全国中学生選抜の海外遠征メンバーが決定。2月のイタリア遠征へ向けて二次合宿を実施
- 中学生
- 2025.01.16
バレーボールの中学生世代における強化育成事業として毎年実施されている「全国中学生選抜」(以下、全中選抜)の令和6年度メンバー男女それぞれ12名が決定した。年明けの1月9日から12日にかけて味の素ナショナルトレーニングセンター(東京)で強化第二次合宿を実施。2月に予定されているイタリアへの海外遠征に向けて準備を整えた。
シニア日本代表も使用する施設で合宿を行なった令和6年度全中選抜
今年度「JOC・JVAカップ」受賞の田中洸、大雲舞子らが選出
メンバーは昨年度の長身選手発掘育成合宿を皮切りに、昨年10月の第一次合宿や昨年末のJOCジュニアオリンピックカップ全国都道府県対抗中学大会(以下、JOC杯)などを対象として選考された。
男子はJOC杯で、最も将来が期待される選手に贈呈される「JOC・JVAカップ」を受賞した田中洸(高山中〔鹿児島〕3年)を始め、同大会の「次世代有望選手」に選ばれた栗生澤礼乙(南越中〔福井〕3年)や税所蓮嘉(山之口中〔宮崎〕3年)らが名前を連ねた。また女子は「JOC・JVAカップ」受賞の大雲舞子(八王子実践中〔東京〕3年)のほか、昨年の女子U17日本代表・頼冨果穂(武中〔鹿児島〕3年)や一昨年に当時2年生ながら女子U16日本代表入りを果たした本田葵(熊本信愛女学院中〔熊本〕3年)らも選出されている。
男女ともに1月9日から二次合宿を実施。10日の午前練習には女子アンダーエイジカテゴリー日本代表で指揮を執る三枝大地氏のもと、アタック時のボールの軌道について実技をまじえたレクチャーの時間が設けられた。これはゴムひもを使ってボールの軌道を可視化したうえで、ブロックとレシーブの関係を構築するにあたっての位置どりを確認するというもの。選手たちはヒットするボールの高さや位置、ブロッカーの場所に応じてとるべき動きや選択について議論をかわしながら、習得に励んでいた。
その後は女子アンダーエイジカテゴリー日本代表にも携わる赤山僚輔トレーナー(人力JINRIKI合同会社)がボディコントロールの考え方を選手たちへ指導し、そうして男女で分かれてのボール練習へと移った。
ゴムひもを使って、ボールの軌道を可視化する
これから味わう別次元のバレーボールを合宿で事前に認識
このメニューの順番について、公益財団法人日本中学校体育連盟バレーボール競技部で強化委員会委員長を務める三石雅幸先生(飯島中〔長野〕)は「まずブロックについて、彼ら(中学生たち)にとってここからはトータルディフェンスに取り組むことが圧倒的に大事になってくるわけです。ましてや今後、海外を経験していくなかで国内でイメージしているスパイクのコースとはまるで異なる次元を体験することになります。350㎝の高さから“かちこまれる”とはどんな世界なのかを、肌身で感じてもらいたかった」と説明し、続けて「そのうえでどんな体の使い方ができればいいのか、をボディコントロールを通して、自分自身と向き合ってもらうことの大切さを知ってもらいたかった」と語った。
ここではレシーブ時に必要な股関節まわりの柔軟性など重心の移動に必要な要素を確かめるボデイコントロールのメニューが赤山トレーナーから指南されたのも、そうした背景があった。
選抜メンバーは二次合宿を終えるといったん解散し、次に集まるのは2月の海外遠征直前の合宿だけとなる。三石先生は「二次合宿での学びを持ち帰って、自主的に取り組んでもらいたい。“自分で自分を磨く”意識は今回の海外遠征だけではなく、その先のステージにおいても持ってほしいですし、それが本人たちのなかで根づけば、合宿における一つの成果だと思います」と中学生たちへ期待を寄せた。
自分の体と向き合うことで、怪我の予防やパフォーマンスの向上につなげるボディコントロール
(取材・写真/坂口功将)