による展示ブースが設けられ、さらにはケーブルテレビのJ:COMも取材に訪れるなど、一つのスポーツイベントとして体裁を成していた。

 

 今回、大会を担当した東京スポーツ・レクリエーション専門学校の鈴木祥矢さん(スポーツイベント専攻4年生)は全日程を終えて、「大きなケガもなく、天候にも恵まれ、参加された皆さんに楽しんでいただける大会にできてよかったです」と安堵の表情を浮かべた。そもそもこの大会は卒業課程の一環であり、下級生も含めた10名の学生たちでプロジェクトを展開。「大会の支援をいただいた企業の方々と一緒になってイベントをつくること自体が初めてでした。連絡の取り方など失礼なこともしてしまっていましたが、そこがいちばんの学びになりました」とこれまでの取り組みを振り返った。

 

 

「日本ビーチバレーボール連盟の方々や参加してくれた学生の皆さんに協力いただき、とくにトラブルもなく大会が運営できました」と鈴木さん(写真中央)

 

 

 グラスバレーボールというマイナースポーツを実施競技に選んだのは、講師の提案も含め、「バレーボール経験者がいたことに加え、新しいスポーツに挑戦してみることで、僕らにとってもいい気づきがあるのではないかと思ったから」(鈴木さん)。自身は高校を卒業後、それまで励んでいた器械体操から一転、メディア作品や競技団体の体験会を通じてチームスポーツ「カバディ」に出会った。専門学校に通うと同時にプレーヤーとして活動しており、いずれはカバディを体験してもらえるようなイベントを開きたいと考えている。

「今回、グラスバレーボールを採用して感じたことでもあるのですが、新しいスポーツと出会う機会に、受け手側から自発的に触れるのは難しいのだと。そこで、知らない世界に触れて『おもしろかった』と感じてもらったり、ふだん取り組んでいる競技に『こういう要素を加えたらおもしろいんじゃないか』という気づきを体験できるイベントを手掛けたいです」と鈴木さんは自身のビジョンを語った。

 

 グラスバレーボール自体も、インドアやビーチ、それに国際バレーボール連盟(FIVB)がワールドツアーも展開したスノー(雪上)と比べれば、マイナーどころか、実際にバレーボールの競技者の中でも知名度は低いだろう。それでも、ネットとボールさえあればバレーボールはできる、といっそう実感する機会だった。

 昨今のバレーボール人気の高まりをさらに押し上げ、競技者を増やす一つのツールとして。芝生の上でボールをつなぐ試合や大会を催してみるのもありかも?

 

 

競技者たちにとってもプレーに生かせる気づきや学びがあった様子だ

 

 

※鈴木さんの「祥」は“示”

(文・写真/坂口功将)

 

【第1TSRグラスバレー杯2024概要】

主催:東京スポーツ・レクリエーション専門学校

協賛&後援:株式会社ジェイコム湘南・神奈川 町田 川崎局

協力:エプソン販売株式会社

提供:有限会社オフィスプライヤ

企画協力:一般社団法人日本ビーチバレーボール連盟

<参加校>

男子:森村学園高等部(神奈川)、町田高、東京農大一高(東京) 

女子:上鶴間高(神奈川)、我孫子高(千葉)、東京農大一高、八王子高(東京)

 

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