木村沙織さんがイベントに登場 バスケ女子日本代表の髙田真希さんと「主将経験者」どうしで初対談
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- 2025.03.19
左から髙田さん、木村さん
毎年3月8日は国際女性デー。元女子日本代表主将の木村沙織さんと、バスケットボール女子日本代表(元主将)の髙田真希さんが3月10日、都内で行われた国際女性デー特別イベント「Athlete Beauty Session」に登場し、トークセッションをはじめとしたプログラムに参加した。
リーダータイプではなかった2人
競技の異なる2人ではあったが、「強く美しく、私らしく生きる」と題したトークセッションで話が進むにつれて、共通点も多いことが判明。木村さんはリオデジャネイロオリンピックに向けた、髙田さんは東京2020オリンピックに向けた代表チームの始動時から主将に就任したが、いずれもそれは競技人生で初めてのキャプテン経験だった。いわゆるリーダータイプではなく、人前で話すのは苦手だったという部分も同じで、「驚くくらい似ている」と木村さん。「声やことばで伝えるのはほんとうに苦手だったのですが、バレーボールに取り組む姿勢を見てもらって、ついてきてもらえたらいいなと思って頑張りました」と、当時を振り返っていた。
髙田さんは「孤独だと感じるときもありましたが、とにかく前に立って引っ張っていきながら、必要だと思うことをやり続けることでみんながついてきてくれるんだなと感じました。そう感じることで、先頭にも立ちやすくなりました」と話したように、最初からうまくできたわけではなく、経験の中で培われた部分が大きかった。「いろいろなことを経験する、挑戦することって大切だな」。今も積極的に一歩を踏み出せているのは、リーダーとしての日々を通して学んだことが生きている。現役プレーヤーである髙田さんは、確信を込めてそのように語っていた。
トークセッションはさまざまなテーマに沿って進められた
責任感に満ちたキャプテンである前に
役割によって成長できた、という木村さんも「挑戦してよかった」と思う部分では変わらない。「バレーボールはチームスポーツなので一人ではできないのですが、私は人に任せることが苦手でした」。そんな木村さんだが、「人に任せてもいいんだよ。キャプテンだからって、全部自分でやらなくていいんだ」というアドバイスをもらったことで、「自分だけのチームではない。みんなのものだから」と感じることができ、気が楽になったという。
ただ、特にキャプテンになった当初は、苦しむことの多い日々だった。「気負いすぎてしまって。『もっとみんなを見なきゃ』とか『みんながやりやすいチームに』ということばかりを意識していました。自分のプレーをおろそかにしていたわけではありませんが、自分が活躍するよりも若い選手が生き生きすることを優先してしまったので、最初の2年はほんとうにしんどかったです」。そんなあるとき、当時の眞鍋政義監督から「キャプテンではあるけれど、ちゃんと木村沙織として戦いなさい」と言われたことで、「自分が頑張るということを二の次にしてしまっていたな」と気づかされる。そこで「キャプテンとしてばかりの頭にならず、プレーに専念しよう」と思うことで、リオデジャネイロオリンピックまでの日々を戦い抜くことができたのである。
表情豊かに語った木村さん
前向きに、幅広い活動を通して発信を
高田さんは「女子バスケットボールをもっとたくさんの人に知ってもらいたい」というきっかけから2020年に株式会社TRUE HOPEを設立し、「アスリート社長」を務めてきた。そもそもは「競技を引退したあとに対する不安がとても大きく、『やめたら自分、ニートになるぞ』という思いがあって」とのことだが、現役のうちから土台をつくっておくことが大切だと考えて起業した結果、視野や人間関係が広がってわかったことなど、競技に対してプラスに働く面も多いという。忙しくはあるものの、心身のバランスが保たれて充実している様子が伝わってきた。
一方、挑戦してみたいことはありますか? と水を向けられた木村さんは、「自分自身が何かをしたいというのは、今はそんなにありません。逆に、応援したいという気持ちが強いです」と返答。会場で学生バレーを観戦していても、今は母親としての立場から、あらためて感じることがあるという。バスケットボールも見に行ったと話す木村さんは「テレビもいいのですが、家だと『家事をやらなきゃ』という思いが先に立ってしまい、気づいたらお皿などを洗ううちに試合が終わっていたりします。会場だと『今日は誰が活躍しているな、誰が成長したんだな』としっかり見えるのが楽しいです」と笑顔。これからも、会場に姿を見せてくれるに違いない。
話の尽きなかったトークセッションのあとも、イベントではさらにメイク講座や交流会などが実施された。女性アスリートたちへ幅広く発信を行い、エールを送った2人には、これからもトップランナーとしてのさまざまな活躍が期待される。
国際女性デーのシンボル、ミモザの花を前に
きむら・さおり
1986年8月19日生まれ。アテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロとオリンピック4大会に連続出場を果たし、ロンドン大会では銅メダル獲得の原動力として攻守に活躍した。2017年に引退。現在は専業主婦のかたわら、多方面で活動中。下北沢成徳高(東京)→東レ→ワクフバンク→ガラタサライ(ともにトルコ)→東レ
たかだ・まき
1989年8月23日生まれ。リオデジャネイロ、東京、パリとオリンピック3大会連続出場。特に東京大会では大黒柱として史上初の銀メダル獲得に貢献した。桜花学園高(愛知)→デンソーアイリス所属、株式会社TRUE HOPE社長
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