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成長の秘けつは止まらないバレー談義?【西川凜、花岡千聡、平野シアラ 金蘭会高 SVリーグ加入組インタビュー(前編)】

(左から)平野シアラ、西川凜、花岡千聡

1月の春高ではインターハイとの全国二冠を目指したが、準決勝で下北沢成徳高(東京)に敗れた金蘭会高(大阪)。粒ぞろいの3年生の中で、SVリーグに進む西川凜、花岡千聡、平野シアラによるインタビューを前後編でお届け。前編では、春高で光ったそれぞれのプレーについて振り返る

 

 

(左から)平野シアラ、西川凜、花岡千聡

 

 

——春高では準決勝で敗れ、花岡選手と平野選手が号泣していたのが印象的でした

花岡 この1年間、絶対にこのメンバーで勝つという思いでやってきて、負けることなんて考えていませんでした。(負けて)まずはこのメンバーでもうできないことがすごく悔しくて。マジでこのメンバーが大好きだったので、もっとこのメンバーでやりたかった、という思いがずっとありました。

 

平野 去年は立てなかった春高に立てたけど、目標に届かなくて。すごく悔しくて泣いていました。でも、プレーを振り返ったらやりきったし、後悔はありませんでした。

 

西川 去年の国スポで負けた瞬間は悔しい気持ちが先に出てきて、いちばん泣いていました。ただ、今回は3年生も2年生も助けてくれて、すごい楽しく試合をすることができて。泣いてセンターコートを去るより、最後まで自分の武器である表情を大事にして、凜とした姿でいようと思っていました。この2人が泣いているところを見て、涙が止まったところもありましたが(笑) でも、コートサイドで(観客席の)みんなの顔を見て、そこで初めて泣いてしまいました。

 

——西村美波選手、大森咲愛選手も花岡選手が泣きすぎていたという話をしていました

花岡 めっちゃ言われます。大森と花岡明里が「涙が引いたわ」と話していたみたいで(笑) 

 

平野 やばかったです。顔がぐちゃぐちゃでした(笑)

 

西川 でも、(花岡)千聡の性格も知っていたので、相当悔しかったんやろうな、って。自分ももっとこのメンバーと一緒にやりたかったです。

 

花岡 この学年は横の関係がすごくよくて、ずっと笑っていられます。今年は3年生が多くコートに立たせてもらって、しんどいこともあったけど、周りを見たら同級生がすごく支えてくれました。3年間の中でいちばんやりやすいメンバーだったので、もっと、もーっと一緒にやりたかったです。

 

平野 自分は春高の出発直前に練習に行けなくなってしまって。去年(左足の)手術したときから気持ちが不安定になることがあり、全然プレーができなかった春高出発の3日、4日前ぐらいに「もうバレーをしたくない」と思ってしまいました。でも、そのときに同級生が支えてくれたから春高に出られたと思います。この学年でほんとうによかったです。

 

西川 (平野)シアラが欠けるのはチームにとって大きなピンチで。ライトには丹山(花椿)もいましたが、インターハイや国スポなど勝負どころで出ていたのはシアラでした。シアラがいないと日本一になれないと伝えたし、シアラが帰ってきたらコートに立ちやすい雰囲気をつくろう、とみんなで話していました。

 

平野 当時は頑張れという言葉がすごく嫌だったけど、3年生は「頑張れ」とは言わずに、「必要やから」とか「待っているから」と言ってくれて。そのときは表情が暗かったみたいですが、コートの内外で3年生がすごく声をかけてくれて、春高は笑顔で終わることができたと思います。

 

 

センターコートでも笑顔でプレーした平野

 

 

——春高でのそれぞれのプレーはいかがでしたか?

花岡 初戦(対人間環境大附岡崎高〔愛知/旧校名・岡崎学園高〕)は結構危ない試合でしたが、ずっと(西川)凜と2人で「自分たち2人だけは落ち着いていこう」と話していて。ミドルブロッカーの調子はすごくよかったけど、(調子が上がっていない)レフトにも持っていくべきなのかと考えたときに、凜とトスの相談をしました。「決まっているところに上げ続けたらいいと思う」と言ってくれて、すごく頼りになりました。

 

平野 自分は中学生のときから、焦ったときに凜の顔を見るルーティンがあります。本人が気づいているかはわかりませんが、自分が見たときには絶対に目を合わせてくれます。特に初戦は負けている状況からコートに入って、すごく緊張していましたが、何回も目を合わせて、声もかけてくれました。自分の安定剤という存在なので、とても助かりました。

 

西川 中学のときに佐藤先生(芳子/金蘭会中監督)から「シアラの安定剤であり続けろ」という言葉をもらってから、スパイカーやセッターを支えたいと思うようになりました。春高の初戦では途中から入ったシアラがミドルブロッカーと同じように決まっていたので、千聡にも共有して。シアラが決めたときはいちばん喜びました。

 

 バレーの話をいちばんするのは千聡で、その話をしているときがいちばん楽しいです。(ホテルの)部屋も同じで、バレーの話になると止まらなくて(笑) その楽しさを春高本番でも見せられたと思うし、千聡がセッターだからこそほかのセッターは上げられないようなネット際のボールも上げてくれて、すごく助けられました。

 去年の国スポで千聡がすごく悔しい思いをしていたのは知っていました。春高に向けてミドルブロッカーを生かすことをずっと課題にしていて、どう組み立てていくのかは2人で何回も話しました。岡学戦でのトスワークを見て、練習をしてきてよかったと思ったし、ミドルが決まり続けるまでトスを上げていた千聡の姿に感動しました(笑) 今までは勝負どころはサイドへのトスという概念がありましたが、それを変えて花岡(明)を使い続けるメンタルの強さも尊敬しています。

 

 

2回戦の人間環境大附岡崎高戦で、成長した姿を見せた花岡

 

 

花岡 国スポが終わってからも、チームとしてのいちばんの課題がミドルの攻撃の少なかったところだと挙げていました。そこは朝練でも、空いている時間もずっと練習してきたので、
凜も言うように練習してきてよかったです。

 凜とはバレーの話ばかりしていて、自分もその時間が大好きでした。3年生で集まったときに「バレーの話をしよう」と言うと、みんなには「えー? また?」って言われるんですけど(笑)

 

花岡 凜だけではなくて、3年生ともっと話したかったんですけどね…。付き合ってくれる人がほかにいなかったので…(笑)

 

平野 絶対無理です(笑) バレーは好きだけど、「あー、しゃべってんなー」って見ていました(笑)

 

西川 
今年のチームは口を開けばバレーの話か、笑っているかでした(笑)

 

西川 凜

にしかわ・りん/3年/身長158㎝/最高到達点270㎝/金蘭会中(大阪)/リベロ/U18日本代表(2022年度)、U19日本代表(23年度)、U20日本代表(24年度)/クインシーズ刈谷内定

 

花岡千聡

はなおか・ちさと/3年/身長175㎝/最高到達点288㎝/金蘭会中(大阪)/セッター/U20日本代表(2024年度)/東レアローズ滋賀内定

 

平野シアラ

ひらの・しあら/3年/身長176㎝/最高到達点285㎝/金蘭会中(大阪)/オポジット/U18日本代表(2022年度)/KUROBEアクアフェアリーズ富山内定

 

取材/田中風太(編集部)

写真/魚住貴弘、山田壮司、編集部

 

発売中の月刊バレーボール3月号では、金蘭会高のダブルエース、西村美波と大森咲愛の対談を掲載

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