出場できるのは12名なのに帯同は14名。JOC杯沖縄県選抜男子の育成方針「つらいですよ。みんな頑張っていますから」
- 中学生
- 2025.02.05
沖縄県選抜に帯同した森田凱童(写真右)と喜原凜(同左)
外れた2人が明かした、JOC杯沖縄県選抜との向き合い方
今回、最終的に登録メンバーから外れたのはアウトサイドヒッターの森田凱童(もりた・かいどう/金武中3年)とミドルブロッカーの喜原凜(きはら・りん/美東中3年)の2人。ともに、それぞれの学校ではエースの立場にあったが、沖縄県選抜の活動におけるスタートラインは異なった。
「僕は中学からバレーボールを始めたのですが、JOC杯は憧れでした。県選抜で自分にできることを精いっぱいやって、レギュラーになれるように頑張りたいと思っていました」と森田。活動期間中はレシーブやスパイクのコース打ちを磨いてきたが、憧れの舞台に立つことはかなわなかった。
「もっともっと努力が必要でしたし、自分の頑張りが足りなかったんだな、と受け止めました」
一方の喜原は、そもそも選抜入り自体が願ってもないものだった。
「僕はもともとメンバーから漏れていました。ですが、リベロの選手が抜けてしまって、そこに僕が代わりに追加で選出されたんです。ただ複雑でしたね。うれしいことには変わりありませんが、リベロの彼も含めて、そもそも選考から落選した選手もいたわけですから。その人たちの分まで頑張ろうと思っていました」
きっとJOC杯の沖縄県選抜に入りたかった中学生はごまんといただろう。14名に名前を連ねたとき、喜原はそんな面々に思いを馳せていたわけだが、それは「自分も大事だけれど、相手を思いやりなさい。そう親からずっと言われてきた」からだった。
観客席の応援団の最前列でチームに声援を送る2人の姿
最後は「令和6年度JOC杯沖縄県選抜男子」の14名で
いざJOC杯本番を迎え、2人の姿は客席の応援団にあった。「彼らが最後はみんなのためにサポートに徹してくれたおかげで、出場するメンバーたちも試合に集中できたことでしょう」と佐喜間監督は目を細める。
チームは予選グループ戦を突破し、決勝トーナメント一回戦で茨城県選抜に敗れたが、掲げてきた“全力プレー”をコート上で体現し続けた。福原キャプテンは言う。
「外れてしまった2人もユニフォームをもらえた12名も、しっかりチーム一丸となって大会に臨めたのがよかったです」
大会の敗退が決まり、会場のAsueアリーナの廊下では、県の関係者たちからねぎらいの言葉を受けるチームの姿があった。試合直後とあって、選手たちはユニフォームを着用したまま。ふと、その胸番号に目をやると…。
1、2、3…、11、12、そして13、14。
13番は森田、14番は喜原だ。
その様子を目に「正直、最初は複雑な心境だとは思います。ですが、この雰囲気を知ってもらいたい。それが彼らの次につながると願っています」と佐喜真監督は語った。
2人はこれからもバレーボールを続けるという。
「自分のチームで勝てるように、一生懸命やりたい。憧れを持ってもらえるような選手になりたいです」(森田)
「高校で雪辱を果たせるように。ミドルブロッカーとして頑張っていきます」(喜原)
喜びも悔しさも味わい、最後は沖縄本土を飛び出て全国大会を肌で感じた。試合には出られずとも胸に「沖縄」の文字が刻まれたユニフォームを着用した2人にとってそれは、まぎれもなく財産である。
メンバー14名とスタッフをまじえて。これが「令和6年度JOC杯沖縄県選抜」だ
(文・写真/坂口功将)
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