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春高2025

指導者たちが見た川野琢磨(駿台学園高)の努力と成長 梅川大介監督「ゆくゆくは日本代表で甲斐くんとサイドを」

  • 高校生
  • 2025.02.24

1月の全日本バレーボール高等学校選手権大会で3連覇、そして全国三冠を成し遂げた駿台学園高(東京)。最優秀選手賞に選ばれたのが、身長197㎝のアウトサイドヒッター川野琢磨だった。強化育成選手としての東京グレートベアーズへの加入、そして早稲田大への進学が決まりながらも、125日からはイタリア・セリエAのピアチェンツァへ派遣。将来有望な逸材の成長を、駿台学園高の指導者たちが語る

 

 

川野琢磨(駿台学園高)

 

 

石川祐希、甲斐優斗より

早く海外へ

 

 最優秀選手賞に輝いた春高から1ヵ月足らずで、川野琢磨は海を渡った。男子U21日本代表候補選手としての海外派遣。「春高が終わってやっと一息つけるタイミングだったので、『え、もう?』って(笑)」という思いが本音だが、せっかくのチャンスを逃すつもりはない。

「上のカテゴリーにいけばいくほど、いろんな選手と戦えるのはいい経験になると思うので。ムダにせず成長できればと思います」

 

 その決断をプラスにとらえたのは、駿台学園高の梅川大介監督だ。渕江中(東京)3年生時には全中優勝、そしてJOC杯では日本一と最優秀選手賞にあたる「JOCJVAカップ」に輝いた逸材は、自身の恩師でもある日笠智之監督の教え子。「日笠先生には、これまでずっと(渕江中から駿台学園高へ進学する選手を)断られていましたが、いちばん最初に送ってくれたのが川野で。『ちゃんと育てて上(のカテゴリー)につなげないと』と考えていました」。次のステップにつなげ、「ケガなく上につなげられたのはほっとしています」と安堵するなか、さらなる成長のチャンスが舞い込んだ。

 

「話を聞いたときは、『おお!』と思いました。石川祐希選手(ペルージャ)がイタリアに行ったのが19歳で、甲斐くん(優斗〔専修大3年〕)がパリ・バレーにいったのが20歳ぐらい。そういう意味では、18歳で海外を経験できるのはいいと思います。力が見合っていなくても、そのレベルを感じるのが重要なこと。大変かもしれませんが、誰もができることではありませんし、いい機会をいただいたな、と思いました。

 この話に対して、グレベア(東京グレートベアーズ)も、早稲田大学も「全然いいよ」というスタンスで。いい環境の人たちと関わっているなと思います」

 

 

1月18日の東京グレートベアーズ対日鉄堺BZ戦にて、ファンに手を振る川野(#31は黒川竜星)

 

 

可能性が広がった

ポジション変更

 

 道が開けたのは、最高学年を前にした決断があってこそだろう。駿台学園高入学後は1年生時からオポジットで、主に途中出場で春高連覇を経験した。だが、プレーの幅を広げるべく、3年生を前にアウトサイドヒッターに転向。今季からコーチを務める高橋真輝は、ステップアップしていく様子を見ていた。

 

「3年生からポジションが変わるのはかなり難しかったと思います。

 でも、練習試合のときに自分がiPadで撮った動画をチェックしていると、いちばん最初に『見せてください』と言ってくるのは(川野)琢磨でした。セット間にワンプレーごとに見て、『どこがダメでした?』と聞いてきたり、どうすればさらにうまくできるか、自分の中で考えながらやっていました。

 まだまだ完成していない部分が多いと思いますが、そのなかでも自分のできることをしっかりしてすごくよくなりました。さらに筋力がついてくれば、将来的にもっと楽しみな選手になると思います」

 

 駿台学園高時代、2016年度にはチームに初の全国三冠をもたらした土岐大陽コーチは、1年生時から川野を知る。同高、そして中央大時代はリベロとして活躍した名手ならではの視点で、ディフェンス面での進化に目を細めた。

 

「琢磨はもともと体の線が細くて、あまり脚力がありませんでした。最後の一歩がなかなか出なくて、レシーブでボールの下に入りきれなかったり、ボールに当たってもはじいてしまうことが多かったです。

 でも、それは本人が自覚していて。トレーニングを頑張ってきた成果もあり、体幹や足腰は入学してきたときの倍以上は強くなったと思います。最後の春高もふんばりが効いていましたし、成長の幅が大きかったと思います。

 この1年でアウトサイドになったのは、今後へのすごく大きな財産になりました。高校時代にずっとオポジットだったら、大学でアウトサイドヒッターに転向しても、間に合わないと思っていたので。うまくいかないなりにもやり続けたことで、大学4年間の伸びしろは大きいと思います」

 

 

攻守で大きな成長を遂げた1年だった

 

 

 ティリ・ロラン監督(現・大阪B監督)のもと、新年度からはロサンゼルスオリンピックに向けたサイクルが始まる。身長197㎝のオールラウンダーである川野は、期待の若手の一人であることに違いない。以前から「しなやかさがあって、オポジットタイプではない」と言ってきた梅川監督には、理想の将来像がある。

 

 「ゆくゆくは日本代表で甲斐くんと川野でサイドを組めるくらいに成長すればおもしろいのかな、と。オポジットに慶帆(高橋〔法政大3年〕)や、宮浦(健人〔ジェイテクト〕)選手、西田(有志〔大阪B〕)選手もいるでしょうが、そっち(オポジット)ではなくて、アウトサイドで勝負してほしい。アウトサイドで日の丸を背負ってもらいたいですね」

 

 春高が終わってから最高到達点を測ると、同大会のメンバー登録の時点から5㎝高い348㎝をマーク。梅川監督の「まだまだ伸びると思います」と描く未来は、イタリアからの帰国後にいきなり見られるのかもしれない。

 

文/田中風太(編集部)

写真/山岡邦彦、石塚康隆(NBP

 

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