全中選抜 渡邉梨央の“涙の中学3年目”。全国大会予選敗退も府選抜レギュラー落ちも味わった末にイタリアで見いだした光明
- 中学生
- 2025.03.19
JOC杯準決勝でコートに立つことはできたものの、劣勢をひっくり返すまでには至らず
レギュラーとしてプレーすることはかなわず。涙に暮れたJOC杯
だが、11月に入ってすぐの合宿中に左足の太ももに違和感を覚えた。
「変やな、と感じていたら、次の日に痛くなったんです。結果的に肉離れで、そこからチームを離れることになりました」
11月中旬には選抜チームへ復帰することができた。ただ、大会本番を1ヵ月後に控えたタイミング。自身の離脱期間はその日数以上に渡邉にとって、それにチームにとっても響くものだった。
「代わりに入ってくれていた選手が頑張っていて、チームもできあがりつつあった。そこに自分だけが遅れて戻って、私はそのまま大会本番を迎えることになりました」
いざJOC杯本番で大阪北選抜は大会最終日へ進出を決めるも、準決勝で東京都選抜に敗れる結果に終わる。そのなかで渡邉は、大半の時間をアップゾーンで過ごしていた。大会を終えて、涙をこらえることができない。
「監督も最後は『守りができるライトがいい』と心に決められて、その点に関して私の代わりに出た選手のほうがたけていました。自分はレシーブが得意ではなくて、いいときはいいけれど、安定感や胸を張れるほどではなかったので…」
思いを強くして過ごした中学3年目。渡邉は自分の願ったように全国大会に立つことはできなかった。それも1年で二度、だ。
全中選抜には2年連続で選出。中学生活最後の活動に励んだ
リベロに抜擢された海外遠征で得た学びと、この先のビジョン
今年の全中選抜、遠征先のイタリア現地で参加したユース世代の国際大会「Nations Winter Cup」に渡邉の姿があった。ユニフォームはチームの中でも色が違う。そう、リベロとしてコートに立っていた。
将来性をかんがみて、ポジションを固定せずにあらゆる可能性にトライするのは全中選抜のねらいとしてある。その中でも大会前の親善試合からリベロに抜擢されたわけだが、これには渡邉も「レシーブがとても苦手、って自分でも言っていたでしょう? なので、ホンマに決勝までリベロをやるとは思っていませんでした」とおどけるように笑う。けれども、そこでは技術面だけでなく、たくさんの学びを得ることができた。
「苦手でしたけれど、ブロックの基準が合っていると打球の強弱の分別ができますし、そうやって連携をとりながらみんなと話していくうちに少しずつですが上げられるボールも増えてきました。ブロックとレシーブの関係性を試合中でも修正していくことはやっていて楽しかったです。
それに、いつもは自分が打って決める側だったので。逆にリベロのときは周りを少しでも楽にしてあげて、自分が支えてあげたいなと。チームが優勝するなかで、それができた気がしてうれしかったです」
自分の課題にとことん直面した1年間はこうして終わった。この春からは高校という次のステージが幕を開ける。
「高校はやはりレシーブができないとダメなので。海外でやらせてもらった経験を生かします。レギュラーに入るとか関係なく、自分がコートに立ったときに力が出せるように、少しでもチームに…。うん、やっぱりレシーブ面でも貢献できるようにやっていきたいです」
そう話す渡邉の表情からは、自分への期待と新しく始まるチャレンジへの高揚感があふれていた。
数々の悔しさもリベロの経験も、この先の競技人生で生かしていく
(文・写真/坂口功将)
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