全中選抜 渡邉梨央の“涙の中学3年目”。全国大会予選敗退も府選抜レギュラー落ちも味わった末にイタリアで見いだした光明
- 中学生
- 2025.03.19
今年2月にイタリアへの海外遠征を実施した令和6年度全国中学生選抜女子(以下、全中選抜)。そのメンバーの一人、渡邉梨央(大阪国際中〔大阪〕3年)は遠征最終日、晴れ晴れとした表情で帰国の路に着いた。
渡邉梨央(わたなべ・りお/身長179㎝/大阪国際中〔大阪〕3年/アウトサイドヒッター、オポジット)
2年生時に全中選抜入り。大阪国際中では主軸を担った
179㎝の身長を備え、その高さを生かしたアタックが持ち味の渡邉。1年前、当時は2年生ながら全中選抜の海外遠征メンバー入りを果たした。その経験を踏まえ、「それまでは全中選抜も『入れたらな』くらいで少しふわふわしてとらえていましたが、『絶対にここに立ちたい。このユニフォームをまた着て、きちんと戦いたい』という思いが強くなりました」と振り返る。
迎えた中学3年目、大阪国際中では「監督が自分の将来を思ってくださって」(渡邉)、ライトからレフトに転向する。さらに、チームは直近2年間、夏の全日本中学校選手権大会で2022年は準優勝、23年はベスト4という成績を残しており、「日本一に届かなかった先輩たちの思いも背負い、自分が中心になって日本一をとりたい」と願望は強くなるばかりだった。
だが、夏の選手権大会では府大会の準々決勝で金蘭会中に敗れる結果に終わり、チームとしての戦いはここで終幕した。
「自分が決めることができなかった。自分って弱いな、と感じました」
ここから渡邉は、自身の弱さと向き合っていくことになる。
令和5年度全中選抜での④渡邉。小林天音(左から2番目)や頼冨果穂(右から2番目)とは翌年も一緒に選出されることに
競技に取り組む姿勢も見直して臨んだJOC杯大阪北選抜の活動
目指した日本一も道半ば、それも、思っていたよりも相当に早い場所で夢破れた。渡邉自身はそこから年末のJOCジュニアオリンピックカップ第38回全国都道府県対抗中学大会(以下、JOC杯)の大阪北選抜の活動へ本格的に臨むにあたって、「ミスが出たときに何がダメだったかをきちんと自分の中で振り返ることを。また調子が上がらないときでも、落ち込むのではなく、どうすればいいかを考えることを」意識して取り組んだ。
府大会では自身のミスや得点を決めきれない現実を前に、折れてしまった。その課題を克服するために、心の持ちようと併せて競技に対する姿勢も見直している。
「試合や日本代表のバレーを見たりして、勉強して、ときには質問しにいったり。それまでもわからない部分は先輩に聞いていましたが、まだまだ足りていなかったですし、私自身も『まぁ、でもいけるかな』と思っていた部分は正直ありました。それが府大会で結果として表れたと思うんです。
教えてもらったとしても、それが身につくまで取り組むことが私には足りていなかった。もう一度、意識を高めて府選抜では活動していました」
その大阪北選抜には渡邉の大阪国際中や近年力をつけている東海大付仰星高中等部、そして夏の全国大会を制した金蘭会中の面々がそろっていたが、そのなかでも渡邉はチーム最長身。さらに大阪北選抜はチームとして大会連覇をにらんでおり、そのこともまた渡邉にとっては自チームで抱いていた思いと重なるようにモチベーションとなった。
「JOC杯では1年前に先輩たちが日本一をとっていたので、自分も優勝したいと。そこでは自分が得点を決めることでチームを助ける、そんな選手になりたいと考えていました」
JOC杯の大阪北選抜でも主軸を担う、その気持ちで臨んだ
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