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共栄学園高の春高優勝を350人超えの関係者で祝う 秋本美空は「応援してくれていたんだ、と実感」

一本締めに、笑顔を浮かべる秋本美空(中央)

「共栄学園高等学校 第77回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春の高校バレー)優勝祝賀会」が3月1日(土)に都内で行われた。同校は1月の春高で19大会ぶりの優勝。その喜びを、350人を超える関係者で分かち合った

 

 

一本締めに、笑顔を浮かべる秋本美空(中央)

 

 

中村文哉監督が語った

共栄学園高の伝統

 

 大勢の出席者に見守られながら、中村文哉監督を先頭に、優勝旗を持った秋本美空キャプテンら選手たちが入場。マイクを握った指揮官は、久光製薬スプリングス(現SAGA久光スプリングス)のコーチを経て、太田豊彦監督(現明海大監督)からバトンを受け継いだ当時を「7年前に初めて監督をしたとき、思春期の女子高生を扱うのはこんなに難しいのかと、日々苦労しました」と振り返った。

 

 だが、指導方針に迷っていた1年目に、同校のOGから聞いた言葉が指針になった。

「春高バレーを観戦していて、『マジカルコンビバレー』という単語がよく出ていました。それが伝統だと思っていましたが、その方はそうではない、と。共栄学園はどんな世代でも必ず日本一を狙うのが伝統だと話してくれました。初代の山城(正夫)監督、2代目の太田監督、そして3代目の私。どの世代でもマジカルコンビバレーをしているわけではなく、どの代でも常に日本一を狙うチームだと確信しました」

 

 それから7年。今年度は関東大会を制しながらも、インターハイの出場を逃し、春高も都予選3位で何とか切符をつかんだ。だが、目指したのは頂点のみ。準決勝の就実高(岡山)戦以外ではセットを落とさず、見事にその伝統を体現した。

 

 

太田前監督(左)からの愛のある言葉に、笑顔を浮かべる中村監督

 

 

 その後も関係者が祝福の言葉を述べるなか、太田前監督も壇上へ。「先代の山城先生が23年監督を務めたときに46歳で。自分も46歳になったときから次の監督を探していて、両手で余るほどの人に声をかけましたが、誰も来てくれませんでした。60歳のときに来てくれたのがこの方(中村監督)です」と当時を懐かしむ。

 

 そして、「山城先生が辞めるときに、私はインターハイ、春高優勝で送り出しました。ただ、この方は私が辞めるとき(2019年度)にインターハイ準優勝、春高3位で送り出したんです。それはずっと説教しています」といじると、中村監督は頭を下げた。しかし、「今回の優勝でチャラになりました」という言葉には、春高ばりのガッツポーズ。「私が(春高で)初優勝したときも、この方が優勝したときも37歳で、縁を感じました。ただ、この1回で終わったらダメだと言ってあります」という言葉を中村監督はかみ締めた。

 

 会場いっぱいに並んだ出席者に、秋本は「たくさんの人が来てくれて、応援してくれていたんだなと実感しました」と偉業の喜びを口にした。ただ、「日本一を獲れたけど、足りないところはまだまだたくさんあります。みんなバラバラの道に進むけど、一人一人成長できたらと思います」と引き締める。「日本代表でプレーできたら」という目標に向け、まずは卒業後にヴィクリーナ姫路で腕を磨く。

 

 

多くの関係者が駆けつけた

 

文・写真/田中風太(編集部)

 

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