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春高2025

ど派手なバレーで春高3連覇&全国三冠も︎「ほんとうにフルスロットルのバレーはしていない」 駿台学園高梅川大介監督が語る偉業

  • 高校生
  • 2025.02.21

1月の春高で3連覇、そして全国三冠を成し遂げた駿台学園高(東京)。その偉業を、指導者たちはどう見たのか。2014年の監督就任後、10度目の日本一に導いた梅川大介監督のインタビュー。川野琢磨、櫻井信人の両エースを軸にバックアタックを絡めたスタイルで今大会は1セットも落とさなかったが、伸びしろも残すチームだった

 

 

梅川大介監督(駿台学園高)

 

 

——春高では試合を重ねるごとに調子が上がっている印象でした。ただ、セッターの三宅綜大選手は「今大会は7、8割ぐらいの力だった」と言っていました

 徐々によくなってきて、準決勝(対市立尼崎高〔兵庫〕)、特に決勝(対東福岡高〔福岡〕)はいいバレーができたと思います。ただ、ある程度派手に戦っていましたが、リスクを負った、ほんとうにフルスロットルのバレーはしていない感じはします。

 

 多分、三宅が「もうちょっとできた」と感じているのが、うちの強みであるディフェンスからの切り返しの部分。レセプションからの攻撃の引き出しはある程度見せられたと思いますが、ディグがうまく上がらなくて。そういったシチュエーションを多く見せられなかったのが、「7、8割」という言葉につながっていると思います。それができるとうちは一気に連続得点を取るので、もっといろんなことができればという思いもあります。ただ、全体的に悪いバレーはしていないと思います。

 

——春高都予選を含めて下級生も経験を積みましたが、今大会は3年生のレギュラーメンバーで戦う場面が多く見られました

 1年生の畠(昊太郎)や落合(康陽)、小布施(琢磨)も試合に出られる要素はありました。特にミドルブロッカーの小布施に関しては、年末まで主力だったので。

 

 ただ、3年生が最初は敷浪(孝一)でいくという考えだったので、敷浪でいけるとこまでいって、ダメだったら小布施で、と思っていましたが、春高では思った以上に敷浪の調子がよくて。いけるとこまで引っ張ろうと思っていたら、そのまま押しきることができました。

 こちらがメンバーを変更する必要がなく、そのために(下級生が)出る幕がなかったというと変ですけど。櫻井(信人)以外に関しては疲労度もなく、足がつるそぶりもなかったですね。

 

——春高前には「今回三冠を取っても、前回(2016年度)の三冠の代のほうが強い」と言っていましたが、改めて同じ結果を残してみていかがでしょうか?

 いや、変わらないですね(笑) 力で押しきったゲームではあったので、ボロが出る前に終わったという印象です。特に決勝は櫻井があれだけ点を取って(両チームトップの28得点)派手に見えていますが、こっちもポロポロとボールが落ちているので。そういった隙を突いてくるチームが対戦相手にあまりいなかった、という気がします。

 

 セットを落としていれば展開は変わっていた気はしますし、準々決勝の近江戦(滋賀)の2セット目はまさにそうでした。

 

 

近江高戦はストレート勝ちを収めたものの、今大会唯一のジュースに

 

 

——チームが引き締まったのが昨年末の清風高(大阪)との練習試合。谷本悦司選手がキャプテンを交代する話が出たり、櫻井選手は途中交代させられたこともあったそうですね

 その練習試合まで大学生とは完璧なゲームをしていましたが、高校生が相手になった途端、自分たちがやりたいバレーをするというよりは、受けに回って「最後はどうにかなるでしょ」という雰囲気になっていました。

 

 うちの特徴として、練習試合でダメな選手がいると、メンバーチェンジでどんどん代えていきます。基本的に自分が外れろと言ったらチームとしてコートを出ることになっていますが、そのときに高澤(大馳)が外れなくて。言っても聞かないのであれば、キャプテンが(高澤を)外すのか、それをできないキャプテンなのであれば、谷本がキャプテンを外れるかどっちかにしろ、という話をして。

 

 谷本は優しいので、同級生に対して怒ることができないというか、徹底させることができなくて。それで右往左往していたら、三宅がキレたんです。「練習をしたいのに、邪魔だからコートから出ていけ」って。谷本がキャプテンをやめる、やめない問題はそれで解決しましたが、そのときに自分の責任だと思ったのか、なぜか怒られていない敷浪も高澤と一緒にコートから出ていって(笑) 両ミドルブロッカーがコートから消える、そんな事件もありましたね(笑)

 

——春高を見ていると、年々高校バレー全体のレベルは上がっているように感じます。その選手たちがトップカテゴリーに入ったとき、日本代表のバレーもまた変わっていくのでしょうか?

 僕が言うのは変ですが、シニアというより、大学生にもっとできることがあるのかなと思います。「大学生はもう大人だから、4年生が中心にやればいい」という傾向がありますが、大学生はまだ子ども。その代にいい4年生がいればいいですが、そうでないときに下級生は困ってしまいます。ヨーロッパでいえば18歳でプロになっているわけで、その1年間をムダにするのは、相当大きなことだと思います。

 

 僕も教員をやっているのでわかりますが、大学の先生たちはすごく忙しいんですよね。コーチがいなくて、監督が1人で見られているチームが多いですが、外部からのスキル専門の指導者がいたり、学校とは関係なく常に見られる人がいればいいなと思います。中学よりも高校のほうがいろんな指導者がいるので、その子たちが集まったときにはそれをならす作業も必要だと思うので。

 

 例えばSVリーグで試合に出られない選手と大学の選抜チームで定期戦をすれば、お互いの刺激になるかもしれません。やれることはもっともっと、いっぱいあるのではないかと思います。

 

 

#3堀内晴翔キャプテンのもと、新チームが始動。2月2日に行われた新人大会では失セット0で頂点に立った

 

 

うめかわ・だいすけ

1982年29日生まれ。駒形中→東亜学園高(ともに東京)→大東文化大。NECレッドロケッツでコーチとアナリストを経験し、2014年に駿台学園高の監督に就任。今年度は初の春高3連覇、そして16年度以来の全国三冠に導いた

 

取材/田中風太(編集部)

撮影/石塚康隆(NBP)、編集部

 

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