バレーボールの「令和6年度全国中学生長身選手発掘育成合宿」（以下、長身者合宿）が2月6日〜9日に味の素ナショナルトレーニングセンター（東京）で実施され、全国各地から男女各30名が参加した。その中に、就実中で来季のエースとして期待される岡元さくら（2年）の姿があった。

岡元さくら（おかもと・さくら／就実中〔岡山〕2年／身長175㎝／アウトサイドヒッター、オポジット、ミドルブロッカー）

長身者合宿に参加し、積極的に発言することで場を盛り上げていた岡元

　同じ中学生どうしとはいえ、これが初対面というケースがほとんど。長身者合宿に参加した面々は、緊張からか固さを隠せずにいる。そこでスタッフは4つのグループに分けて、まずは自己紹介からスタートさせた。そんななか、はつらつとした表情で発言しながら、かつ周りのメンバーたちの言葉を引き上げるようにしてグループ内の会話を盛り上げていたのが岡元だった。

「自分の目標は周囲を生かしてチームを盛り上げることなので。できるだけ、それを達成したいと思って、声をかけるようにしています」と本人。聞けば「人見知りはちょっと出ちゃいます」と照れくさそうに笑うが、そのうえでトライしようとする姿勢がうかがえる。

　振り返れば、それはほんの数ヵ月前に身をもって体験したことを生かしている証しといえた。というのも岡元は昨年末に行われた「JOCジュニアオリンピックカップ第38回全国都道府県対抗中学大会」（以下、JOC杯）の岡山県選抜に唯一の2年生として選ばれていた。そこでは出場機会を多く獲得すると、攻守で身長175㎝の高さを生かし、そのポテンシャルを全国の舞台で印象づけた。

　その予選グループ戦では負ければ大会からの敗退が決まる試合で、最終第3セットもコートに。「とても緊張していて、自分がミスしたらどうしようという気持ちでした」とは本人の告白だが、気丈にプレーしていたのは周囲の言葉があったから。

「先輩たちが盛り上げて自分にも声をかけてくださったので。緊張が和らいで、絶対に勝ちたい、という気持ちが上回りました」

　その先輩の中には同じ就実中で過ごした光森愛莉（3年）もおり、岡元は“憧れの選手”と言ってやまない。「憧れている先輩を間近で見てきて、かっこいいな、まねしたいな、と。なので、自分としては人に憧れを抱かれる存在になりたい。もし自分がその立場（光森）だったらうれしいし、その思いを持つことでこの先もいろんな経験ができると思うんです」

長身者合宿では参加者どうしの会話で笑顔がはじける様子も（右端が岡元）

「日本代表として日本を引っ張れる選手になりたい」と夢を語る

　そうして臨む中学3年目のシーズンがやってくる。チームの目標は「日本一になること」と岡元はきっぱり。2月1日〜2日の第21回中国中学校新人大会ではエースを担い、チームを7連覇に導いた。それでも「うれしかったのですが、自分にできなかったこともありましたし、チームメートに助けてもらってばかり。まだまだ成長して、もっともっと周りを引っ張れるようになりたいです」と言葉に熱を込めた。

　中学では主にミドルブロッカーを担ったが、JOC杯岡山県選抜ではレシーブにも取り組み、今は「どのポジションでもプレーしています」と岡元。来年度の中学生世代をリードする存在になったときには、きっとオールラウンドな活躍を見せてくれるだろう。

「まずは今年、女子U16日本代表に選ばれて、そこからもどんどん上のステージに上がって、いずれは日本代表として日本を引っ張る選手になりたいです」

　志を高く持ち、体験したことを糧としながら夢に向かって突き進んでいく。

（文・写真／坂口功将）

中国新人大会ではコロナ禍での中止をはさんで7連覇を果たした就実中（写真：チーム提供）

【第21回中国中学校新人大会／最終上位成績】

＝男子＝

優勝：高川学園中（山口）／準優勝：大元グランツ（岡山）／第3位：城南中（広島）、PROGRESS倉敷（岡山）

＝女子＝

優勝：就実中（岡山）／準優勝：高川学園中（山口）／第3位：周南VC（山口）、徳地中（山口）

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